アンドロイド版「三人姉妹」

かつては家電メーカーの生産拠点があり、
大規模なロボット工場があった日本の地方都市。
円高による空洞化で町は衰退し、
現在は小さな研究所だけが残っている。
先端的ロボット研究者であった父親の死後、
この町に残って生活を続けている三人の娘たち。
チェーホフの名作『三人姉妹』を翻案、
日本社会の未来を冷酷に描き出す、アンドロイド演劇最新作。
こんな設定で始まるこの舞台、アンドロイド版「三人姉妹」を観てきました。アンドロイドが出演する舞台は初体験です。ここではロボットもアンドロイドも役者もすべて等しく監督に動かされていて、脚本、演出はプログラムのようなものとして機能してます。アニメなどは監督の演出通りに絵を動かしているわけだから、舞台の上でも命をふきこまれたのは、機械だけではないことになっちゃいます。だから作られた心なのか、本当の心なのかは区別がつかないということにもなります。ちょっと待てよ、そもそも私たちの心とやらが不確かに感じてきますよね。そんなことを考えながら観ているとぞくっとしてきます。人間の肉体を伴わなくても生々しさがあるだろうということは、未来のシミュレーションである舞台を観てちょっとわかってきたような…。人間が働かなくてもいい世界なら、その時の生きる意味や死の定義でさえも儚く消えてしまいそうです。まあ、この物語のような未来になるのかもまだまだわかりません。ラッダイト運動が起こって、もっと中世のような世界に逆戻りするかもしれませんしね。個人的にはロボットやアンドロイドがいる世界に興味ありますが、その時人類みんながロボットを買えるだけの経済力が、実際未来の世界にある気がしないのがこの物語のリアリティを揺らがせる気もしました。