映画三昧「ノルウェイの森」 | mocaのブログ

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ちょっと遅くなりましたが、明けましておめでとうございます!

今年の正月は赤坂の日枝神社へ初詣に行って来ました。
人もそこまで多くなく、快適にお参りできたんですが、おみくじを引いたところ結果は「末吉」。
意志の弱さからチャンスを逃すため、努力こそが成功の鍵だそうです。
頑張ります・・・

ということで、今年もよろしくお願いします。


さて、新年一発目はひさびさに劇場に観にいった、現在公開中のこの映画!


「ノルウェイの森」 トラン・アン・ユン監督  2010年


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村上春樹の小説を初めて読んだのは大学も後半になった頃のことです。

それまで明治~大正時代の文学ばかり読み、同時代の小説を敬遠していたぼくは、そのほとんどが彼の出来の悪いコピーだったと知り、長編のほとんどを一気に読み通しました。

その中でも「ノルウェイの森」は、恋愛を通して生きることの悲しさや人生の不条理をストレートに描いた静かで痛切な作品で、当時大学生で年齢も近かったぼくは、他の多くの人たちと同じように、物語の登場人物と自分を重ね合わせ、感傷的な気分に浸っていました。

と同時に、こんな淡々とした作品が、誰もが知っているベストセラーになっているということに対して不思議な気持ちにもなりました。
もちろん作品の素晴らしさは分かるんですが、これは周りの人と話題を共有して楽しむような種類の作品ではなく、一人でひっそりと読むというタイプの作品だと思ったからです。

要するに「ノルウェイの森」を読んでいると、なんだか自分のために書かれているような気持ちになるのです。


この作品が20年の時を経て映画になると聞いて、少し前から原作を読み返していました。

もちろん映画化の話を聞いて単純にまた読みたくなったというのもありますが、上下巻あるこの長編がどんなふうに切り取られるのかということにも興味があったからです。

本作を監督したトラン・アン・ユンについては作品を観たことはありませんでしたが、名だたる映画祭の常連だということは知っていたし、村上春樹自身も彼の監督ならと映画化にOKを出したと聞いて、期待は高まっていました。

そんな彼の取った手法はストーリーや状況を全て説明するのではなく、ポイントとなるシーンやセリフを細かくつなぎ、観客に想像の余地を与えつつテンポよく物語を進めていくというものでした。
初めのうちは予想以上の展開の早さに驚いたんですが、その代わり重要なシーンには時間をたっぷり使い、緩急を付けることで充分に原作の持つ世界観を表現しています。

もちろん原作との細かい違いを気にする人もいると思うし、僕自身も考えていたイメージとだいぶ違うなと思ったところもありました。
でもトラン監督は、ただストーリーやセリフを忠実になぞるというだけの意味ではなく、原作の本質を理解し、それをとても誠実に映像化したと思います。
だからこそ見終わったあと、原作の読後感にも似た、深い海の底に沈んでいるような静けさと寂しさを感じました。
ある作品を別の表現に移しかえるという時に、それがもっとも大事なことじゃないかと思います。

音楽についても一言。
劇伴は村上春樹のファンとしても知られるレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが担当しているんですが、壮大な交響曲から60年代のロック・ポップスまで幅広い音楽を使い、作品の持つ痛みや悲しみ、混乱を十二分に表現した秀逸なものになっています。
国際映画祭でも最優秀作曲賞を獲ったとのこと。

またキャスティングも、レコード屋の店主に細野晴臣、病院の守衛に高橋幸宏、大学教授に糸井重里などなど、ところどころに意外な人が登場したりしています。
その辺の遊び心に注目しながら観るのもおすすめ。

ということで、この映画は原作を好きな人なら失望することはないし、もちろん小説を読んだことがなくても楽しむことのできる作品だと思います。
決してハッピーな恋愛ものというわけではないですが、ただ暗いだけというわけではなく美しい映像やポップな要素もあり、また青春時代の純粋さやみずみずしい感覚を思い出すことのできるノスタルジックな恋愛映画なので、興味のある人はぜひ観てもらいたいと思います。

それでは!