専門家は誠実に・・・99.9%除去というのは意味が無い (5/26)
島田市の瓦礫焼却について、私のブログの記事について島田市が「間違っている」と言い、その一つの理由に、「安全性の目安となる値(排ガス:セシウム134は20ベクレル/m3、セシウム137は30ベクレル/m3、焼却灰は8,000ベクレル/kg)を大きく下回っており、安全性の面で全く問題ありません。また、排ガスのばいじん濃度も定量下限(0.004~0.005g/m3N)未満であり、バグフィルターのばいじん除去性能が正常に働いていることが確認されています。」とあります。
私自身は批判ぐらいはかまいませんし、島田市が瓦礫焼却をするのが適切かどうかは、島田市の人や周辺の人がご判断されることで、島田市や私はその判断に役立つために、正しい情報を提供することが役割です。島田市も市民の健康を犠牲にして瓦礫を引きうけようとしているのではないとおもいます。
その意味では、市民に示した上の文章は訂正してもらいたいと希望します。放射性物質が他の物質と違って「目に見えないほどの量が危険」という特徴があります。たとえば、島田市は「バグフィルターの除去率が99.9%であり、煤塵濃度は0.004~0.005g/m3N以下だから大丈夫」としていますが、セシウム137は1グラムあたり3兆ベクレルですから、仮に0.003gでも1立方メートルあたり100億ベクレルになり、同じ文章の安全性の目安とされる30ベクレルの実に3億倍になります。
つまり、「排ガスのばいじん濃度も定量下限(0.004~0.005g/m3N)未満であり、バグフィルターのばいじん除去性能が正常に働いていることが確認されています」という内容は専門的に言うと、「だから危険なのだ。とうてい焼却できない」ということになり、この時の除去率が99.9%とすると、現実は99.9999999・・・%でなければならないということなのです。
つまり、重量で示した「ばいじん除去性能」というのは「放射性物質がどのぐらい漏れるか」という点では何の意味も無い数値ということを示しています。専門家にとってはあまりに簡単なことを説明を聞く人が「グラムとベクレルの換算が出来ない」として説明するのは誠実みがありません。
排ガスに含まれるセシウムについては、フィルター性能から計算したものではなく、投入量と捕捉量からマスバランス計算でだしたもので、それは島田市も充分にしっています(私以外にも計算値を市に示している方がおられます)ので、回答自体が正確ではありません。なぜ事実と異なることを公共機関が回答するのかはまた検討が必要です。
多くの自治体が「ばいじん除去性能」を瓦礫処理に際して市民に示していますが、一般の煤塵と放射性物質では健康に及ぼすレベルが全く異なります。どんな数値も誠実でごまかしのない数値を使ってもらいたいと思います。私は瓦礫の処理に反対ですが、自分に不利な数値もそのまま使います。それが国民に対する専門家の誠意と義務です。
また最近、自治体の公務員の人で国の方針や市長の命令だからというので市民に事実ではない言動が見られますが、自治体はその自治体を構成する市民のためにサービスをしているので、職務の命令よりもともとの職務の義務が優先します。これについては慣例でも判例でも示されていますので、公務員の倫理をもう一度、思い出してください。
(平成24年5月26日)
--------ここから音声内容--------
ええとあの、このブログで医者とかですね、ま、そういった学者・・・ま、御用学者と言われたりしますが、学者なんかの専門的な人のですね、責任というのをまぁ再々言ってるんですが。この前、私がですね、島田市の瓦礫焼却についての記事を書きましたところ、島田市がですね、問い合わせに対して「武田の書いてるのは間違ってるんだ」というような文章を出したようです。
これ自身は、私はまぁ別にいいんですけども、その文章にはどう書いてあるかっていうと、「安全性の目安となる値は、セシウム137で30ベクレルだ」と、「焼却灰の8000ベクレルは」・・・私は違うと思いますが、ま、環境省はそう言ってますね、「を大きく下回っていて、安全面で全く問題ありません」と、また「排ガスの煤塵(ばいじん)濃度も下限0.004から0.005未満であり、バグフィルターの煤塵除去装置は正常に働いてることが確認されています」とあります。
ええと、私自身はもちろん、どんな批判だって別になんてことないんで。問題は、島田市の人に正しい情報を提供するってことであってですね、私は別に島田市と何の関係もないので、別にあの、立場があるってわけじゃないんですね。やっぱり島田市の人が判断されるわけですから、で、島田市ももしかしたら専門家がいない場合もありますからね、やっぱりあの、ちゃんと周囲からサポートする必要があると思います。
あの、島田市もですね、「瓦礫を燃やすために、瓦礫を燃やしてんじゃない」と思うんですよね、何かの目的があるわけです。例えばあのお金が欲しいとか、よく分かりませんけども、ま、そういうような目的があるんだと思うんですよね。ただ、市民の健康を犠牲にしてまで、瓦礫を引き取ろうとは思ってないんじゃないか?と思うんですね。
その意味ではあの、市民に市が示したですね、文章で訂正が必要なところがあります。ええと、放射性物質っていうのはですね、他の物質と違いまして「目に見えないほどの少ない量が危険」なんですね。で、島田市は「バグフィルターの除去率が99.9%で、煤塵濃度が0.004以下だから大丈夫だ」と言ってますけども、これはまぁ全然、専門的な知識のある方は島田市におられないってことを示してますね。
ていうのは、セシウム137って1グラム当たり3兆ベクレルですから、仮に0.004を下回って0.003であってもですね、非常に多い量になるわけですね。で、従ってですね、「このくらいの性能で煤塵が除けるから、煤塵と同じように放射性物質が除けた」としてもですね、もうほとんど、みんながすぐ死んじゃうような値なんですよね。
ですから、放射線は放射線の知識に基づいて、ちゃんと計算しなきゃいけないわけですね。煤塵の除去性能っていうのは、放射性物質がどのぐらい漏れるかってことと全く関係ありません。おそらくですね、市の方はどう思ったか、計算間違ったか、錯覚したか。それともですね、「市民はグラムとベクレルの換算ができない」と思ったかですね。今のままですとですね、市とは結論が逆になります。「99.9%しか除けないので、危険で焼却できない」ってことなります、逆の結論になりますね。
それからもう一つはあの、私がですね、煤塵の方に11万ベクレル出たと言ってるのは、全部の・・・投入した量ですね、確か34万ベクレルぐらいだと思いますが、それが捕捉されてる量は20数万ベクレルなんですよ。で、その差ですね、入れたセシウム137の量に対して、出てきたセシウム137の量の差ですね。34引く例えば23ですとね、残りが11なんですよ。じゃ、11万はどこ行ったんだ?っていうこともですね、きちっと説明が必要ですね。
あの、島田市の回答を見ますとね、もうなんか、そういう市民が心配されていることを答えるんじゃなくて、いかに自分たちは正しい事をしてるかということだけを、まぁ言うということなんで、これ言い訳みたいなもんですからね。市というのは、別に言い訳するために存在するんじゃないと思うんですよ。ま、これでもう島田市の人が良いって言うんなら、ま、いいですけどね。やっぱり専門家の、やっぱり誠意っていうのがあるんじゃないでしょうかね?
私はまぁ、専門家とかですね、そういう人たちは、自分の立場を捨てて、やっぱり科学的には正しい事を言っていただくということが、非常に大切なんじゃないかと思うんですね。ま、こういうこと言いますと、またこんなことを一所懸命説明しなきゃなんなくて面倒臭いしですね、島田市の人が計算できないってことないと思うんですよ、僕は。
「1グラムのセシウムが何ベクレルである」っていうことはもう、僕は説明できると思うんですね。ですからまぁ、もうちょっと真面目に取り組んで欲しいなと。ご判断されるときに、どういう風に最終的にご判断されたっていいですよ、それはね。あの、「島田市のお子さんたちが被曝しても、宮城の人を助けたい」っていう考えあるわけですから、それは人によって色々・・・。
そいから極端に言えば、もう「放射線を浴びた方が元気になる」なんて言う人もおられるわけですから、それはそれで、その人たちが考えればいいことですね。ただ、計算を・・・なんか省略するとか、そういうのはちょっと考えもんですから、ここでもう一回、ちょっと考えてもらいたいと思います。
(文字起こし by danielle)