バガボンド 8巻 | お役に立ちません。

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バガボンド(8)(モーニングKC)/井上 雄彦
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いよいよ、胤舜とのバトル。
槍の天才対、刀の野性児。
静かな山の夜の対決…


憎み合ってるわけじゃない。
因縁があるわけでもない。

それでも命をかけて戦うのは、そこに人生をかけてるから。
命の重み、魂の在り処、生きていく理由。
それを全て、戦い、強さ、というものに乗せてるから。

常に余裕だった胤舜が次第に追い詰められていくほど、
武蔵はある境地に達している。
もう、そこまでいくと禅の境地。
一定の境地に達すると、物事はひとつなのかも。
アルジャーノンに花束を、のように。

己を俯瞰する、周り全てが見える。
”相手”が見える。
その境地に達して、武蔵は胤舜を斬る。


クールな戦いだった…
胤栄たちだけでなく、読者も息をつめて見守ってしまうような、
その場に立ち会っているような。
胤舜の過去もかいま見れたし、
お互いグン、と成長した。

幸いにも胤舜は命を取り留めて、
また会おう、と今度は戦わずに、
と言えたのが凄く良かった。
命をかけても、そこに憎しみはないから、何か通じ合ったものが生まれる。

そんなことがほんとにあるかは分からないけど、
これは人殺しの物語じゃなく、求道者の物語なんだな。