下北沢について
今日発売されたよしもとばななさんの「下北沢について1」を生ビールを片手に読んでいた。この本は限定500部で下北沢の「B&B」で販売している。下北沢にわざわざ買いに来ることがポイントである。今時、密林で扱わないことにねらいがあると思う。本を買いに来たついでに買い物したり、カフェでコーヒーのんだり、ごはん食べたり、お酒ひっかけたり、ただブラブラ散策してみたりして、自分だけの下北沢を見つけてみる。そんな複層的な楽しみ方をしてほしい。なんだったら、下北沢に住むのはもっと楽しいよ。住んでいると朝や昼間の欠伸したような下北沢を見れるからね。何の商売してるかわからない大人たちが、昼間から飲んでもまったく浮かないこの街の懐の深いところを見て、肯定された気分になってほしい。若い人の街って言われるのは休日と夜だけで、自分より歳上のかっこいいババァ、ジジィの先輩たちがたくさんいすぎるくらい(笑)。昔の下北沢を知っている人からすると、ずいぶんチェーン店が増えたのは確かだが、小さい店がまだまだたくさんあるし、新しい店主たちも実はたくさん芽吹いている。みんな働かされてない、自分の意思で生きている、そんな感じを受ける素敵な店ぞろいだ。たぶん下北沢で店をやる人の根っこが、昔と変わっていないからではないかなどと考える。この本は、よしもとさんが、なぜ下北沢に住むことになったのかの記憶の旅から始まる。確かに自分もいろんな街に住んでみて、最終的に下北沢に行き着いたのかを考え出した。高校生のころ、漫画家の岡崎京子さんが描いたものに、かつて駅前にあったドトールコーヒーの中庭がパリみたいだとか、ブルーハーツのヒロトが珉亭で働いてたとか、清志郎があの店の今川焼を食べてるとか、そういうたくさんの下北沢の情報は頭の片隅で見ていた。でも何か大きなきっかけはなかった。何となく吸い寄せられていったという感じではないだろうか。流れ着いたというのが一番しっくりくる表現だ。仕事や旅行で、他の街へ行って戻って駅前を歩いている時、たくさんの人たちの顔を見ると、何とも言えない安堵を感じる。ただそれだけは言える。
