園子温週間 | Hemoglobin by Blood Tube Inc.

園子温週間

「冷たい熱帯魚」に続いて園子温作品を立て続けに観ました。まだまだ過去の作品すべてまで到達してませんが、個人的には「冷たい熱帯魚」と「愛のむきだし」がよかったです。今度はヒミズを観なくては!そして最新作は原発をテーマにしてるとか!?


「愛のむきだし」の笑いのセンスは最高です。満島ひかりのコリント人への第1の手紙第13章の長セリフのシーンとのギャップが、より普通じゃない何かを残します。どの映画も徹底的に最後まで描くのがこの監督の特徴なのか、DVD2枚になる大長編なのですが、あっという間で見ていて爽快でした。

そして「恋の罪」には田村隆一さんの「帰途」が印象的なモチーフとして使われています。この詩が出てくる時に空気人形のセリフを思い出しましたが、この映画の人間たちの方がより空気人形でした。

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
言葉のない世界
意味が意味にならない世界に生きてたら
どんなによかったか

あなたが美しい言葉に復讐されても
そいつは ぼくとは無関係だ
きみが静かな意味に血を流したところで
そいつも無関係だ

あなたのやさしい眼のなかにある涙
きみの沈黙の舌からおちてくる痛苦
ぼくたちの世界にもし言葉がなかったら
ぼくはただそれを眺めて立ち去るだろう

あなたの涙に 果実の核ほどの意味があるか
きみの一滴の血に この世界の夕暮れの
ふるえるような夕焼けのひびきがあるか

言葉なんかおぼえるんじゃなかった
日本語とほのすこしの外国語をおぼえたおかげで
ぼくはあなたの涙のなかに立ちどまる
ぼくはきみの血のなかにたったひとりで帰ってくる


どの映画も家族とか親子とかそういう関係が描かれています。哀れみや悲しみが視点が変わるごとに移動していき、感情移入さえ陳腐化させられるのがとてもうまい。ドロドロしているのにどこかさらりとしたこの感覚は、人間の滑稽さをきちんと描いてくれているからこその爽やかさなのかも。