それは当然だが(1) 「節約」すれば「尖閣」は取られる | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

それは当然だが(1) 「節約」すれば「尖閣」は取られる (10/12)




(音声で解説しています)



テレビを見ていますと、「中国は尖閣が自分の領土などとけしからん!」と言っていましたが、それ(中国が尖閣を取ること)こそ日本人が望んでいたことです。自分で希望していて憤慨しているようではと思いました。



ここでは、

1)個人の節約ではなく、国が節約すると国が衰退する、

2)国が節約するときには、戦争の前や貧困の時、

3)個人で節約している人を見たことがない、

4)そろそろ「偽善」を止めて、子どものことを考えよう、

5)国が衰退すれば領土は取られる(タンカーの話)、

6)私たちは子どもになにを残そうとしているのか?


をまず明らかにして、それから、


1)お金は充分にある、

2)資源は充分にある、

3)技術もまだなんとか、

4)自分でお金を使う意思がない、

5)たとえば、シェールガス採掘機、ドーム都市を作る、

6)そうなると教育が大切で、そのためには額に汗してという社会になる、


について、議論を深めたいと思います.


(平成24年10月12日)




--------ここから音声内容--------




今回は少し違った視点から見てみたいと思って、新しいシリーズが(を)始めましたが。このシリーズがどのぐらい続くかわからないんですけども、「それは当然ですね」と、私たちが今錯覚してるもののうち、考えてみりゃ当然ですねっていうのを少し取り上げてみたいかと思いますが。





今回は「節約すれば尖閣は取られる」というちよっとこう風変わりなものであります。テレビを見ておりますと「中国は尖閣諸島が自分の領土だと(主張しているが)、けしからん」と盛り上がっております。しかしですね、私に言わせればですね、まぁちょっと極端な話ですけども、中国が尖閣諸島を取り来ることは、日本人が望んでたことではないかというふうに思うんですね。で、自分で希望していて自分が憤慨するっていうことになりますとね、自分がやってることの意味っていうのがよく理解されてなかったかもしれないというふうに最近思うわけです。





個人が節約する、節約が良いとか、もったいないとかですね、節約は日本人の美徳だと、こういうような話が多いんですけども、個人が節約すんのはちょっと後でまたお話しますが、国が…国単位が節約するってことはほとんどないんですよね。あの、国が節約するっていうのは戦争を控えてて、軍艦を買わなきゃいけないとかですね、もうどうにもなんなくて貧困で、通貨がどんどんどんどん安くなると、かつてのロシアのようなもんですね。





ものすごく貧乏になってしまったので、一応ここはですね、もうルーブルという通貨がもうゼロみたいになってしまうと、こういった時にはですね、国単位で節約しなきゃいけないんですが、日本はですね、今は円高ですよね。それから戦争を控えているわけではありません。だから特に国全体で富を集めなきゃいけないってことなくて、むしろ国はですね、国債をどんどん発行してるもの、ほとんど無駄遣いみたいに使っているわけですね。





で、個人のことについては、また機会を見てお話しますけども、個人で私は節約してる人はちょっと見たことないんです。これについてはちょっと話が長くなるんで、また後にしたいと思います。そういったですね、いわゆる国が節約必要がないのに節約と言ったりですね、それから個人が節約してないのに節約と言ったりですね、そういうことをしてると、子供の将来には影響があると、これもちょっと後でもう一回しゃべんなきゃいけないなと思いますが。





今回は国が衰退するということだけですね。国が衰退すんのはどうしてかった言ったら、節約するからですね。例えばかつては日本に石油をどんどん入れてですね、それで発展してきました。しかしもったいないっつって石油の輸入を止めますね。そうすっと石油はアラブから同じように出荷されてますので、それは今度は日本が買わなければ中国が買うということなので、中国はどんどん発展します。もちろん他の国もそうですね。





特に省エネルギー。エネルギーってのはですね、節約すると問題が起きちゃうわけですね。っていうのは、エネルギーを節約すれば国の活動力が減りますから、そうすると結局の所国が衰退するということですね。そうすっと国が衰退すれば当然中国は尖閣諸島を取りに行きます。韓国は竹島を取りに行きます。これは普通の勢いですね。





今から20年ぐらい前とか50年ぐらい前っていうかな、30年ぐらいが一番いいですかね。日本が非常に絶頂期…経済の絶頂期にあって、まだ中国が発展途上の時には、中国は尖閣諸島のこと言って来ないですね。尖閣諸島に石油があるとわかったのは1960年代の後半ですから、今よりか40年ぐらい前なんですけども、それでも言って来ないんですね。それは日本のGDPが中国に抜かれ、国力が中国が上に行き、更に地震とか原発事故があって日本が弱ってると思って来てるわけですね。





こういう点を考えますと、私は「もったいない」という活動というのはですね、日本の子どもに貧弱な国を渡すということになりはしないかと心配してるわけです。で、節約をしなくいいという状態はどういう状態かっていうと、例えばお金は充分にある。今日本は非常にお金充分にあるんですね。これは円高との関係ですが、これは機会があったらまた話をしたいと思います。





それから資源も充分にある。これはこのブログで随分言っております。技術もまだなんとか世界の上の方にいると。しかし問題なのは自分でお金を使う意志がないわけですね。何に使っていいかわかんない。そこで貯金をする。その貯金を国がまたばら撒くと、こういう悪循環になってですね、結局他人の金をもらいながら、テレビを買ったり…エコポイントですね。それから太陽光発電やってりするっていう、自分の足を自分で食べるっていうのは、タコみたいなですね、そういう感じになってるんで、どんどん衰退し中国が尖閣諸島を取りに来るっていうわけですね。





ですから、「もったいないじゃないか」とか言ってですね、中国が尖閣諸島を取りに来てけしからん」ってのは、これ矛盾してるんですよね。やっぱり日本は、例えばシェールガスの採掘機をどんどん開発するとか、都市全体をドームで覆うとか、そういったですね、世界に先駆けた技術を開発していって進歩をしていくということが非常に重要なわけですよね。





そうなりますと、教育が大事だということになりますね。今のようにほとんどそういうことをやる人がいなくなったと、大学生も勉強してないし、勉強して(学校を)出ても社会に(は)報いてくれないと。社会はウソつきばかりいるっつったらちょっと極端ですけども、少なくとも政権はそうだと、こういう状態ですよね。





そうすると学校の時に勉強し、技術を磨き、日本のために額に汗して働いて、それでその報酬を受けると、そういったですね、正しいやり方がなかなか目指せなくなるというわけですね。そういうことで、非常に今度第一回で大雑把に言いましたけども、実は「もったいない、節約をする」というのは良いことのように思いますが、節約には二種類あってですね、自分の子ども、つまり「日本の発展が視野に入ってる場合の節約」とですね、それから「自分だけが良ければいいやという節約」とは大きく違います。





それからできればこのシリーズでですね、節約というのは日本の美徳なのかということにも切り込んでみたいというふうに思います。この「それは当然だが」というシリーズを続けられるかどうかわかんないんですが、ちょっと医療とか色んなものに広がりすぎちゃったもんですから、私の得意な技術とか経済、日本の経済をどう発展させるのか、それから経済っていうか国ですね。国をどう発展させるのか、文化でもいいんですよね。それから技術をどう発展させるのか。我々の子どもたちはみじめな思いにならないのか。ここら辺を中心に少し考えて行きたいなと、今日は思いました。