人類変身への希望の光を見た彼らは、CTFマウスの遺伝解析により、マウスをネコに変形させる一連の遺伝システムを特定した。そして、そのCTF遺伝子をレトロウィルスの培養によって増幅し、改良を行い、変身するスピードを上げていった。すると、一時間でネコに変身可能なマウスが誕生したのである。


彼らは、いよいよ実用化に向けて人に試すことにした。しかし、キメラでさえヒトと異種との融合発生は困難だったことから、有志で実験希望者を募ってもかなり危険性が高いことが示唆されていた。そこで彼らは死刑が確定されている囚人を用いることにした。彼らはネコへと変形させる遺伝子を持ったCTFレトロウィルスを囚人に注入し、観察をした。


 結果、囚人は一カ月かけてゆっくりとネコに変化していった。しかし、ネコになった囚人は人に戻ることはなかった。そこでまた発生はしなかったものの、融合したヒト-ネコキメラ細胞を用い、マウスの時と同様の実験が行われた。幸運なことに、ネコになった囚人は、無事、人に戻ったのである。倫理的に問題がある人体実験で、彼らは死者を出すことなく、人がネコに変身する実験に成功したのだ。


 それから安全性を確立するために何十人もの囚人によって実験が行われ、ネコへ変身する転写機構が解明され、そのスピードも飛躍的に進歩した。彼らは人をネコに作り変える遺伝子を持たせたCTFレトロウィルスの溶液を開発した。この溶液を注射器で注入することにより、自由自在にネコに変身することが可能となったのだ。商品化にあたり、情報漏れを防ぐため、ウィルスを作り変えて約二時間で体内で消滅するようにした。安全には最大限に考慮しているため、二時間経ってもネコの姿でいようものなら、強制的に人に戻されるようにした。


 まずはネコへの変身。彼らは今後、他の生物でも同様のことを繰り返し、多様な動物へ変身できるように精力を尽くすつもりである。しかし、これは内密に……

 彼らは自分たちのこの成果を他の一般的な変身願望を持つ人たちと共有したいと思った。しかし、公では禁止されているヒトの遺伝子組み換えであるため、派手には宣伝できない。そこで彼らはインターネットで細々とTFサイト立ち上げ、そこに募るいわゆるケモナーやトランスファーと呼ばれる応募者たちにオフ会でCTF液を披露した。現実不可能だと思われていた獣化を目の前で見せつけられ、応募者たちは唖然となった。そして、応募者たちも試し、その素晴らしい商品開発に称賛が巻き起こった。マッドサイエントたちは応募者に公にはしないよう十分に言及したが、口コミでその噂は瞬く間に広まった。しかし、それはケモナーやトランスファーの間だけであった。暗黙の了解で、彼らは動物変身願望がある者以外の人には決して話さないことにしていた。


 口コミで広がったことにより、マッドサイエントたちのところに、多大な希望が殺到した。彼らは同じ変身願望を多くの人と分かち合いたがったが、やはり公に売り出すことは様々な公共的なリスクがあるため、憚られた。

 そこで目を付けたのが風俗である。風俗には一般的な人はやって来ない。彼らマッドサイエントたちは、表向き風俗で店を運営し、その裏で知る人には動物に変身する薬を出し、楽しんでもらうというシステムを作り上げた。これにより、知る人ぞ知る動物変身が体験できる店ができたのである。


 彼らはさらに技術開発を進め、ネコだけでなく、イヌ、ウサギ、キツネと次々に変身できる動物の種類を増やしていき、また人の背格好で動物の外見を融合したヒトと動物の中間の姿――いわゆる獣人の姿にもなれる薬を開発したのである。獣人の姿だと、人としての言葉で会話もできるし、風俗店なので、セックスも可能。この店は変身願望がある人たちの憧れを現実化した店となったのである。


 そして、この店にいる風俗嬢を獣化させてセックスすることが定着し、TF好きの間で大いに流行することになった。いつしか利用客の間で、この店にいる風俗嬢のことは『ケモッ娘』と呼ばれるようになったのである。