恵まれた人は、
自覚してはならないし
自覚しないと危険である。
宮部みゆきの名もなき毒を読んだ。
じわじわじわ
染み込んでくる毒
じわじわじわ
滲み出てくる毒
私たちは、いつだって第三者だ。
誰かの人生の登場人物なんだ。
その人にとって、良い登場人物でありたい、と思いながら、会い、言葉を交わす。
あくまで、こちらは登場人物。主役ではないのだ。
誰かに何かを押しつけてはならない。
賢者を、師を、選ぶのは主人公だ。登場人物ではない。
人は皆、異なる立場を持ち。それぞれが「普通」と「理想」の基準を持っている。
例えば、立場Aの人が自身の立場を「普通」だと感じていたとしても、
立場Zの人にとっては、「普通」ではない「理想」的な環境にいると思えるのかもしれない。
だが、注意しなければならないのは、自覚してはならない、ということだ。
「羨ましいよね」とか
「可哀想」とか
考えるのは、危険だ。
そう思った瞬間、自身の「普通」は変わり
そう口にした瞬間、立場Zの「普通」は壊れてしまう。
育ちの良い人
人の良い人というのは、
無自覚な人を指す。
自身の立場も、相手の立場も意識しない。
故に、偉ぶることも、貶めることも、卑下することも、無碍に扱うこともしない。
自身の立場が恵まれたものであることに感謝を
親や友人に巡り会えたことに感謝を
一瞬、頭に浮かべ、微笑みを浮かべたら…
次の時にはもう、自身の持つ、「理想」に「普通」を近付けるべく、努力する。
それが私の考える「普通」の人生。
主人公だと思い込んでしか、動き出せない傲慢を、しようがないと苦笑して、鈍い痛みを抱え込もう。
人を無自覚に傷つけてしか、やりたいことはなれないのだから、ごめんなさいと、自身がそれに気が付かないよう気を付けて、人の人生に首を突っ込もう。
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