- 王都奪還・仮面兵団 ―アルスラーン戦記(7)(8) カッパ・ノベルス/田中 芳樹
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ギランにて豊かな資源と新たな兵力を獲得したアルスラーン。
アンドラゴラスの正規軍とは別に王都奪還を目指す。
また、ヒルメスも独自の軍を用いて王都奪還を狙っていた。
昨日散々言っておきながら続き。
だってやっぱり気になるし。
基本、シリーズ物は完結まで読まないとスッキリしない…
いよいよ、王都奪還が成就するんだけど、
パルス正規軍はアンドラゴラスが、事実上遊撃隊としてアルスラーンが(ただし認められていない)、
また、そのどたばたの間隙を突いてヒルメスが、それぞれ王都を狙う構図。
こういうの考えられるところがこのひとの面白いところ。
本気で歴史や用兵が好きで、山のような資料を読み込んだからこそ出切る技かと。
しかし、意外性に固執するあまり、意外すぎて逆に拍子抜けな結末が。
アンドラゴラスに訪れる。
えー、となんか気が抜けてしまった。
なんか、たぶんこの話の中で一番人間離れしたひとの退場理由がこんなん??
その他がストレートに来ていたら、面白い意外性に思えたけど、
”意外な展開”ばかりでここまで来ているから、なんだかなぁ、って思ってしまう。
あと、当時リアルタイムでこの話楽しみにしていた人は、
ようやくアルスラーンが本懐を遂げるまで待たされて待たされてこれ!?みたいな(笑)
”仮面兵団”の方は完全に新章突入。
全てを失ったヒルメスが痛々しくも清清しい。
元々は血筋は完璧なる正当筋なのに、このひと苦労しすぎだよねぇ。
手に入れた平穏はたった3年間だったし。
その3年間を経て、若干ひとが変わってしまった感が。
でもこの仮面兵団のアイディアは面白い。
わくわくする。
パルスは取り戻したけど、次は近隣諸国との戦国時代編へ。
これはこれで楽しみなんだけど、
いよいよ、蛇王ザッハークが物語の表舞台へ顔を出し始めるんだよね。
実はこれが個人的に気に食わない。
偽史ものとして楽しんでるのに、
魔王の存在のせいで、一気にそのへんのお気楽ファンタジーと同じ匂いがしてくるんだよね…
せっかく、風俗描写とかも詳細になってきて、リアル感がとても楽しかったのに、
それを一気に台無しにしてしまう。
物語の一番大きな筋だとは分かるんだけど、どうしても余計なエピソード感が否めない。
これから、こっち方面の話が進んでいくから、昨日の”5巻までがいい”になってしまう。