時事寸評 「編集」が「経営」に完敗 (7/1)
【事実1】 2011年夏 財務省と日本新聞協会が「仮に消費税を増税しても新聞の税率は軽減する」との密約を結び、新聞は「増税賛成」のキャンペーンを始めた。
これまでも大手新聞が増税に賛成する記事を出すことが多かったが、2012年7月1日の朝日新聞には1面トップと2面ほとんどで「物欲を税で抑える幸せの国」、「税こそが市場を支える」という刺激的な見出しで「増税は幸福をもたらし、経済を活発にする」というかなり強引な記事を作っている。
【事実2】 日本の大新聞の経営が、編集に圧力をかけて事実を報道しなくなったのは、1930年前後で軍部の圧力、不買運動などで「戦争賛成」、「国際連盟脱退支持」のキャンペーンを行い、その先頭にたった朝日新聞が急増した時期である。
【寸評】 国民は中立的報道によって正しい判断をしたいと希望している。またある新聞が右翼系で親政府、ある新聞が左翼系・反政府であるのは良いが、「新聞協会」のような集合団体が政府と密約を結び、「増税は正しい」などの報道を続けることは社会正義からいって好ましくない。
新聞経営と編集(記事を作り編集する)とはお互いに尊重しつつ独立していなければならない。経営者は「この編集ならビジネスになる」ということで経営をするのであり、編集に口を出すことは新聞という社会的公器からいって望ましくない。
とくに今回の場合、「法案が国会を通過してから、税の軽減の交渉を行う」ならまだ許されるが、法案がこれから国会にかかる1年前に密約を結ぶのは公平性からいって著しく不適切である。
また、増税は「民主党の第一公約」に反するのだから、「選挙に行こう」と呼び掛けた新聞としては到底、認めることはできないはずだ。新聞が増税反対に投票した議員に辛い評価をしているのも、この密約によると考えられる。
読者も日本を愛するなら、完全な情報統制社会、強いものだけが政府と交渉して有利な条件を得るという不公正な社会になってしまうまでに、何とかして具体的な行動に出るべき時だろう。
(平成24年7月1日)
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えー今日の新聞を見てもですね、あんまり良い気分がしませんでした。このところ新聞を見て、あんまり良い気分がしたことが無いんでありますが。例えば、「原発の被曝の問題がほとんど出ない」とかですね、「消費税増税では全部賛成側にまわる」とかですね、政府と新聞の癒着といいますかですね、それが非常に強く感じられます。
まず、一つの事実は去年ですね、2011年夏に財務省と日本新聞協会が「もし仮に消費税の増税が決まっても、新聞の税率は軽減するんだ」という密約を結びます。これをもとに新聞は「増税賛成」のキャンペーンを始めました。この時に、財務省幹部と日本新聞協会幹部が会ったことは間違いないわけですが、勿論その、非常に生臭い話はしないでしょうね。「財務省としては新聞協会に増税の協力をお願いしたい」とこう言いました。新聞側は「ぜひそれについては新聞というのは社会的に重要だから税率の軽減をお願いしたい」とまぁ、こういうふうな話だけだと思います。
実はですね、この税金を多くするというのはですね、財務省にとってどういう良いことがあるか?というとですね、増収…つまり、税金が増えるというのはあまり関係無いですね、一般的にはそう言われております。むしろ財務省の役人の狙いはですね、「こういう特殊な軽減措置を作ることによって天下りとか利権を取る」という方なんですね。まさに新聞という特別なものに税の軽減措置をするというのはですね、財務省の思惑通りと、まぁこういうことですね。
えーそこで、大手新聞はですね、だいたい増税に賛成する記事を出してきましたが、今日(2012年7月1日)の朝日新聞の記事は非常に露骨でしたね。1面トップと2面のほとんどを使いまして、例えばタイトルですね、「物欲を税で抑える幸せの国」ときましたからね、ええ。それから2面にはですね、「税こそが市場を支える」という非常に刺激的ですね。
つまり、「増税が幸福をもたらすんだ」と。「経済を活発にするんだ」というですね、今までとは全く違うことですね。「私たちは収入を貰い過ぎてて不幸になってるので、少し税金を取ってもらって、それで我々が買う量とかそういうのを、物欲を減らすと幸福になる」ってんですからね、まぁすごい理屈ですね、これ。
それじゃあ新聞社はですね、税の軽減措置なんかしないで、どんどん給料を下げて物欲を下げたらどうでしょうか?えーと、この新聞ではですね、なんかブータンかなんか開発途上国の例が出てましたから、そこまで所得を下げたらいいですね。朝日新聞の社員はぜひ、ここに示した通りの行動をしてもらいたいと思います。
後ほど私ですね、この記事に載っている国の平均所得と朝日新聞の社員の平均所得をちょっと比較してみますけど、とんでもない事だと思いますね。ですから、ある貧乏な国を例に出して、「その国が税金が多いので幸福である」という。いやまぁなんというか!という感じですね。
それからもう一つ、これについては、かつてのことを思い出します。実は日本の大新聞がですね、戦争前、軍部の圧力とか不買運動なんかありましてね、そして「戦争賛成」もしくは「国際連盟脱退支持」この二つ…戦争の道を開いたものについてのキャンペーンを行いました。このキャンペーンの先頭に立ったのが朝日新聞ですね。
朝日新聞っていう新聞は面白い新聞なんですよ。要するに事実なんか書く気は無いんですね。「どう書いたら日本人の心をくすぐるのか?」ってことはよく知ってるんですよ。で、「くすぐれば儲かる」ということも知ってんですね。これであの良心的な新聞がですね、戦前全部どんどんどんどん力を落としていきまして、結局戦争の道に走り、310万人の日本人が死に、広島・長崎に原爆が落ちるという、そういう元を作った朝日新聞。その時の朝日新聞がどのように伸びたか? 戦争に賛成してどの位伸びたか?ということをグラフで示しました。
私はですね、日本国民はどちらかというと中立的な報道を望んでいると思います。また、中立系でなくてもですね、ある新聞が右翼系とか親政府、ある新聞が左翼系とか反政府というのは分かるんでありますが、「新聞協会」といった集合団体がですね、政府と密約を結んで、「増税が正しい」という報道を続けるとですね、これは「世論操作」になりますから、社会正義からいって好ましくないと思いますね。
それから、よく言われることですが、日本の経営が編集(記事を作り編集する)に口を出すということがあるわけですが、これはお互いに尊重して独立しなきゃいけないわけですね。経営というのは編集とは無関係なんですね。編集の状態をこう見ていて「あ、この新聞なら経営ができるな」と思ったらその新聞の経営をするということなんですね。
えーと、今日本ではですね、どうしても重役が偉いということで、重役が編集に口を出すわけですが、職務というのはですね、そうではない。特に、専門職であればあるほどですね、経営と編集とか、そういったものは離れているというのが正しいと思います。そしてまた更に付け加えれば、今度の場合はですね、「法案が国会を通過した後、税の軽減交渉をする」と、これもよくないと思いますが、まぁ一応権利としては可能なんですが、「法案がこれから通る前に」ですね、「密約を結んで新聞が特定の報道をする」というのは問題でしょうね。
で、私はですね、度々このブログでも言っているように、「民主党の第一公約」に反するわけです…増税はですね。「選挙に行こう」と呼び掛けた新聞はですね、やっぱり自分が呼び掛けた選挙が正しく実施される…つまり、選挙で公約されたことが正しく実施されるっていうのに力を注いでくれないとですね、お金が入る方向にいつでも舵を切るというんでは、ちょっとこれはまぁ「新聞の見識というのがもうゼロになった」というふうに考えられます。
読者の方々は日本をもし愛するならですね、日本が完全な情報統制社会になったり、強いものだけが政府と交渉して有利な条件で生きていけるという、こういう不公正な社会をですね、何とか止めたいと、まぁこういう具体的な行動に出るべきでしょう。私も次第にこの行動をハッキリとして進めていきたいと思っております。
(文字起こし by haru)