「やや危険地帯」のお子さんを守るには パート1 (6/26)
1時間に0.11マイクロシーベルトですと、普通の地方は自然放射線がこのうち0.04マイクロシーベルト含まれますから、0.07マイクロシーベルトが憎っくき福島原発からの放射性物質です。この場合、8760時間をかけると1年に0.6ミリシーベルトになり、内部被曝を押さえれば何とか1年1ミリに押さえることができます。
ところが、場所によって0.15マイクロシーベルトの場所があったり、2011年に少し多く被曝したのではないかとご心配になる「やや危険地帯」にお住みのお母さんが2年目に入り、いろいろな問題で迷っておられます。そこで、日常的なことで少し整理をしてみました。
● 全体の放射性物質の動き
2011年4月 福島原発からでた放射性物質(目に見えない小さな粉・・・以下「赤い粉」と言う)が空から降ってきた時代。被曝は大人も子供も平等で空気中に浮かんでいる、ヨウ素、セシウム134,セシウム137の粒からの放射線で被曝する。原発からの距離とは無関係。
2011年5月 空気中の赤い粉が地面に落ちる。地面の赤い粉からでる放射線で被曝するので、子供の方が被曝する時代。赤ちゃんはだっこする必要がある。地面に落ちるときに川に落ちれば水道が汚れ、ほうれん草の上に落ちればほうれん草や牧草が汚れる。
2011年6月 ヨウ素131が無くなり、セシウムだけになる。アスファルト、コンクリートのところは雨で流されて側溝に流れる。浅草の空間線量は0.08で側溝が10マイクロシーベルトという時期。
2011年7月 牧草を食べたウシが汚染される。おそらく牛乳もこの時期にはかなり汚染されていたと考えられる。芝生や公園の藪が汚れている時期。
2011年8月 海に流れたセシウム、ストロンチウム、プルトニウムがサカナに移動。汚染された底魚や海藻、貝類が汚染される。海流は千葉沖から北海道までを汚染させた。
2011年9月 土にしみこんだり森を汚染したセシウムがキノコや竹に移りだす。やや地中にしみこんで来たので、空間線量は減少する。食材の汚れが本格的になり、収穫時期のコメが汚染され始める。
2011年10月 土の上に一度落ちた「赤い粉」が風に巻き上げられて再飛散したり、除染した水が川に流れて川が再び汚染された時期。再飛散は6ヶ月ぐらい続く。
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そして、原発事故から1年数ヶ月が経った今、私たちが子供を守るためにはこの「赤い粉」がどこに移動していっているのかをイメージする力が要る。放射性物質だから「赤い粉」は増えることもなく減ることもない。場所が変わるだけだ。だから「線量が減った」というのは「どこかがそれだけ増えている」と言うことに過ぎない。
● 食材
全体として悪徳業者が減って、柑橘類、川魚、千葉沖から北のサカナ、椎茸タケノコ類以外は今のところそれほど危険ではない。
唯一大切なのは、福島の浜通、中通り以外のところは、「20種類ぐらいの食材を外国産を混ぜて購入し、数日をかけてまんべんなく食べる」ということをすれば1キロ40ベクレルを超えることはない。
朝昼晩とご飯のご家庭は朝をパンにする、時にはうどんを食べる、肉も時にはオーストラリア産のものを食べるなどバラエティをつけると平均が40ベクレルを超えない。
● 線量のバラツキ
「均一に汚れていた時代から、全体は下がってきたけれど部分的に高い時期」に変わった。赤い粉の個数は変わらないが、下水、芝生、森林、交通の激しいところの個数が増えている。
0.1マイクロから0.2マイクロ程度の汚染の場合、測定器を向ける方向によってかなり違う値が得られる。かつては汚染が均一だったから測定器をどこに向けても同じような値が得られたが、今では測定器の「視野」(立体角)・・・つまりどこが測定範囲に入っているのか・・・によって値が違うようになった。
測定の範囲に部分的に高いところがあると、そこの影響を受けて0.15などになり、そのスポットを外れると0.10になるという具合である。だから何回か測定して、「おおよそこの辺はこのぐらい」という感覚をつかむのが一番、良い時期でもある。
それでも文科省の測定値は意味が無いので、自分で測定した方が良い。文科省は今でも地上10メートルとか15メートルで測定しているが、これは「外国や福島から放射性物質が降ってきたとき、空気中にある赤い粉(放射性物質)からの放射線を受けるので、地上15メートルでも良い」ということだからだ。
今頃は地表に放射性物質があるし、そのそばを子供が歩いているのに、それにも関係なく地上15メートルではかって「放射線量をはかっている」というのはずいぶん「図太い表現」、「誠意のない意味の無い役所」とも言える。
少し長くなりましたので、また読者の方からのご質問が多いものをパート2で書きます。
(平成24年6月26日)
--------ここから音声内容--------
まぁあの、完全にですね、放射線が高いところっていうのはですね、別の考え方あるんですけども、やや危険地帯、大体1時間に0.11マイクロシーベルトを超えて少し高いとか少し低いとか、こういうとこはですね、かなりお母さん方、気にしておられるわけですね。またあの、気にすることが大切で、それによって少しでも被曝を減らす事ができるっていう、まぁそういう地帯だということですね。
ここではそれを「やや危険地帯」という風に呼んでるわけですが、それで少し整理をしてみます。ポイントはですね、このブログでずっと書いてきたんですが、放射性物質っていうのは粒なんですね、ただ見えないほど小さい粒なんですね。一番最初の頃、私がお話ししましたのは、例えば風向きによって降ってくるから距離に関係ないと、それから目には見えないけどもお子さんの周りに放射性物質があるんだと、それからそれは畳の上に落ちたら、もしもその放射性物質が赤い粉として見えればお母さんは必ず拭くだろうと、「だから拭いて下さい」と…こういう時代があったわけですね。今でもやはりそうで、時々こう復習をしまして、「この赤い粉が今どこにあるのか」ということをですね、ちょっと思い浮かべてもらいたいと思います。
去年の4月はですね、その“赤い粉”と言ってますけども「放射性物質の見えない粉」ですね、これは空から降ってきた時代ですね。それでヨウ素とセシウムがあったと、こういう時代ですね。ですから空から降ってきてるわけですから、雨の日は外に出ないとかそういう注意が必要でした。それから、どこで放射線を測ってもあまり変わらない、つまり周りにいくらでもありますからね、そういう時代でした。
5月になりますと、その赤い粉が地面に落ちるわけですね。見えませんから地面が赤くならないだけで、本当はあの、ちょうど火山灰が降ったみたいになってるわけです。従って、これはあの子供が被曝する時代ですね。この頃、私が非常に批判したのは、文部科学省の測定点ですね。例えば15メートル上空で測る、これはまぁ4月ですとね、空から降ってくるから15メートルの高さで測っても良いんですけども、もう地面に落ちてるわけですよ。で、「安心だ、安心だ」なんつってNHKなんか言っとりましたけど、地面に落ちてて15メートルんところで測ってるからそれは低いんで、赤ちゃんはまぁ50センチぐらいんところにいるわけですから、そこで測らないといけないわけですね。
そいから、ここで同時に起こったのは、地面に落ちればまた地面なんですけども、川に落ちれば水道が汚れ、ほうれん草の上に落ちたらほうれん草が汚れ、牧草も汚れて牛が食べたと、まぁこういうのが5月ですね。6月にはもうヨウ素131は半減期が8日なのでもう無くなりまして、ほぼセシウムだけ、ストロンチウムは測ってないんで判んないんですけども。そいからアスファルトとかコンクリートの上に落ちたところは、結構雨に流されて側溝が高くなります。ちょうどこの頃、浅草の空間線量率は0.08ぐらいまで落ちても、側溝は10マイクロシーベルトでもう極端に違う時代でした。
7月に入りますと、牛の…牛乳が汚れたり、牛の肉が汚れたり、魚が汚れ始めたり、それからその一旦落ちた赤い粉がですね、風に吹かれて芝生とか公園の藪に付くという・・・付着するという、そういうようなことになりまして、ここからがポイントですね、今の安全性を考えるには。放射性物質が均一ではなくなって、あっちこっちにこう、溜まってきたってことですね。
8月になりますと、魚に移ってくる、と。それがどんどん拡がって北海道まで行くということになりました。9月頃になりますと、今度は土に染み込んだものから汚染が広がるとか、森全体が汚れてるので、それから水が流れてくるっていうようなものが出てきて、キノコとか竹・・・ま、この頃はまだタケノコじゃないんですけども、地中にやや染み込んできたので、今度、空間線量も減ってまいりました。
その空間線量が減ったということは、どっかに行ったということなんですね。あの「減った、減った!」って喜んでる変な人いるんですけど、放射性物質は減りません。煮ても焼いても絶対変わりませんのでどっかには行ってる。例えば、トラックのタイヤにくっ付くとか、食材に汚れるとか、米に移るとかって何かに移るわけですね。ま、そういう時代になります。
10月頃から、土の上に一回落ちた「赤い粉」がもう一回巻き上がったり、そいから一回きれいになった川がもう一回汚れたりといった、こう「再汚染」の時代に入っていきます。現在は、この再汚染の時代と一番危険なのがですね、「空間線量が減った、減った」と喜んでる人がいるわけです。これ、減ったってことは、どっかに行ったってことですね。
だから、もちろんその海の向こうの方に行って、全然自分たちの周りから去ったのは良いんですけど…そういうものもあるんですけどね。ちょっと地面の下に行きますと、今度例えば、地面のほんとの表面ですと植物は吸わないんですけど、地面から少し下がってきますと、今度植物が吸ってきますからね、食材が汚れてくるってことになるわけですね。
で、そういう点から頭に描きながら言って欲しいんですけども、全体としてはその汚染されたものを売る悪徳業者が減ってまいりました。柑橘類、川魚、千葉沖から北の方の魚、シイタケ、タケノコ類以外は今のところ危険ではないですね。私が計算してみますと非常に重要なことはですね、福島の浜通り、中通り以外のところは、お母さんが「20種類ぐらいの食材」をもし買えてですね、それに「若干の外国産を混ぜられれば、それを数日掛けて満遍なく食べれば」ですね、赤ちゃんでも大丈夫な1キロ40ベクレルを超えることはありません。
例えば、朝・昼・晩のご飯のうち一個をですね、外国産の小麦を使ったパンにするとか、うどんとかですね・・・うどんは日本のもの使ってるかもしれません、だけども南の方を使ってるかもしれません。肉もたまにはオーストラリア産を食べるっていうようなですね、バラエティをつければ良くなってきました。これはあの安心材料で、今までほんとに食材に神経を使ってきたお母さんとしては、多種類を買えば良いってことですね。
これはもう一つは問題はですね、悪徳業者対峙なんですよ。もうこの世の中、悪徳業者が絶えません。しかし悪徳業者は後になって判ります。つまりお子さんが食べた後、判りますね。だからどうにもならないわけです。だ(か)と言って何も買えなくなるってわけにもいかないんですね。つまり、悪徳業者がいるってことは、こっちも対抗策をとる必要があって、やはりそれには「多種類」なんですよ。多種類っていうことが非常に重要で、何かが汚れてもですね・・・ええと、バイ菌がついてる場合、バイ菌が体内で培養されますけども、だから一個でも食べたらダメなんですが、幸いな事に放射性物質は平均ですからね。
だから20種類買って1種類とか悪徳業者で汚れていても、例えば100ベクレル汚れてても、20種類買えば5ベクレルですからね、もう全然安全なレベルに入るとこういうことですね。食材はそこが大体ポイントだと思います、「多種類買う、バラエティをつける」、こういうことですね。これでまぁ、私は健康な生活を送れると思いますので、是非試してみてください。
そいから、線量のバラツキが出てきました。これは線量計を買って測定するとですね、高いところと低いところあると、こういうことなるわけですが、これはどうしてかって言いますと、かつては例えば空間に散ってるときは、もうまったく均一ですからどう測っても大丈夫ですね。高さ10メートルで測っても、地表で測っても同じ、と。この頃、私がですね、「高いとこで測ったらダメだ」つったら、「低いとこでも同じだ」なんて変な反論が出てきたんですが、それは高いとこで測ったらダメなんですよ。何故かったら、そのうち下に降りてきますから、やっぱりどうしても人間がいるところで測んなきゃいけない。
ところが今はですね、もっと面倒臭くなりまして、まぁ例えば自分が測定する幅が5メートル×5メートルぐらいだとしますと、そこに一箇所、非常にこう濃いところがありますと0.15ぐらいすぐなっちゃう。ところがそっから外れると0.10になるということになるので、汚染がこう“まだら”なんですね。そういう場合は、やっぱり感覚が一番重要で、「大体、いつもこの辺で測ると0.12ぐらいだな」とか、「この辺は大体0.05以下になるな」というようなのがありますね。
まずい事に、文部科学省の測定値が公表されてんですよ。これはもうまったく無意味ですから、これはあの「外国からとか福島から放射性物質が新たに空気中を飛んで来た(時の)こと」ですからね。こんな馬鹿らしい事やってもらってたら困るわけですね。
やはりあの、こういうあくどい事をですね、文部科学省ともあろうものが、つまり子供を守る立場の文部科学省ともあろうものがですね、地上15メートルで測ってそれを公表するとですね、人によっては文部省信じてる人いますからね。いや、文部省信じてる人っていうのは文部省にとって良いはずなんですけど、その人を裏切る、と。つまり、文部省のデータを見てても子供は守れないっていうのは、まぁ明らかですから、これも少し改善する必要があると思います。
ちょっと長くなって、時間の関係でこれしかできません。また「パート2」を機会があったら書こうと思います。
(文字起こし by danielle)