『きつねのはなし』 森見登美彦




「知り合いから妙なケモノをもらってね」籠の中でなにかが身じろぎする気配がした。

古道具店の主から風呂敷包みを託された青年が訪れた、奇妙な屋敷。

彼は、そこで魔に魅入れたのか。(表題作)

通夜の後、男たちの酒宴が始まった。やがて先代より預かったという‘家宝’を持った女が現れて(水神)

闇に蟠るもの、おまえの名は?底知れぬ謎を秘めた古都を舞台に描く、漆黒の作品集。




森見節は全くないのですが、4つの物語が少しづつ繋がっているところは流石でした。


ただ、怖かった・・・。


ホラーではないのですが、静かで底知れない怖さがありました。

森見さんのファンタジーのダーク側が、こういう作品になるのだなと思いました。

森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』



「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。
けれど先輩の想いに気づかない彼女は、頻発する“偶然の出逢い”にも「奇遇ですねえ!」と言うばかり。
そんな2人を待ち受けるのは、個性溢れる曲者たちと珍事件の数々だった。
山本周五郎賞を受賞し、本屋大賞2位にも選ばれた、キュートでポップな恋愛ファンタジーの傑作!


森見登美彦さんの代表作といっても良いのでは無いでしょうか?

大好きなので、読むのは3回目になります。
更に、私は淑女なので森大きい子(単行本)と小さい子(文庫本)を揃えています!
詳しくは、森見さんブログをご覧下さい。



京都を舞台にした、相変わらずの森見節!

そして、可愛くヘンテコな人や事件!

森見さんは、何故あんなにオモチロイ事を次から次へと思いつかれるのでしょうか?



本当に、たくさんの個性的なキャラクターが出てくるのですが、その中でも私は樋口さんが大好きです!
もう、なんとも言えない飄々とした変人ぶり!堪りません!!
樋口式飛行術を、私も取得したい!!



樋口さんと羽貫さん、詭弁論部など、他の作品にも出てくる人や物もあるので、他の作品を読んでる方は更に楽しめると思います。


解説で羽海野チカが描いてらっしゃる乙女が、凄く可愛いくて理想!
あんな乙女になりたいっ!
あんな乙女なら、私でも先輩のように恋をしてしまいます。

カバーの中村祐介さんのイラストも単行、文庫共に素敵なので、是非そちらにも注目して頂きたいです。



いつか、偽電気ブランを呑み
詭弁を弄し、詭弁踊りを舞い
樋口さんのごとく空を飛んでみたいものです。

新潮社『江戸川乱歩傑作選』


日本における本格探偵小説を確立したばかりでなく、恐怖小説とでも呼ぶべき芸術小説をも創り出した乱歩の初期を代表する傑作9編を収める。
特異な暗号コードによる巧妙なトリックを用いた処女作『ニ銭銅貨』、苦痛と快楽と惨劇を描いて著者の怪奇趣味の極限を代表する『芋虫』、他に『二癈人』『D坂の殺人事件』『心理試験』『赤い部屋』『屋根裏の散歩者』『人間椅子』『鏡地獄』





初めて、江戸川乱歩を読んだのですが凄く面白かったです!


何かの番組で、江戸川乱歩の書斎を見た事をあるのですが、実に様々な書物があり、様々な知識を得ていた方だったと知っていたのですが、
今回、作品を読んで、人間の心理や科学的なことについてまで、細かくしっかり書かれている事から凄く納得出来ました。


明智小五郎という、探偵のキャラクターも乱歩作品の強い魅力の一つなので、明智小五郎が出てくり他の作品も、もちろん気になります。

しかしやはり、最大の魅力は、恐ろしくもあり美しくもある、怪奇な世界観だと思いました。

日本人の乱歩だからこそ、描けた世界なんだと、私は思いました。


間違いなく江戸川乱歩は天才だと思います。