素直な電気とエネルギー政策へ・・・石炭火力の時代 | お手伝いさんたちのブログ

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中部大学 武田邦彦先生のブログの中で、音声収録のみのものをテキスト化して掲載しています。
テキスト化及び掲載にあたっては先生から許可を頂いています。

素直な電気とエネルギー政策へ・・・石炭火力の時代



原子力の代わりに何をやるかと盛んに議論されていますが、素直に考えれば、答えは簡単だと思います。


世界を見渡してみると、日本以外の国で、「脱石油、省エネ、節電」などを国の主力の政策として進めているところはほとんどありません。「ほとんどありません」というのは、世界150カ国ぐらいの中で、2,3の国はやっていますが、大半の国、特にアメリカ、中国、ロシア、インドなどの大国や、ヨーロッパでも「南ヨーロッパ、東ヨーロッパ」など日本ではあまり注目されていない国も視野に入れなければいけないからです。



たとえば1997年(京都議定書を締結した年)に対してCO2を削減している国は世界で日本だけですし、増加ではあるが一カ国で目標を持っている国としてはオーストラリアの+8%ぐらいです。ヨーロッパではイギリス+5%、ドイツ+11%の増加が認められていますが、さらにEUバブルという計算方式でヨーロッパ全体で調整できるようになっています。

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資源の学問の方では「資源が多くあるときにはゆっくり、枯渇してきたら急いで使え」というのがあります。世俗的な表現を使えば「あんパンが100ヶあれば20人の子供にゆっくり食べさせても良いが、あんパンが10ヶになったら争ってとらせろ」ということです。



我が子を餓死させても他人の子供のためにというのは自己犠牲的で美しいかも知れませんが、生物の基本に反します。やはり競争がある限り現実的な方法をとるのが親というものです。

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私は石油や石炭のように還元炭素系のエネルギー資源というのは1000年以上は確実にあると思いますが、あんパンの原理がありますから、あっても無くても日本がとるべき行動は「ドンドン使う」ということになります。



現実的にも、世界でアメリカ、メキシコ、中国、ロシア、インド、ブラジル、ヨーロッパ諸国をはじめ、南アメリカ、アジア、アフリカなども「ドンドン使って」います。日本だけが現在のように夢のようなことを言っていると、日本は衰退し、私たちの子供は惨めな生活を余儀なくされるでしょう。

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一方、温暖化はトリックであったことが明らかになりました。むしろこれからは寒冷化の時代に入るのですから、どちらかというとCO2は出した方が良いと言うことになっていくでしょう。



さらに、自然エネルギーはもともと自然が使っているエネルギーを横取りすることですので、日本人が自然エネルギーを本格的に利用すると日本の自然は大きく痛むことはエネルギー保存則がある限りどうにもならないことです。



もっとも、実際には太陽電池を進めると電気代がさらに2倍から3倍以上になりますが、今でもアメリカの2倍の電気代なのに、さらに2倍になり4倍から6倍になったら日本の国内産業はつぶれてしまいます。

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もっと素直になるべきでしょう。役人や御用学者の天下り先や研究費のために日本全体が滑稽なことになっているのに気がつく必要があると思います。



石油、石炭、天然ガスなどは豊富にあるのですから、まずは石炭火力などを優先的に進め、原発のあったところに作り、地元が原発の廃炉に伴う衝撃を受けるのを緩和し、送電線を有効に使うことです。たとえば中部電力では浜岡の近くに300万キロワット程度の石炭火力発電所を作ることができるし、浜岡原発の送電線を利用できますから、効率的に石炭火力に転換できます。



どんなに安心感が拡がり、また国民の間の亀裂が減って、明るい展望が開かれるでしょう。



このような素直な考えに役人は抵抗します.理由はできるだけねじれた政策によって様々な利権と天下り先を作ることですが、その言い訳としては「確かに石炭火力で良いかも知れないが、省エネすることによって日本の技術が磨かれる」などと言います。これは役人独特のごまかし語法で、ストレートに「豊富な電力を使って、日本の省エネ技術を世界一にしよう」という方が成功します。



技術革新も「力」がなければできませんから、景気が良く、国民に元気があり、研究開発活動をするだけの豊富な資源が必要だからです。日本のエネルギー政策は日本人全体のものです。この際、素直でストレートな考えで日本の発展を目指し、豊かな国を子供たちに引き継ぎたいと思います。


(平成24年3月24日)

--------ここから音声内容--------



ええと今、あの、原子力の事故の後ですね、原子力の代わりに何をやるんだ?と、どうして電気を得るんだ?ということが盛んに議論されてますが。えー、これはもう素直に考えれば非常に分かることですね。ただまぁ利権とかですね、ま、そういうものにもの凄くこだわってるので、ま、それでこんがらがっちゃってる、ってことですね。





えー、まずあの世界を見渡してみるってことですね。世界を見渡してみますと、日本以外の国で、「脱石油とか省エネとか節電」などをですね、国の主力の政策として進めてるところはほとんどありません。ま、「ほとんどありません」って言うとですね、ドイツがあるじゃないか、と。ドイツもちょっと違うんですが、まぁ出てくることはくるんですが。世界150カ国ぐらいの中でですね、ま、2、3の国はやっています、それは確かに。ただですね、例えばアメリカ、中国、ロシア、インドといった世界の大国はもちろん何にもやってません。むしろ、どんどん使おうっていう方向に行ってますね。





ヨーロッパでも「南ヨーロッパや東ヨーロッパ」はほとんどやってません。ま、日本ではこういうことを新聞が書きません。たぶん新聞特派員がですね、えーとフランスとドイツとイギリスにしか居ないかと、後イタリアにちょっと居るってぐらいじゃないかと思うんで、そういうことによるんじゃないかと思うんですね。





これは例えばええっと温暖化についてもそうで、私がよく指摘してますがCO2を削減してる国はまぁ、世界で日本だけですね。増加ではあるけども一カ国だけで目標持ってるっていう国は、オーストラリアの+8%ですね。ま、そのくらいしかないわけですね。ま、日本から見たらずいぶんおかしいわけで。





ヨーロッパではイギリスが+5%、ドイツが+11%っていう、まぁ+枠ですけど一応枠を持ってますが、しかしこれもですね、EUバブルという計算方式がありまして。例えば、東ドイツとか、昔の東ヨーロッパなんかを全部含めますんでね、ま、そこら辺で経済成長が停滞してるので、ええとまぁ、あまり減らさなくても良い、とこんなふうになってるわけですね。ま、ですから、まず世界的に脱石油というのをやってるのか?っていうことですね、脱石炭なんていうのはますます聞きませんが・・・ま、そういうことですね。





それから資源の方ですけども。ま、資源はですね、あの、「多くあるときはゆっくり使い、枯渇してきたら急いで使え」というのが、まぁ資源学の方である・・・学問ですね。これを世俗的な表現を使えば「あんパンが100個あるときは20人の子供にゆっくり食べさせても良いけども、あんパンが10個になったら争って取らせろ」と、これはあの、言うわけですね。ていうのは、あの、もちろんあんパンが10個になって20人ですから我が子にですね、争って取らせなければ、我が子は餓死してしまうわけですね。我が子を餓死させても他人の子供のために、っていう自己犠牲的な考え方はですね、一応今までは生物の基本に反するということで。





やはり親はですね、我が子を、まぁ守るということがまず第一で、そのためにですね、他の子供がどうなるかってことまで、あまり厳しく考えてはいけないというか、考えられないというのが、まぁ資源学の方ですね。ま、こういう点では、えー現在の日本っていうのは非常に変な感じで、石油が足りなくなる、無くなるから節約する。これはあの、我が子を餓死させる親と一緒なんですね。石油が無くなるってことは、早く石油無くなった時の後の社会に行かなきゃいけませんから、えー、どんどん石油を使ってですね、そして脱石油というのをやらなきゃいけないわけですね。えー、石油を節約して脱石油っていうのはできないんですね、これは。





えー、ですからもっと景気を良くして、石油を使って乗り切る。資源が足りなくても足りてても、石油っていうのはどんどん使うっていうことになりますね。しかし私はですね、石油や石炭のような還元炭素系のエネルギー、これはもうシェール関係っていうのあるんですが、ま、そういったものとかも色々あるんで、ま、千年以上は簡単にあると思いますが。





ただあんパンの原理もありますから、石油・石炭があっても無くても日本が取るべき行動は、もう「どんどん使う」。うんとあればどんどん使う。もうほとんど無くなりかけてたら、更にどんどん使うということなんで、方向は、行動は一緒なわけですね。





えー、実際ですね。えー、アメリカ、メキシコ、中国、ロシア、インド、ブラジル、ヨーロッパ諸国、南アメリカ、アジア、アフリカっていうのをずっと考えてみてもですね、全部「どんどん」使ってます。日本だけが今、世界で節約するという夢のようなことを言ってますが、これはもちろん日本が衰退して、私たちの子供が惨めな生活を送る、と間違いなくそうなりますね。これはもう、仕方ないことです。えー、きれいごと言ってても良いですけども、きれいごと言ってたら死んでしまうのが、まぁこの世の中というもんですね。





一方、あの温暖化はトリックであるっていうことが大体、ま、確定を致しました。えー、むしろこれからは寒冷化の時代に入るわけですから、ま、極端な議論は別にしても、どちらかと言うとCO2は出した方が良いということですね。





で、もう一つは自然エネルギーですけど、自然エネルギーはもちろんあの、自然が使ってるエネルギーを横取りするわけですね。日本人が今使ってるエネルギーはどんなに少なく見ても、自然エネルギーの500倍ですから、まともに計算すると2000倍ぐらいになったりもするんです。ま、自然エネルギーの捉え方によるんですけどですね。





えーまぁ、今でも日本の自然はやや傷(いた)んでるわけで、これ以上自然からエネルギーを取ればですね、エネルギー保存則がある限り、自然の打撃はかなり高いということですから、自然エネルギーをやってる人は、もう自然がどう破壊してもいい、と。まぁ、それに対して責任はちゃんととって欲しい、とこういうふうに思いますね。





それから、現実的には太陽電池を進めますと、電気代が更に2倍から3倍になります。これは間違いなく、なります。現在でも日本の電気はアメリカの2倍ですから、更に2倍から3倍になって、例えば5倍ぐらいになったらですね、日本人の生活は苦しくなるし、日本の国内産業は潰れ、えー、電力だけのためにですね、我々は全部、子孫をを失うということになります。





こういうことになったのは、何故か? これは御用学者が天下りとか、学者の研究費のためになってるわけですね。ま、役人の天下りとか、御用学者の研究費のためになってるわけですから。この一部の、ほんの一部の人たちのために、日本が非常に滑稽なことになってるってことを、我々はもうそろそろ親としての責任で真正面から見る必要があると思います。





要するに解決策、簡単ですね。石油・石炭・天然ガスが山ほどあって、石炭火力を進めれば良いわけです。原発のあったところに石炭火力をすぐ造ってですね。そうしますと場所も空いてますし、地元も今まで原発の良い影響も受けてたわけですが…お金的にですね、それが今度、石炭火力に代わりますから衝撃が少ないですね。





それから原発からの送電線を有効に使えます。例えば中部電力では、浜岡原発の近くに大体300万キロワットぐらいのですね、石炭火力発電所造る敷地があります。えー、船着場もあって、送電線も浜岡原発の送電線がそばを通っておりますので、すぐ効率的に石炭火力に転換できます。





ま、ゴタゴタしてですね、国民の間に亀裂が入ってる状態では、将来が展望できません。もっと思い切ってですね、この際、原発を一時後退させ、石炭火力を造る、と。ま、いうことにした方が良いと思います。ま、このような素直な考えですね、石炭があるんだから石炭を使えば良い、と。安全だし。CO2も出すけども別に問題は無い、と。だから石炭火力を造っていけば日本は発展するんだ、と。値段もそんなに高くならない、ということなのに、何でこういう素直な考えに役人が抵抗するかというと、あんまり簡単になっちゃうと天下り先が無くなっちゃうんですよ。利権も無くなってしまうし。





だって、これ日本が石炭火力、石油火力を中心にですね、やり始めますとね、規制もほとんど要りませんしね、もう石炭火力の脱硫・脱臭装置なんてのは、きちっとできてますから。だからもう、役人がやることがなくなって、税金が減っちゃうんですよ。税金が減るっていうのは、ま、役人にとっては一番困りますからね。まぁ、そこで、ええとまぁ、誤魔化されちゃうわけですが。





我々は「豊富な、ま、石炭・石油を使って、そして電力を生み出し、そして省エネ技術を世界一にしよう」というのも良いんですね。省エネにどうしてもこだわるなら、ええ。別に曲がりくねって温暖化とか何とか言ってですね、省エネの方に持っていかなくても、ストレートに省エネが重要なら省エネと言っても良いけど、ま、世界があんまり省エネしてませんからね。どれほど良いか分かりません。





いずれにしても技術革新も加えて、「力」がなければできません。それから日本は、ロシア、中国、アメリカっていう世界の3大強国に、真ん中にあるっていう非常に特殊な関係がありますからね。やっぱりこれは景気が良くて、国民に元気があり、豊富な資源を使った活動が必要なんですね。えー、我々はですね、日本の環境が素晴らしく良いんで、それを信じてですね、ま、信じるって言うかその事実なんですから。もっとストレートで素直な考えで日本の発展を目指して、豊かな国を子供たちに引き継ぐ、とそういうふうな考えでいかないといけないと思います。あまりにねじれて、何重にもねじれてると思います。


(文字起こし by danielle)