住宅政策の転換が日本の内需を大幅に増やす!? | オーウェルの日本再生論

住宅政策の転換が日本の内需を大幅に増やす!?

  先日のサンデープロジェクトでエコノミストのリチャー

ド・クーさんが日本の向かうべき経済の方向性について

話していた。その中ですごく気になったのが住宅市場に

関する発言だ。現在、日本の住宅市場は頭打ちの状態

で、空き家率が高く、全体として供給過剰な状態となっ

いる。それに加えて安定した所得を持つ人が減っていて、

人口減少も始まっている事から、これからの住宅市場の

成長はほとんど期待できないと私は思っていた。しかし、

クーさんによれば、住宅を査定する仕組みを欧米で行な

われているような方法に替えれば、日本の住宅市場は

だまだ大きな可能性があり、内需拡大の起爆剤になり

るとの事だった。これはいったいどういう事なのかと興味

を持ち、私住宅市場に関する知識はあまりないが、

識的に色と考えてみた。すると、クーさんの意見には

かなり待をてる側面がある事がわかったきた。


  それはつまりこういう事だ。日本の住宅は消費財とし

て扱われており、短いサイクルでの建てては壊すが繰り

返されてきた。そのせいなのか住宅の資産査定方法も、

どんな住宅であれ25年がたつと資産価値はゼロになる

というような計算の仕方をしている。一方欧米では、査

の方法が違うため、住宅の資産価値は修理などをし

い状態に保っていれば、25年経っても大きく下がる

ことはなく、寧ろ上がると言う。クーさん曰く、日本はこの

住宅を消費財と見るような査定方法を採用しているせい

で、毎年資産価値にして20兆円もの損をしていると言う

そしてここがポイントなのだが、もし日本も欧米と同じよ

な住宅の査定方法を取り入れ、住宅の資産価値の目

りをなくす事ができれば、これは家を持っている人た

ちのに毎年20兆円が留まるのと同じ事になり、毎年

家計対して20兆円を配っているのと同じ効果が得ら

れる考えるのである。


  20兆円と言ったら日本のGDPの約4%に当たる

のすごい額である。これだけのお金が家計に入ると考え

れば、消費に火をつけ、相当な経済効果が見込めるの

ではないだろうか。しかもそれが毎年であるから内需

大幅に拡大しない訳がなく、日本の潜在成長率を大きく

上げると考えられる。もちろんこれは実際に家を持つ人

に現金を配るのとは違って住宅の資産価値が下がらな

いという話で、最初のうちはそれほど大きな消費に結び

つかないかもしれない。しかし、住宅の資産価値が下が

らなくなり、家を持っている人が自の住宅の資産価値

は今これくらいという事を認識できるようになれば、持っ

ているお金(資産)が増えるのだから、消費なに向

れるお金も増える事になり、消費の大アップに繋がる

考えられるのだ。


  それに加えて住宅の資産価値が下がらないとなれ

ば、住宅ローンもかなり借りやすくなるだろう。これまで

は、住宅を購入してもその資産価値が毎年下がる事に

なるため、途中で返済ができなくなった場合の借金の負

担は大きく、ローンを借りる事に二の足を踏む人も多か

った。銀行側による住宅ローンの審査もそういう事にな

らないよう厳しくやっていたと言えるだろうしかし、住宅

の資産価値が下がらないとなれば、その住宅を担保とし

て考えられるようになるため、途中で返済が滞っても住

宅を売ればそれで借金はチャラという事ができるように

なる。このため銀行側も住宅ローンの貸し出しをしやす

くなり、収入が多少低い人でも住宅ローンを前よりも

りやすくなると考えられる。もしそうなれば、住宅市場

動きは再び活発になり、住宅価格や土地の価格も上

り、かなりの経済効果、経済成長に繋がるのではない

ろうか。それに住宅の資産価値が下がりにくくなるため、

投資対象としての住宅購入も増え、多少ミニバブルっぽ

現象さえ起こるかもしれない。


  と、ここまでクーさんの発言を私なりに解釈し、良い

事尽くしの予想を書いてきたが、もちろんこれを実現す

るにはいくつかの条件がある。まず第一に、一番重

なのは日本の住宅の資産査定の方法を欧米型に変

ることだ。私は詳しい事はわからないが、これまでの

定方法を変えるからには、政治主導による政策的な転

換が必要なのは明らかだろう。クー氏曰く、この転換を

実現するには住宅の建ぺい率や容積率に関する規制

ど様々な事を変える必要があるとの事だ。第二に、中

住宅の市場をもっと大きくする必要がある。査定方法

替えても中古住宅を購入したがる人が増えなければ、

当の意味で住宅資産の価値が保たれるようにはなら

ない。よって消費者の住宅に対する意識を変えていき、

車や貴金属、アパレルブランドのようにしっかりとした中

古市場を作っていく必要があるだあろう。


  第三にこれはもう始まっていることだが、ホームイン

ペクターの普及が挙げられる。ホームインスペクター

とは、住宅の根幹となる重要な部分や傷みやすい場所

などを調べて、住宅の価値を査定する人の事で、欧米

型の査定方法へと替えていくにはなくてはならない存在

だ。このホームインスペクターによる検査が広がる事で、

家の持ち主が傷んだ部分を修理するなどして、住宅の

価値を保つようになれば、より良い中古住宅が供給され

るようになり、中古市場が盛り上がると考えられる。そし

て第四に、長期優良住宅の推進も重要である。中古住

宅の市場を大きくするためには、100年200年持つよ

な住宅を作っていく事が有効であると考えられ、これま

のように30年ぐらいでまた建て直すという前提での建

築をめていく必要があるだろう。


  ただひとつ心配なのは、中古住宅の市場を活性化し、

長持ちする家が増えることで、新規の住宅着工が減って

建築業界にマイナスな影響を与えないかという事だ。新

築が減れば、それだけ建築業者の仕事も減る事になり、

これが雇用や経済に影響を与える事になる。しかし、

市場全体で見れば、中古住宅のためのリフォームや

資産価値を保つための検査、修理等これまで以上に成

長が見込める分野もあり、上に挙げた経済効果による

宅市場全体の活性化も合わせると、大きなプラスになる

のではと私は見ている。建築業界の方もこういった変

適応して仕事を替えていけば、雇用が失われる事も

く何とかやっていけるのではないだろうか。私の予想が

こまで正しいかわからないが、この件に関するクーさ

の意見が正しならば、住宅政策の転換が日本にとっ

大きな経済成長、内需拡大のチャンスになるのは間違

ない。今度の新政権もそのことを認識し、上に書いた

素晴らしい成長の青写真を実現できるよう努して頂

ければと思う。