『昨夜未明、〝衣類だけを残して消失する〟という非常に奇妙な事件が起こりました。最初はイタズラの通報かと署は相手にしていなかったですが、その後相次いで数件の通報が寄せられ、現在、警察が調査を始めています。何らかの事件に巻き込まれた可能性は否定できないとの見方をしております。失踪者は老若男女、様々な人達で、それぞれの人間関係を今、急いで確認しているところです。この事件で唯一共通する点は生体チッ――』
「ねぇねぇ、コノハぁー、次は何して遊ぶ?」
 学校は二学期を終え、とうとう冬休みに入った。本格的な受験モードになって、年明けたら願書を大学の方に取りに行かなければならない。塾に通っていないコノハはガリガリ家に籠っているが、今日は勉強に疲れたので、休憩の日。
 めえからのお誘いで、めえの家でクリスマスパーティーをすることになったのだ。いつもの面子と、カリンとテンリも誘ってみた。テンリは今年、彼氏がいないから出席するとのことで、自虐オーラが早速漂っていた。
「うーん、どないしょー、バーチャルダンスバトルでする?」
 めえの家にメンバーが集まり、冬休みらしく、コタツに入ってトランプで遊んでいた。テレビを流しながら、七並べやババ抜きで盛り上がっていたが、少し飽きてきた感があった。
「なぁに? それぇ?」
 めえがコタツの中でごろごろ転がりながら聞いてくる。
「TVゲームやよ。人が動いた動きをテレビのキャラが真似して、指示されるようにリズムに乗って踊るゲーム。カリンが持ってるから持って来てもらった」
「ふっふっふ、うちに勝てる者はおらへんでー」
 カリンがニヤリとしてリュックからゲーム機を出す。
「おぉー! 面白そう! やろうやろう!」
 めえは喜んでコタツの中で転げ回る。普段着のめえはなかなか珍しい。
「踊りやったら、わたしも負けられへんなー! パラパラやってるから、カリンのゲーム知識くらいじゃ負けへん!」
 テンリが乗ってきた。カリンとバチバチ視線で火花を飛ばし合う。
「ダ、ダンス……」
 自分が踊るのかと思って少し恥ずかしくなった男子一名。
「コタローも踊ろうよ!」
「う、うん……」
 コタローはめえの尻に惹かれるタイプなのか、たいがい反応はイエスマンだ。
 あれから何とかうまく付き合っているらしい。めえも最近、恋人たるものはどんなものかという意識が少し芽生えてきたようだった。
 カリンがサササッとテレビにセッティングする。ワイヤレスなところが素晴らしい。
「うーんと、それじゃ、初めにうちが見本みせようか」
 カリンはそう言うと、細長い機械を取り出して、自分をスキャンしていく。
「えーっと、うちが作ったキャラはこれや!」
 コントローラーを操作して、マイキャラダウンロード。カリンのキャラはやはりニンゲンじゃなくて、ケモノだった。名前はマッドケモナー……
 カリンは自分でケモナーじゃなくてファーとか言っていなかったか?
「それじゃ、始めるで~」
「わくわくするね、コタロー」
「う、うん」
 仲むつまじいめえとコタロー、それを見て嫉妬のオーラを漂わせるテンリ。おお、なんということでしょう、この構図。
「レッツダンシング!」
 カリンがテレビに向かってそう言って、ゲームが始まった。