体罰孝(5)先生と自治体主張・・・方向が違う | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

体罰孝(5)先生と自治体主張・・・方向が違う (1/14)




市長より寿司職人が握った寿司の方がうまい。
市長より学校の先生の方が子どもの教育は優れている。



学校の先生がまずいことをした原因の一つは、市長の「学校運営に関する政策」が悪いからだ。



市長が優れているのは教育では無く、市立の学校の教育がうまくいくための全体の政策であって、個別の教育内容では無い。



日本の小学校、中学校の教育が歪んでいるのは文科省の利権のため(次回に解説します)だから、市長の役割は「市立学校の教育が混乱していることについて、文科省と検討する」ことであって、決して教育委員会や先生を圧迫することではない。



事件を起こした先生を罰することはたやすいが、事件が起こらないことや、教育を改善することが難しいのだ。



だいたい、15年ほど前鳴り物入りで「ゆとりの教育」を始め、数年で撤回した文科省や自治体に教育を論じる資格などない。



私たちの子どもは大切だ。だから、子どもは「親と先生」で教育をするべきで、自治体や文科省は出てきてもらっては困る。



弱い者イジメは止めた方がよい。だいたい、東電が怖くて「子どもを被曝させても健康を心配しない」自治体に教育を論じる資格は無い。


(平成25年1月14日)





--------ここから音声内容--------





体罰孝も五回目になりましてですね。私のブログのシリーズとしては大変に長寿を保っておりますが(笑)今日は、先生と自治体の市長、市長さんとか町長さんとか、そういったような関係をお話をしたいと思いますが。





えー、最近テレビを見てますとですね。大阪で起きた不祥事(体罰によると言われている高校生の自殺問題)について先生は全然表に出てきません。それから、教育委員会は頭を下げとりまして、市長さんはテレビの前で怒り狂っておりました。「何人も使って、徹底的に調査し、何だったら潰すぞ」と言っておりますが、こういうことは非常に危険なんですね。





何が危険かをここでお話をしたいと思いますが、単純な例から言いますとですね。一般的に市長さん、例えば大阪市長でも名古屋市長さんでも、どこの市長さんでもいいんですが、市長さんが握ったすしよりも、すし職人が握ったすしのほうがうまいんですよ。これ、なんでですかね?





市長さんとすし職人のどっちが偉いかっていうと一般的には、すし職人より市長さんの方が偉いんですよ。じゃあ、偉い人が握ったすしがなんでうまくないのかっていうと、すしを握るにおいては、すし職人の方がうまいんですよね。





じゃあ、市長さんと学校の先生と比べて、子どもの教育はどっちが優れているかというと、学校の先生が優れております。どんな市長さんが偉くても、(例えば)総理大臣が偉くても、ですね、やっぱり小学校の教育は小学校の先生が優れております。これはお寿司の職人と一緒ですね。専門職っていうのは誰でもが出来るものでもありません。





で、今度の事で、学校の先生がまずい事をしたとしますね。生徒さんが亡くなったわけですから、これはもうまずい事としますとね。その原因は先生の指導もありますよ。しかし、もう一つは市長の、学校の政策が悪かったからってことなんですよね。





学校の教育って言うのはその先生だけが責任があるっていうわけじゃないんですよ。どういう学校を造り、どういう教育をするっていうのは別の所で決まったりしますね。それに基づいて先生は具体的な事をします。それから今度の場合でもスポーツをやってる子どもを学校が就職させる時に、ま、大学に推薦入学をさせる時に、ある成績をとってないと推薦入学できませんね。そういったシステムにも問題が在ったわけですよ。





つまり、今度の体罰の事件というのは、具体的な体罰をした先生は「体罰をした」ということが悪いかもしれません。しかし、それ以外に、社会だとか、教育システムだとか、文部省とか、市長さんとか悪くなかったのかと。いうと、やっぱり悪かったんですね。それぞれの担当の所で悪かったんですよ。





市長さんは、自分の担当の所の学校がそれを起こしたと、深く反省して、私には言う資格が無いというのが正しいんですよ。市長が優れているのは教育じゃないんですよ。市長を我々が投票するのは、市の運営に対して優れているからなんです。例えば大阪市の学校に問題が起きたらですね、それは大阪市の政策が悪いんですよ。個別の教育内容も悪かったんですが、大阪市の政策も悪いんですよ。市長がやるべきなのは大阪市の政策を変える事であって、事件を起こした学校を非難することじゃないんです。





私はですね、現在の小学校・中学校の教育が歪んでるわけですが、これは文部省の利権の為ですね。これは次回に解説をします。私も教育関係ですから。





それから、市長の役割ですね、それは、私立学校の教育が混乱している事について、文部省と検討する事であって、決して自分より弱い立場の教育委員会とか先生を圧迫する事ではありません。つまり弱いものいじめはいくらでも出来るんですね。事件を起こした先生を罰するとか、そういう事は出来るんですが、事件がまた起らない様にするとか、教育を改善するのは非常に難しいんですよ。そっちをやってほしいんですね。





市長さんは、先ほども言った様に、お寿司を握ってもお寿司はうまくないんですよ。要するに、教育は学校の先生の方が上なんです。市長さんが政策を失敗したんですよ。こういう事が起らない様に市立学校なら市立学校、大阪市の管理する学校をちゃんとするのが大阪市の役割であって、先生の採用試験が問題であったり、なにか自分の方(市の運営)のほうに非があるんですよね。





だいたい、教育関係者って言うのは今度の事で、事故を起こした先生をあんまり非難できないと思うのはですね。たとえば今から10年から15年ほど前に、鳴り物入りでゆとりの教育っていうのを始めましたよね。あれ、やったのは文部省とかそういうのみんなそうですよ、それが(それを)数年で撤回したんですよ。





文部省とか自治体は大きな顔できないんですよ。我々、非常に教育に対してダメだと思って、反省しなければいけないんですよね。あれで子ども達もですね、何か言われると「わたしゆとりの教育の世代ですから」なんて言ってですね、自分を卑下したりしてますよ。本当に可哀想な事をしましたね。





私たちは子どもが大切なんですからね、こどもは親と先生で教育をすべきなんですよ。自治体や文部省は我々が、親と先生が、教育をしやすいシステムを造ったり、お金を出してくれたりするのは大切ですよ。今度の事でももしかしたら、もしかしてですよ、体育の設備が不足してたり、先生に対する給料が安くて人格の優れた先生の数が少なくなってたりするのかもしれませんね。





事実、OECD先進国の中で、日本はもっとも初等中等教育の税金負担が少ないんですよ。これだけを取り上げるわけにはいかないんですが、そういう意味では、なにやってんの大阪市長は、充分にお金出したのかと。えらい貧弱じゃないのと。そんな貧弱な事してたらなかには、十分な先生がいないかもしれないし、それからその中では嘘が蔓延したりですね、レベルが下がったり、するんじゃないかと。それは大阪市の責任なんじゃないですか?私はこう思うんですけどね。





私はですね、ある物事が起ったら、起こった本人(当事者)だけでは解決しないから、そうじゃなくてそのことは何故起こったかと考えるのが上の人なんですよ。お寿司がまずかったら、職人を叱り飛ばしてもダメで、なんでこんなまずい寿司を作る職人を雇ったのかなと、どういうシステムが悪かったのかなと思うべきなんですね。まして自分がすしを握る事なんかできないんですからね。だから、そういうことをよく考えなければいけないと思います。





非常に弱いものいじめの社会になりましたね。これは一昨年の原発がそうでしたね。いままで放射線は怖い、被曝はいけないと山ほど言ってた人たちが東電が怖いので、子どもを被曝させても、健康に心配ないと180度転換したわけですね。これが実は文部大臣であり、文部省であり、教育を担当している市長さんとか、自治体の長だったわけですから。わたしはこの現状を二年前に見てましたからね。ああなんて事だと。思いましたね。





それから見れば、今度の事件が良いとか悪いとかではなくて、学校の先生の方がずっと立派ですよ。だから、そういう状態をですね、わたしはどういう風に考えるか、といううことですね。毎日の様に大阪市長さんがガンガン言ってるのを聞いてですね、あなた少し方向違うんじゃないの?と、思いますね。大阪市長さんともあろう人だったら、もう少し全体を上から見て、割合と教育の問題は続くわけですからね、不祥事が。何故、何故こういう不祥事が続くような学校システムを造ったのか。私も深く反省しております。と(言って欲しいですね。)




まあ、教育現場は教育現場で、今度のことを片付けてもらい、(市長)私は私で文部省と話しをして、日本の学校教育をもっとよくするように、努力をしたいと。現在わたしが認識している問題点は、例えば予算が少ないとか、校舎が悪いとか、まあ、体育会系の問題については、就職とか大学入試が、えー、インターハイに出たら無関係に大学に入れると、他の人は学力で一生懸命勉強しなければならない。こういった事態をどう考えるのか。その為には若干の行き過ぎも起こってしまう。それをどういう風にするのかと。





というようなことを大阪市がやるべきことを中心に、やっぱり(テレビなんかでも)言って欲しいと思いますね。私はそう思います。これは偉い人が特に気をつけなければいけないと私は思っております。

(文字起こし by まさんちゅ)