金木犀の香り日本には四季があります。桜の花が咲くと春の訪れを感じるように、金木犀の香りに気が付いた時に、秋が深くなった事に気付きます。桜も金木犀も、気付かせるのは季節だけではなく、その季節に無邪気に無防備に過ごしていた幼い日の自分。金木犀の香りで言えば、思い出すのは小学生だった頃の放課後。世の中というものを知らず、だからこそ何も考えず自分でいられたあの頃。金木犀の香りに気付く私は、間違いなくあの時から成長した私なのだけれど、ひどく懐かしくあの頃を思っている。帰れるものなら帰りたいと。