以下転載
http://blog.hokkaido-np.co.jp/staff/archives/2011/08/post_977.html
核のごみはどこへ
原子力安全・保安院のやらせメール問題などで混乱中の今月1日、東電は福島第一原発の1号機と2号機の間の屋外で、毎時10シーベルト(1万ミリシーベル ト)のきわめて高い放射線量を検出したと発表しました。10シーベルトを被ばくすると、ほぼ全員が死亡します。翌2日には、1号機の建屋内で毎時5シーベ ルトの放射線量を計測。計測器は5シーベルトしか測れないため、正確な線量は不明だということです。しかし、この関連のニュースはマスコミでは大きく扱わ れていないようです。
それに比べて、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの導入のニュースは華々しい。原発事故後に突如反原発論者に変貌した孫正義氏のソフトバンクがどこそこにメガソーラー施設を作る「計画」がある、といっては、大騒ぎです。
マスコミでは、再生可能エネルギーが原発を代替するかのような印象ですが、私は、再生可能エネルギーは原発の代替にはなりえないと思っています。少なくとも今の段階では…。
だからといって、私は原発推進ではなく、むしろ原発に批判的な立場の人間ですが、いま、怖いのは、再生可能エネルギーの導入に慎重な姿勢を示すだけで、反 原発の立場から原発推進論者のレッテルを張られかねないことです。「急いては事をし損じる」というように、脱原発や再生可能エネルギーのマスコミでの取り 上げ方も、冷静で客観的な議論がほしい、と日々、感じています。ましてや東日本大震災、世界同時株安、円高と、満身創痍の日本経済。よりダメージが少ない 方法で、脱原発を進めてほしいものです。
そんな中、先月30、31日の2日間にわたり、道北の豊富町で、「ほろのべ核のゴミを考える全国交流会」が開かれ、私も参加してきました。豊富町の隣の幌 延町には、高レベル放射性廃棄物の地下埋設処分の方法を研究する「深地層研究センター」があります。「核廃棄物を持ち込まない」という条件で、2003年 に着工しました。2005年からは、地下深くまで立て坑を掘る地下研究施設の建設も始まりました。
福島原発事故で、幌延のこの施設が放射性廃棄物の処分地になるのではないか、という不安が地元で広がっています。関心の高さから、今年の交流会には、全道 各地から昨年の倍の120人が集まりました。初日は、福島県農民連の亀田俊英会長が講演し、2日目は、深地層研究センターを見学したあと、地層処分の研究 を行わないように申し入れを行いました。原発を運転すると、使用済みの核燃料が残ります。燃料といっても、まきや石炭と違って、燃えて炎が出るわけではありません。原発では、ウランが核分裂反応をして、そこから膨大な熱が出ます。核分裂反応で使用後の核燃料には、多くの種類の放射性物質が含まれています。
日本では、この使用済みの核燃料の処分方法について、
①まだ発電で使えるウランとプルトニウムを取り出して(再処理)、核燃料として再利用して、通常の原発で使う。つまり泊原発3号機で計画されている「プルサーマル」のこと。
②ウランとプルトニウムを取り出して残った、核分裂生成物などの高レベル放射性廃棄物を、ガラスの塊に閉じ込めて、地下深くに埋設する。
幌延町で、実験・研究されているのは、②の部分です。
全国交流会の2日目は、幌延町にある日本原子力研究開発機構(略称・原子力機構)の「深地層研究センター」を訪問しました。
<見渡す限りの牧草地と原野ですが…>
<突然、巨大な建物が見えてきます>
「深地層研究センター」には、「ゆめ地創館」というPR施設があります。センターの研究目的のほか、原子力のエネルギーが生活にどのように役立っている か、原発の使用済み核燃料がどのように処分されるか、などを展示するパネルやPRビデオなどがあります。今回は、時間がなく、じっくりと見学できませんで した。原発のPR施設とよく似ているという印象でした。
この「ゆめ地創館」に隣接して建設されている「地層処分実規模模擬施設」にも、地層処分のPR施設があります。同じ敷地にはありますが、運営主体は、別です。
「ゆめ地創館」は、日本原子力研究開発機構が運営しますが、「地層処分実規模模擬施設」は、財団法人・原子力環境整備促進・資金管理センター(略称・原環センター)です。どうして原子力関連の団体や施設の名前は、長くて覚えにくいのでしょう。
ところで、地層処分実規模模擬施設には、高レベル放射性廃棄物を閉じ込めるガラスの塊(いわゆるガラス固化体)や、そのガラス固化体を入れる巨大なドラム缶のような鋼鉄製の容器、その容器を保護する緩衝材などが展示されています。
<展示物のひとつ。ガラス固化体を入れる鋼鉄製の管です>
高レベルの放射性廃棄物は、何万年という気の遠くなるような年月、地下深くに埋設して、地表に放射能が出てこないように管理しなければなりません。まさにSFの世界の話のようです。
しかし、地震で地下深くに作った処分場がダメージを受け、高レベル放射性廃棄物を閉じ込めた頑丈な容器が破損したり、長年、地下水にさらされて金属性の容器が腐食して、中から放射性物質が漏れ出る可能性もあります。
全国交流会の参加者たちは、一生懸命に、容器や施設の耐久性について質問していました。
そもそも、地層処分について周知したいのなら、幌延のように人口密集地から離れた場所よりも、首都圏や札幌にPRセンターを作った方が効果的なのではないでしょうか。
<日曜日の午後とあって、幌延町の市街地の人どおりは極めて少なかったのですが…>
<町役場は、城のように、立派でした>
北海道の高橋はるみ知事は、17日午後、北電の泊原発3号機の再開容認を正式表明しました。知事がどのような根拠で、3号機の安全が担保されていると判断したのか、明らかにされないまま、再開となりました。 道民が原発の安全性やその必要性について、真っ向から議論する好機でしたが、知事や道庁幹部はその機会を生かそうとはしませんでした。そして以前とかわらず、安全の担保を国や北電にゆだねています。 一方、幌延では、着々と、埋設処分の研究と実験を目的として、地下深くへと坑道が作られています。道民の安全や安心を求める声よりも、政府の意向が尊重されるような体制の中で、果たして、幌延に核のごみを持ち込ませないという道の条例が守られるのか、不安でなりません。