http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2012040202000085.html
原発に頼らない社会づくりを進めるドイツで大きな影響力を持つマックス・プランク物理学・宇宙物理学研究所名誉理事長ハンス=ペーター・デュール さんと、持続的資源管理のための国際パネル共同議長エルンスト・フォン・ワイツゼッカーさんが二月末、名古屋大で開かれた国際シンポジウム「地球にやさし い資源・エネルギー利用へ~東日本大震災から一年」で、それぞれのエネルギー観を披露した。示唆に富む二人の考えをまとめた。 (飯尾歩)
◆エルンスト・フォン・ワイツゼッカー氏
気候変動、資源、エネルギー利用、地球と人間社会の持続可能性を考えたとき、まずエコロジカル・フットプリントを引き下げなければなりません。七 十億人の地球人口全てが米国並みに資源を消費しようとすれば、あと五つ地球が必要です。ライフスタイルによるところも大きいと思われます。問題を解決する には資源効率を改善しなければなりません。
もし資源効率を五倍に高められれば、地球は一個で足りるのです。フットプリントを下げながら、豊かさを維持することが求められているわけです。経済発展をたどりつつ、地球温暖化の原因になる二酸化炭素(CO2)の排出量は減らさなければなりません。
日本は深刻な原発事故を体験しています。放射能は広範囲にわたり、悲劇を生んでいます。CO2削減を原発に頼ることはできません。自然エネルギー はいいですが、これにも頼りすぎてはいけません。ダムはもとより、風力や太陽光発電所を造りすぎると、景観を傷つけます。バイオ燃料ブームで、トウモロコ シ畑や油を取るヤシ畑が延々と広がるのは“生態的悪夢”といえるでしょう。
CO2を排出せずにエネルギーを獲得することよりも、エネルギーをなるべく使わず豊かになることに軸足を移さなければなりません。
ドイツでは、イチゴヨーグルト一カップを作るのに必要な材料の移動距離を積算すると、八千キロにも上ります。私たちは、貴重な資源やエネルギーの多くを無駄にしています。電力も同様です。省エネへ、挑戦の余地は十分です。
◆ハンス=ペーター・デュール氏
原子力の問題に長い間関わってきました。原子力について、よく知っていると申し上げてもいいでしょう。私は原子力の使用について反対で、平和のための原子力という考え方にも反対です。
平和利用は理論的には正しいかもしれません。しかし、それが前提であっても軍事転用されないという保証はありません。ヒロシマ、ナガサキに至った技術の開発を私たちは許し、多くの命を失いました。
一般論として言えるのは、どんなに精巧な計算に基づいて作ったシステムでも最悪の場合は事故に至るということ。その恐れが少しでもある以上、結果 が受け入れられないものならば、ノーと言わねばなりません。多くの人命が失われる恐れがある場合、次の世代にまで影響を及ぼしてしまう恐れがある場合、そ れは受け入れられないと、声を上げねばなりません。
起こる確率は何%かとはじき出すのは意味のないことです。ゼロでない以上、事故は起こり得ると認識せねばなりません。世界に拡散する核物質をコントロールすることは非常に難しい。
重要なのは、石油やガスなどの化石燃料が枯渇してしまったときにどうするか、ということです。地上のものは有限ですが、私たちは太陽から無限のエネルギーを獲得することが可能です。
原子力に頼ることができない以上、私たちは限られた選択肢を賢く管理しなければなりません。風力とか、バイオとか、代替エネルギーを組み合わせ、バランスを取りながら、どのように太陽光を使いこなすかを考えていくべきです。
◆日本に大きな示唆
シンポジウムを企画した名古屋大環境学研究科の林良嗣教授の話 デュールさんは豊富な科学的知識と経験を基本に、原発に頼らず、長期的展望を持っ て宇宙規模でエネルギーバランスを考える雄大な社会観を示している。ワイツゼッカーさんはコストなども考え、その社会観を実現するための方向性を示してい る。震災後の日本社会、環境の再構築に示唆を与えてくれている。
<エコロジカル・フットプリント> 人間がいかに自然資源に依存しているかを表す指標。一人を養うのに、海などを含めた地球上の面積がどれだけ必要か、で示す。
「七 十億人の地球人口全てが米国並みに資源を消費しようとすれば、あと五つ地球が必要」なんですね。先進国の中でアメリカが消費国第一位としても、日本やあとの先進国もきっととんでもなく消費していることでしょう。
地球がなん個も必要なくらいのエネルギーがなくたって、生活できるはずですよね。
「もし資源効率を五倍に高められれば、地球は一個で足りる」これが本当にできたらすばらしいと思います。科学技術の発達で、いつかは夢ではなくなるのかな。
将来、「世界はかつて原発なんていう、野蛮な恐ろしいエネルギー源に頼っていた」なんて、歴史で学んだりして。そのさい、「東電」という最悪企業のことも教科書に載せなければ。