コノハは人目が付かない場所を探していた。
「よぉーし、ここならよさそうだなぁ」
建物の物陰に隠れ、もう一度周囲を見渡し、誰もいないことを確認する。
「これがバレたら大変なことになっちゃうかもしれないからね。誰にも見られないように注意、注意っと」
コノハは誰もいないことを確認すると、通学カバンを横に置いて、目を閉じた。そして、ネコのイメージを膨らませる。
「にゃん。にゃん。今日はネコにゃん♪」
楽しそうに一人で笑う。これから自分の身に起きる変化を楽しみにしているのだ。
コノハは全身の力を抜いてリラックスする。そして、明確なネコのイメージを思い浮かべた。すると、少しずつ体中が熱を帯びてくる。これは変化の兆しなのだ。微熱くらいまで体温が上がったところで、コノハの体自体に変化が現れた。指先が太く短くなり始め、爪が鋭く伸びてゆく。手のひらには、やわらかいピンクのプニプニした突起物が現れる。お尻の方ではしっぽのようなものが出てきて伸びてゆく。耳は頭の上の方に移動し始め、ツンと先端が尖って大きくなる。顔にも変化が生じ、鼻先が前に突き出し、先端が三角形になる。長い白いヒゲも伸び始める。体全体から白い毛が伸びてきて、全身を覆う。
「にゃうぅぅ……」
コノハは体の変化に感じてしまい、思わず甘い吐息を漏らした。しかし、まだ変化は終わっていない。体の熱はさらにヒートアップして、意識が朦朧とする。
「はぁ……はぁ……はぁ……」
体全体が人の形を残したネコのような姿になると、今度は体が縮み始める。自慢のふくよかなDカップの胸もしぼんでいき、代わりにいくもの乳首が形成される。髪の毛も縮み、白く変化して、全身の毛と変わらない長さになる。パンツがはち切れそうなくらいしっぽが伸びてきた。だんだん立っていられなくなり、コノハは両手を地面について、四つん這い状態になった。すると、着ていたセーラー服が緩んできて脱げてゆく。
「はぁ……はにゃぁ……にゃぁ……」
声色が変わり、コノハは自分の着ていた服に裸で横たわっていた。体は今、最高潮に熱い。過去の経験で体の熱が抜けるまでまだもう少しかかることはわかっている。それまでは少し、服の中で横たわっていよう。
(はぁ……はぁ……はぁ……少しは慣れてきたかな。もう何回も動物に変身しているんだから)
コノハは呟いたが、声として発音されたのは「にゃー」というものだった。
体の火照りが引いてきたら、コノハは自分の制服をくぐって、外に出た。全裸でもこの姿なら全く恥ずかしくない。獣は服など着ない。そう、今、コノハは誰が見てもヒトとは思わない――白ネコになっていた。
「にゃぅー!」
思いっきり全身の伸びをする。
(さーて、まずは服をカバンに入れないと! 見つかったら何かの事件とか思われちゃう)
ネコになったコノハは口で自分の服を銜え、前足で器用にカバンに押し込んでゆく。そして、カバンをこれまた器用に前足で閉め、誰かに持っていかれないように体全体を使って物陰に隠す。変身してしまうと脱げてしまったものをどうするかが一番の問題だが、今日は大丈夫だろう。
「にゃにゃにゃにゃ~ん♪」
コノハはネコが鳴かないようなリズムで上機嫌に歌った。
(さぁーて、今日はネコになって何をしようかにゃ~ん)
すっかり気分的にもネコになったコノハは、早速、町中に走りだした――