記憶の可塑性(plasticity)にNMDA受容体が深く関与しており、かつMg(このサイトでは塩化マグネシウムを推奨しています)はNMDA受容体の興奮を通常は抑止しています。ストレスによってMgが体外に排出されることによって、身体を緊張させて危機に応答しますが、この時痛みの閾値も下がることになります。昨日の記事では、Mg自体が、痛み止めの効力を増強することを採り上げました。今日調べた記事は、一度下がってしまった痛みの閾値は、元の状態に戻るまでに11-20日ほどかかる、というものです。うつは「体内での何らかの炎症」が引き金になっているという説も強く、抗炎症作用としてのMgの効果は比較的早期にでますが、痛みの感じやすさ(過敏さ)に効くまでには2-3週間様子をみる必要がありそうです。

 

痛みを強く感じるのには、①痛みの閾値が下がる、というものと、②ドーパミンが減少する、という、少なくとも2つの理由があります。Mgと共に、ドーパミンの合成に役立つ、ヘム鉄、ビタミンD、フェニルアラニンをおすすめします。アミノ酸サプリを通販で買うのが心配な方は、少しお値段は上がりますが、ヴァームダイエットで様子を見るのがおすすめです。

 

 

 

 

 

 

資料は以下を参照しました。
Eur J Pharmacol. 2003 May 23;469(1-3):65-9.
Does Mg2+ deficiency induce a long-term sensitization of the central nociceptive pathways?
Alloui A1, Begon S, Chassaing C, Eschalier A, Gueux E, Rayssiguier Y, Dubray C.

以下訳文です。
ラットにおいて、Mg(2+)-欠乏食(それはMg(2+)血漿濃度、脳脊髄液(CSF)と脊髄を二、三日中に劇的に減少させた)は、侵害受容閾値の有意の低下を伴った。
再ロードした後に、Mg(2+)濃度は、脊髄とCSFで急速に正常化された。
平行して、Mg(2+)欠乏によって誘発される神経性障害はその24時間を差し引いた中で消えた、しかし、痛覚過敏の反転は最高11~20日延ばされた。
ジゾシルピン(MK-801)のこの典型的な、頻回の用量において、非競合性NMDA受容体アンタゴニスト((2+)減少するMg治療食のスタートで与えられる)は痛覚過敏を防止した。そして、NMDA受容体チャンネルの介入を示唆した。
正常な痛覚域値の遅発性の回復は、侵害受容経路の長期の感作の証拠となる。

NMDAには、通常はマグネシウム・ブロックがかかっている
https://ja.wikipedia.org/wiki/NMDA%E5%9E%8B%E3%82%B0%E3%83%AB%E3%82%BF%E3%83%9F%E3%83%B3%E9%85%B8%E5%8F%97%E5%AE%B9%E4%BD%93