なぜ、愛人宅は居心地が良いのか?
家に帰ると口うるさい女房がいるけれど、愛人のところは居心地が良い・・・とつい昔の粋な男は愛人の家に足を向けてしまう。なんで、男にとって奥さんより愛人のほうが良いのだろう。
昔からなじみで心優しい飲み屋の女将さんも「それで止めときなさいよ」とはいわない。それに比べて女房は「また飲むの!検査で引っかかるわよ!」といやな顔をする。自分のことを本当に心配してくれる人をいやがる・・・人の心はふわふわと飛ぶ綿のようだ。
人の関心を引こうと思ったらその場限りで、相手の喜ぶことをすれば良い。でも、本当にその人のことを愛していたら、末が心配だ。元気で人生を全うしてもらいたいと思うと、どうしても口うるさくなる。それが「妻」と「愛人」の差だが、しょうがない男の性(さが)で愛人の口車に乗ってしまう。
なぜ、「福島の人がかわいそうだ。被曝など大したことはない」と言うのだろう。なぜ、放射線の高いところで子供を育てている人をそのままの状態で応援するのだろう? なぜ、汚染された土地で農作物を作る農家の人を励ますのだろう? 原発事故以来の私の疑問だったが、最近、読者からのメールもいただき、わかってきたような感じがする。
被曝による健康被害は5年、もしくは10年先にでる。でも、地震と原発で心に傷を負った人を「かわいそう」と思い、「そこにいても大丈夫だよ」と言えば、健康被害がでるまでは相手はいい気持ちのなってくれるだろう。「良薬口に苦し」だ。
「武田さんは冷酷だ。福島の人をこれ以上、苦しめるのか!」と言われて、正直、なにを言っておられるのかわからなかった。
「愛人の論理」なら、福島の人の心を短期間だけ慰めることができるだろう。これが今のNHKの路線だ。最近、NHKのアナウンサーが人の良さそうな顔をして「絆!」と叫んでいると、「ああ、愛人路線だな」と思ってしまう。
奥さんの論理なら、1平方メートル4万ベクレル以上のところに住んでいれば、心配で心配でたまらないので、一言、「逃げた方が良いですよ」と言うだろう。
どちらの論理もあり得るが、私はこれからも「奥さんの論理」で行きたいと思う。私は日本人だ。これからも日本に住むし、子供たち(日本人のみんなの子供たち)も長く日本に住む。私のことを「子供たちをダシにして」と非難する人もいるが、そんなことは私にとって意味もないことだ。
瓦礫でもおなじだ。瓦礫を心配するのはこれから10年先、20年先に日本列島が汚染されたら子供にすまないと思うからで、今だけを考えれば瓦礫を引き受けてお金をもらった方が良い。
ちなみに、東京都が瓦礫を引き受けて処理するところは、東京電力の子会社(95%株式保有)の「東京臨海リサイクルパワー」だ。原発を爆発させ、その瓦礫を処理して膨大な税金をもらう。それが東電である。
ある自治体では、市長がかつて社長を務めていた会社、今は親族が社長を務めるところが瓦礫を引き受ける決定をしている。
お妾さんでも口汚く奥さんをののしることは少ない。それなのに、危険な地域に住んでいる人や汚染した土地で農作物を作っている農家の方に移動を勧めるとバッシングを受け、瓦礫を引き受けない方が良いと言うと罵倒される。
愛知県の幼稚園の給食から実に1キログラム1400ベクレルという高濃度のセシウムがでた。暫定規制値の14倍。子供の安全をまもる値の32倍である。それでも県は「健康に影響はない」と言っている。
(平成24年4月10日)
--------ここから音声内容--------
えー、ま、家にいると、まあうるさい女房が、あー色々文句を言うんだけど、愛人の所は居心地がよい。まあ、昔の男はですね、ついつい愛人の方に…愛人の家の方に足を向けてしまうんですね。なんでそうなんでしょうかね。
えー、昔からなじみで心優しい飲み屋の女将さんでも、「それでやめときなさいよ」とは普通言いませんね。それに比べると、奥さんの方は「また飲むの? 検査でひっかかるわよ」と言われるわけですね。まあ、自分のことを本当に心配してる人を嫌がる、と。まぁ人の心ってのは難しいもんですね。えー、人の関心を引こうと思ったら、まあその場限りで相手の喜ぶことをすりゃいいわけですよ。えーだけども本当にその人の将来、えー、末を考えればですね、やっぱりそれは心配になるっていうわけですね。
私実は、あのー、原発事故以来ですね、ま、福島の人がとても可哀想なわけですよ。もう、どうしたらいいんだろうか。やっぱり、将来ですね、えー、色んなことにならないように、万全を期して、やっぱり福島から他に行った方がいいんじゃないか、と…、まぁこういうこと言ったりですね、それから福島で、土地はまあ…まあセシウムとか毒物がまかれてるわけですからね。だから、そこでやっぱり農作物を作るっつぅのはやっぱり問題だ、と言ったりするとものすごくバッシング受けるんですよ。
ほいで時にはですね、「あなたは、福島の人の苦しんでる心、わからないんだ」とか言われてですね。いや、わかってるつもりなんですよ。わかってるから可哀想に思うわけですね。申し訳なかった。私も原発の電気を使っとりましたから、まあ、責任の一端がある。ま、原子力もやってきた。だから、なんとかして被曝しないようにですね、全力を、やっぱり尽くさなきゃいけないと思っとりましたが、まあ、とにかく長ーい間、それがバッシングされるんですね。なんでだろうか。
えー、これはですね、実は被曝による健康被害っていうのが、ま、お酒を飲んで肝臓を悪くすんのと似ててですね、その時はいい気持ちになるんですが、5年、10年先なんですよね、被害が出るのが。だから、地震と原発で心に傷を負った人をですね、可哀想に思って、ま、「そこにいても大丈夫だよ」と言えば、まあ相手は楽になるかもしれませんが、しかしですね、ほんとにそれでいいのか? という感じがしますね。
えー、私はですね、「愛人論理」であればですね、まあ、福島の人の心を短時間だけ慰めて良い子になることができるでしょうね。まあ、あの、アナウンサーが人の良さそうな顔をして「絆」なんて叫んでるとですね、私は「ああ、愛人路線だな」と思ってしまいますね。ま、奥さんでしたらね、1平方メートル4万ベクレル以上のとこに住んでるとか、1年に20シーベルト以上の被曝を受ける子供たちを見るとですね、ま、心配で心配でたまらないんじゃないでしょうかね。やっぱり「そこにいない方がいいですよ、逃げた方がいいですよ」って、どうしても言いたくなっちゃうような気がするんですよね。
まあ、色々人がいますから、まあ「愛人路線」の人でもそりゃいることはいるでしょう。だけど私はこれからも「奥さん路線」で行きます。というのはですね、私は日本人ですし、これからも日本に住んでます。それから子供たちですね、えー、まあ、私のことを「子供たちをダシにして」なんて言う人がいる…全然構わない、言ってもらったって構わない。だって被曝っていうのは長い期間の問題ですね。ですから私たちのように、まあそろそろというんじゃなくて、これから長い子供たちのことを考えて、やっぱあげなきゃいけないと私は思うんですよね。
ま、最近の瓦礫でも同じですね。瓦礫を心配してるのは、「今」じゃないんですよ。今、瓦礫ですぐ汚れるかって…そりゃそれほど汚れませんが、ま、10年先、20年先、こんなこと続けてたらですね、日本中が汚染されて子供たちがほんとにすまないと思うんです、子供たちに、ですね。今だけ考えれば、その、瓦礫を引き受けてお金もらった方がいいですよ、それは。ええ。えー、そこがね、やっぱり私はちょっと納得できないんですよね。
まあちなみに、その東京都が瓦礫を引き受けて処理するところは、東京電力の子会社ですからね、95%の株式保有している。名前は東京臨海リサイクルパワーって。ま、「リサイクル」なんて付くと、だいたいこんなもんなんですけどね。東電は原発を爆発させて、それで汚れた瓦礫を処理して、膨大な税金をもらうわけですからね。
ある自治体で率先して、こう…瓦礫引き受けに手を挙げた市長はですね、えー、自分の親族が今社長を務めてる、昔は自分が勤めてた会社が瓦礫の引き受けをするんです。いやあ、ねぇ…私はあの、それぞれの人に意見があることはいいと思います。しかしですね、えー、「危険な地域に住んでる人は心配です」と言う人をバッシングしたりですね、それから「瓦礫を引き受けてると、汚れてくるから、やっぱり心配だ」と言う人を罵倒するってのは、やっぱりまずいですね。「非国民」って罵倒してますけど、「あなたこそ非国民じゃないの」って私は言いたくなりますね。だって、我々の子供たちが住む日本列島がどのくらい汚れるか、今わかってないわけですよ。
えー、海外からね、ぼちぼちと出てくるデータは、えー、日本の、あの、福島原発のセシウムの漏れた量は非常に大きいとか、それから、えー食品のね、食材の検査数っていうのは、ベラルーシの1/1000とか、1/100だと…ま、いうようなですね、ま本当にこう…日本人はどういうことを思ってんだろうか、っていう感じですよね。ま、広島・長崎の原爆があって、世界の中でも特別に日本はですね、ま、「被曝はいけないんだ」と世界に言い続けてきたわけですね。その、世界に言い続けてきた人が東電が怖いからっつってころっと態度を変えるっつぅのはどうでしょうかね。
えー、愛知県の幼稚園の給食から、実に1kgあたり1400ベクレルというものが出ました。もうこれ食べちゃった後なんですよ。暫定規制値の14倍、子供は安全守る値の30倍以上ですから。しかし県はこれに対しても「健康に影響はない」と言ったんですね。いや、まあ、どういうことか、と思いますね。
私はですね、多くの人たちがやっぱり「奥さん路線」に返ってほしいですよ。もう、目先だけいいこと言うっていうんじゃなくて、本当に我々の、あの…国土、えー、子供たち、そしてお米を守る、と。そういう路線に立ち返ってですね、私たちはここで厳しく考えなきゃいけないと思います。