読売オンライン 様から転載させていただきました。
東京電力福島第一原発事故で多くの住民が避難した福島県川内村は、農業を早期に再生させるため、農地の除染計画をまとめた。農家が自らの農地を除染できるようにしたのが特徴で、「農家のやる気を引き出すことにもつながる」と村は期待している。来年はコメの作付け制限を行わず、作付面積を震災前の水準に戻すことを目指している。
計画によると、国が直轄で除染する旧警戒区域を除く水田、畑、草地の計約707ヘクタールが対象。震災前から遊休地だったところ以外は、ほぼ全ての農地で除染が行われる。
村内では民家の除染がすでに始まっており、通常の業務委託では農地除染の人手の確保が難しいと判断。県と検討を重ねた上で、農家自身の参加が中心となる方式を決めた。
村の委託を受けた川内村農地復興組合を通して各農家に除染の賃金が支払われる。農家自身が除染を行うことが難しい農地については、組合が除染する。
村は今年度の6月補正予算案で除染に要する費用10億2000万円を計上。当初予算と合わせて計14億6000万円になった。
除染の開始前に、村は月内に土壌に含まれる放射性物質の濃度調査を開始する。7月以降、除草を行った上で、セシウムの濃度など状況に応じた除染が始まる予定。土壌1キロ・グラム当たり5000ベクレル以上のセシウムが検出された水田については表土の除去を行い、それ以外は「反転耕」または「深耕」を行い、吸着剤のゼオライトなどを散布する。その後、再び濃度を調べて、草地以外は11月末までに作業を完了させる予定。
村内と、避難者が多い郡山市、いわき市で18、19日に行われた説明会には、計100人以上の農家が参加。10アール当たり3万3000~4万円の作業単価などが説明され、「地域にまたがって田を持つ人はどうすればいいか」「その単価で出来るのか」などの質問が出された。