「瓦礫」と「村八分」:国の違法行為強要 (8/8)
震災瓦礫問題で多くの友人を失った。私にはにわかに信じられないことだが、「規制に違反しても震災地を救うべきだ。瓦礫を引きうけないとは日本人として恥ずかしい!」と激しく言う友人に唖然としたものである。
今、オリンピックで環境省と日本オリンピック委員会が「瓦礫バッジ」を作って、子供達を使って選手に配ったと言うことで問題になっている。そこには「日本のすべての人の力を一つに」とある。つまり、日本人なら震災地からの瓦礫の搬出に協力するべきだということを外国に訴えている。
同じ言動だが、おそらく政府関係者は「嘘つき」で、友人は「無知」なのだと思う。そう考えないとつじつまがあわない。
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国の規制は、格別の注意を払わずに持ち出せる瓦礫は1キログラム100ベクレル以下である。それに対して2011年10月に環境省が示した持ち出し基準は240から280ベクレル以下(環境省廃棄物対策課)である。
細かいことを言えば、・・・以下という時には幅を持たせてはいけない。240から280ベクレル以下というと、260ベクレルは片方では違反、片方では合法ということになる。実に曖昧で奇妙だ。
実は1キロ100ベクレルが決まったのは、つい最近(原発事故の半年ほど前)であり、その決定は日本の放射線被曝に関する主要なメンバーが参加している。
この表は委員のリストだが、メンバーの中には今話題の原子力規制委員会委員候補の中村佳代子さんや、首相補佐官だった小佐古先生などが居る。
そこで承認した基準は、対象物がこの表に示したように、コンクリート片、燃え殻、煤じんなどであり、セシウムの場合、1キログラムあたり100ベクレルと明示されている。日本人は「瓦礫搬出」に反対している訳ではない。「規制を超えた放射性物質を含む瓦礫の搬出」に疑念を示しているだけだ。つまり、「国が法律を破れといっても善良な国民は規制を守りたい」と言っているだけで、これをすり替えてあたかも「汚染されていない瓦礫の搬出に反対している。ヒステリーだ」と叫ぶ政府、環境省、そして私の友人はどういう意味だろうか?
環境省は規制を超えた1キログラムあたり240から280ベクレルの瓦礫を地方自治体に運搬し、それを焼却したときの燃え殻の基準を8000ベクレル以下としていたが、さらに2012年7月に10万ベクレル以下に上げる。
放射線を取り扱う特別な施設でなくても、処理して良いレベルが1キロ100ベクレルだから、8000ベクレルとか10万ベクレルというのはまったく論外だ。とくに、「放射性物質」として慎重に取り扱うことが決まっているのは「1キロ1万ベクレル」で、これを超えた物質を取り扱うと「犯罪」になる。環境省は国民に犯罪を強要している。
また、「薄めることで規制をくぐる」というのは、規制を「骨抜き」にすることだから、国内法の精神に反し、国際的な約束違反である。この「希釈禁止合意」については法律の精神から当然のことで、「希釈すれば良い」ということであれば、1キロ1万ベクレル以上のものでも太平洋に捨てれば希釈されるからOKということになる。
すでにこのことはドイツ放射線防護協会からもクレームがでている。この協会は日本人全部に呼び掛けていて、日本人のミスで漏れた放射線によってドイツ人が2次被曝するような事が無いように、法の精神を守って欲しいと訴えている。国際的にも恥ずかしいことだ。
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つまり、この瓦礫の問題は「順法精神・国際的約束」を持った善良な日本国民が従うことのできないような違法行為を強要し、それに従わなかった国民を「非国民呼ばわり」するという問題である。
これほどハッキリしている間違った行為を、政府、官僚、識者がこぞって「正しい」とするのはきわめて不思議である。仮に、非常時の立法というものを計画しても、それが従来、日本国民の健康を守るために決めた数値となぜ異なるのかについては説明を要する。
福島原発から漏れた放射性物質は80京ベクレル(政府)から100京ベクレル(東電)であり、これは日本中に拡散したら日本国土に誰も住めなくなる量である。だから、事故前より瓦礫などで放射性物質が拡散するのをできるだけ防ぐのが政府の役割であり、違法基準を強要するということは考えられない。
チェルノブイリ原発事故の後、ソ連政府はキエフから大型バス1100台で付近住民の避難にあてさせた。福島の事故でも避難しなければならない地域は広範囲だったのに、政府はバスも出さなかった。
瓦礫の問題は「バスを配車しなかった」という政府の精神状態と共通点があるように感じられる。国民に対する背信行為を続ける政府をなぜ、私の友人や識者が支持して、不安に感じる善良な国民をバッシングするのか、それがオリンピックに及ぶのか、古い迷信的で野蛮な国家に住んでいるようだ。
(平成24年8月8日)
--------ここから音声内容--------
瓦礫の問題についてはですね、相変わらずまぁ、非常に奇妙な日本といいますか、そういうものを感じますですね。私もですね、震災の瓦礫問題では非常に多くの友人を失いました。私にはまぁ、それはちょっと信じられないわけですが、私の知ってる人がですね、「規制に違反しても震災地を救うべきだ」と、「瓦礫を引き受けないってのは日本人として恥ずかしい!」というようなことをですね、非常に激しく言う友人にですね、ちょっと唖然といたしました。
今、たとえばオリンピックもそんな感じですね。環境省と日本オリンピック委員会が「瓦礫バッジ」っていうのを作ってですね、子どもからオリンピック選手に渡すという、そういうようなことをやったようですね。で、「日本のすべての人の力を一つに」ということですが、まぁ日本人としてはですね、もちろん震災は、もちろん救わなきゃいけませんが、瓦礫の中には放射性物質で汚れている物が多いと。こういったものをですね、外国に持っていくってことはですね、ある意味での日本の非科学性っていうか、野蛮性っていうかですね、そういうものを世界に訴えるということになるわけですよね。
私はですね、日本人で「瓦礫の搬出」に反対している人は、「瓦礫の搬出」に反対してんじゃないんですよ。こんなの当たり前なんですよね。「規制を超えた放射性物質を含む瓦礫の搬出」に反対してるってことですよね。もしくは「国全体の方針がハッキリ分からない」ってことですね。つまり、「国が法律を破れ」と言っても、善良な国民は「規制を守りたい」と言ってるだけでですね、これをすり替えるってわけですよ。「汚染されていない瓦礫の搬出に反対するのはヒステリーだ」とこういうふうに政府、環境省、また私の友人がそう言ってるわけですけども。これはね、どういう意味か?ってのを考えますとね、私には、政府とか識者が「嘘つき」か、僕の友人は「無知」なんじゃないかと思うんですね。
たとえば次のことを私が言ってですね、「そうか」と思わない人いるのかな?と思うんですけど。国はですね、格別の注意を払わずに持ち出せる瓦礫は「1キログラムあたり100ベクレル(以下)」と決めてるんです。これはですね、2010年に決まった規則なんですよ。これに対して2011年の10月…1年後に環境省が示した基準はですね、この規制と全く関係ない「240から280ベクレル以下」というふうに言ったんですね。
まぁこれ、ケチつこうと思えばですね、「なんとか以下」っていうときにですね、「240から280ベクレル以下っていったい何だ?と。「260ベクレル」だったら片方では違反、片方では合法ということになりますからね。この「1キロ100ベクレル以下」ってのはやっぱり、あるもちろん根拠があって決めてるわけですから。
そういうのを決めた人達の名前をちょっとここに出します。この表を見ますとね、この委員の中に、今話題となってる原子力規制委員の委員候補になってる中村佳代子さん。この人、アイソトープ協会かなんかの人ですよ。それから、「1年20ミリはいけない」って言った首相の補佐官だった小佐古先生なんか居られます。つまりですね、日本の色々な規定ですね、「1キロ100ベクレル」だとか「1年1ミリ」とか、こういうのはですね、バカが決めたんじゃないんですよ。素人が決めたんじゃないんですよ。今「違反してもいいよ」と言ってる人達が決めたんですよ。
それでこの対象物はどうか?って言うとですね、この表、また次の表に示してるようにですね、コンクリート片、燃え殻、煤じんなどなんですよ、ええ。セシウムの場合でもですね、「1キログラムあたり100ベクレル」と明示されてるわけですよ。環境省はですね、規制を超えた1キログラムあたり240から280ベクレルの瓦礫を地方自治体に運搬するわけですから。
そして、それを焼却したときの燃え殻はですね、基準が「8000ベクレル(以下)」っていうわけですからね。さらにこれを2012年の7月には「10万ベクレル以下」に上げるっていうことですよ。で、これは完全な違法ですよね。で、もし違法でなければ、説明せんといかんですよ。放射線を取り扱う特別な施設でなくても、処理して良いっていうのは「1キロ100ベクレル」なんです。「8000ベクレル」とか「10万ベクレル」ってまったくダメなんです。それから、「1万ベクレル」超えますとね、完全な「放射性物質」になるんで、「罰則」になるんですよ、「犯罪」になりますね。だから、環境省は国民に犯罪を強要してるんですよ。犯罪を強要する役所ってあるんですかね?いったい。いや、あの屁理屈はあるんだと思いますよ、抜け道を考えれば。
それからもう一つ、この抜け道ではですね、「薄めることで規制をくぐる」ってのはダメなんですよ。これは規制を「骨抜き」にしますよね。これは国内法の精神にも反しますし、国際的な約束違反なんですよ。たとえば、瓦礫を1に対して一般ゴミを9混ぜて、1:9にするからもともと10分の1ぐらいになるっていうのはですね、これは国際的にも「希釈禁止合意」ってのがあってですね、ダメなんですよ。
これはたとえばですね、「1キロ1万ベクレル以上がダメだ」って言ってもですね、太平洋に捨ててしまえばですね、希釈されるからOKになる。そんなことやってたらですね、尻抜けになっちゃって。まぁもうすでに、ドイツの放射線防護協会からもクレームがきておりますし、またですね、この協会は日本人全員に呼び掛けてますね。日本人のミスで漏れた放射性物質でドイツ人が被曝しないようにっていうんですよ。まぁ恥ずかしいことですね。
私はですね、この瓦礫の問題はですね、民主党がその…民主党っていう党はですね、これ犯罪集団ですからね、僕には。だって、公約を違反してもまだ議員の席にいるっていうことですから、これはもう明らかな犯罪集団なんですが。「順法精神」とか「国際的約束」を守ろうと日本の善良な市民は思ってるんですよ、国民は。この人達にですね、違法行為を強要するっていう。この民主党と環境省は酷いですね。
で、その違法行為を強要して、違法を従わなかった人は「非国民呼ばわり」というわけですから。これはあの、前に風評被害がそうでしたね。法律に違反するやつを反対したら「風評被害」だと。これと同じですよね。ただですね、これほどハッキリしてる間違いをですね、政府、官僚、識者が「正しい」としてる不思議ですね、ええ。「非常時だから」とかいう話もありますけど。
それからもう一つ。放射性(物質)の漏れた量は80京ベクレル、これ政府発表ですね。東電発表でだいたい100京ベクレル。こうしますとですね、これはまぁ、これが日本中に均一に拡散したら日本に住めない量ですから。ですからやっぱり政府はですね、これに対してどういうことをするのか?と。「助け合い」とかそうじゃなくてですね、少しは科学的な論拠を示してもらいたいと。
それで、心を痛めてる人達に「お前たちは違法行為をなんでしないのか?」と。まぁこの、事故が起こって、「逃げるバスを用意しなかった」っていう、こういう政府の精神状態と同じですね。だけども私が不思議なのは、こういった国民に対する背信行為…たとえば福島原発が漏れて、スピーディーが飯舘村なんかの方が非常に汚染されてると分かってるのに、バスを出してそこの住民を救おうともしなかったんですよ。これと同じですよ、瓦礫の精神状態っていうのは。
で、不安に感じる善良な国民を、なんで僕の友人とか識者はバッシングするのか? それをまた、さらにオリンピックを使って、子どもを使うっていうね。なんていうか、ズルイというか、汚いっていうか、こういう手もあったのかっていうのを続けますね。非常にこう、嫌な日本になったなぁと思いますね。
(文字起こし by haru)