瓦礫搬出・・・自治体の責務と国の役割
国の文書を受けて各自治体では瓦礫の引き受けの検討が進んでいます.不安に感じているお母さん、お父さんを無視することが多く、残念です.日本人なら誰でも次のように考えています.
● もちろん、震災を受けた人たちを助けたい.だからといって我が子を危険にさらすようなことはしたくない。
これは当然のことです。これに対して国や自治体の態度は、「業務を実施するのが役割だから、一部の人が不安に感じていてもそんなのは無視する」というのが多いようです.でも、民主主義というのはたとえ少数派でも誠意を持って説明し、納得してもらうことが大切です。自治体の中には「どう考えて良いか判らない」というところもありますから、ここに「瓦礫引き受けの条件」を明示します.
1) 「国」という言葉を出さない・・・国が国民の健康を第一に考えていないことはすでに判っています.原発事故の直後、「健康に影響は無い」と言って多くの人を被曝させたのですから、その人たちを信じる方が奇妙です.ある高等学校のアンケート調査では、「国を信用する」と答えたのが100人に1人です。このような状態の時に本来は住民をまもる立場にある自治体が「仕事をしなければならないから」という切迫感に迫られてなんとか言い逃れをするなら、仕事とは言えません.
2) クリアランスレベルを守る・・・事故の前、1年1ミリなどのように日本は法治国家として国民を被曝から守ってきました。その中に「汚染された可能性のあるもの(たとえば原発で使ったものなど)は、それが1年10マイクロシーベルト以下なら「放射線で汚染されていない」として普通に取り扱えばよいということになっています.これは事故前から同じです.
事故前と同じ基準を使えば、住民が不安に思うことはありません.事故前は私たちはクリアランスレベルを用いて、それ以下のものは自由に移動し、焼却していたのですから。
3) 灰や煙も事故前の基準で・・・焼却灰やガスなども事故前の基準がありますから、それに基づいて実施することです.もちろん焼却すればガスや煙が出ますし、灰は最終的に格納しなければなりません.セシウムの場合、放射性物質となるのは1キログラム1万ベクレルで、注意しなければならないのは1000ベクレルです。従って灰などが1000ベクレル(1キログラムあたり)を超えるものは国が集中管理するべきです。
4) どのぐらいを管理するか?・・・1000ベクレルから100ベクレルの間は自治体が管理できれば管理し、100ベクレル以下は「クリアランスレベル」として完全に他の灰と一緒にして自治体が廃棄物貯蔵所に入れることができます。ただし、どこかの県のようにかなり放射性物質濃度が高いものをいろいろな理由をつけて一般に出すと日本全国がどのようになるか判らなくなります。
5) 誠意を持って・・・原発事故後、国は終始、国民に対して誠意がありませんでした。「直ちに健康・・・」もそうでしたが、スピーディーの隠蔽、原子力委員長の報告の隠蔽、議事録の隠蔽、法律違反などを繰り返しました。でも、自治体は絶対に法律違反せず、誠意を持って放射線量をはかり、心配する人を罵倒せず、ジックリやってください.もともと瓦礫は被災地で処理するがもっとも良いのですから.
6) 汚染されていない瓦礫・・・岩手県、宮城県の瓦礫のほとんどは汚染されていません。しかし、今回の問題は「東北の野菜」と同じように、政府側が「瓦礫には汚染された瓦礫を含まない。「汚染された」というのは国の法律に基づき、1キログラムあたり100ベクレル以下である」と宣言すれば終わりですが、「瓦礫は汚染されていても汚染されていなくても同じ。絆や思いだ」という方針の場合は私たちも防御しなければならなくなります。
・・・国の責務・・・
国は80京ベクレルという大量の放射性物質をどのように閉じ込めるのかという基本政策を出さなければなりません.また瓦礫の汚染度の測定方法、瓦礫を焼却したときにセシウムとストロンチウム、プルトニウムがどうなるのかについての技術データの提供が必要です.
現在の政府も自治体も国民の投票で選ばれていて、お殿様ではありません.もともとが危険な瓦礫の搬出を心配するのが健全で善良な日本国民ですから、強引で傲慢な悪徳政府にならないようにしてください.
(平成24年3月19日)
--------ここから音声内容--------
えーと瓦礫の搬出については、もう繰り返しになりまして、えー、どうしてこんな簡単なことが片付かないのかな、というふうに思いますが、えー、不安に感じているお母さん、お父さんを、こう…無視しないということですね。これは非常に簡単なことですから。えー、わざと無視するという感じがしますが、自治体の人がですね。
もちろん、その…不安に思ってるお父さんお母さんもですね、震災を受けた人たちを助けたいと思ってるんですよ。だからといって我が子を危険にさらしたりするようなことはしたくないと…こう言ってるわけですからね。これは私は当然だと思うんですね。我が子を危険にさらすことをしたくないと言うと「あなたは震災を受けた人を助けないのか?」…いや、そんなことじゃないんですよ。震災を受けた人たちを助けたいんだけど、だからといって我が子を危険にさらすようなことはしたくない。これは親の責任ですよね。それはもう当然なことです。
えー、これに対してですね、自治体の人の態度は、業務を実施するのが役目だから一部の人が不安に感じててもそんなの無視するっていうんですけども、ま、この、瓦礫に関して不安に思っている人の一部か多数かわかりませんが、たとえ少数派でもですね、民主主義ってのはですね、力で押し切っちゃいけないんですよ。誠意を持って説明して、納得してもらうことが必要なわけですね。それで、もう誠意を持って説明してるよ…って、そうじゃないってことを私ここで何回も言ってるんですね。
で、したがって今度はですね、自治体がわからない場合がありますから、瓦礫引き受けの条件をここに明示をいたします。まず自治体は瓦礫引き受けにあたって、「国」という言葉を出さないってことですね。「国が8000ベクレルと決めた」とか絶対出しちゃいけません。だってすでにですね、原発事故で国が国民の健康を考えていないことはわかっているわけですよ。原発事故の直後ですね、「健康に影響はない」と言って多くの人を被曝させました。被曝させた国を信用しろったって、これ無理なんですね。
ある高等学校のアンケートでは、国を信用すると答えた者が100人に1人なんですよ。だから100人に1人の高校生しか信用できないような国をですね「国がこう言ったから」っつったって、それはやっぱり不安は解消しません。それは、今まではそう言えばいいっていうだけのことで、今はそれはダメなんですね。それをやっぱり自治体の人はまだわかってなくて、「国がそう言った」って…こう言ってるんですね。国のかわりに住民を守る立場にある自治体が仕事をしなきゃいけないっていうことなんですね。
えー、もうひとつ簡単なのは、瓦礫はですね、クリアランスレベルを守るってことです。これはもう日本の法律にあってですね、えー、懲役1年という刑も決まっておりますが、えー、まぁ、その、1年10マイクロシーベルト、つまり0,01ミリシーベルト以下ならば「放射線で汚染されていない」として普通に取り扱える、とまぁいうことですね。ですから別に、これ簡単でですね、えー、「クリアランスレベル以下のものだったら自治体やりますよ」と、こう…はっきり言えばいいわけですね。これ、もう全然話にならない。
つまり事故前でも、私たちクリアランスレベルを用いて、それ以下のものは自由に移動したり焼却したりしてたんですから、全然、えー、政府とかそういうのと関係なく、我々が決めた法律ですね…法律って我々決めたんですよ、我々が決めた法律を守ってやるってことですね。それも事故前ですね。
じゃあ、燃やしたら今度は焼却灰やガスが出るわけですから、今度はそっちの、その…対策が必要ですね。もちろん基準が必要です。で、これもですね、専門知識いりません。決まっております。えー、セシウムの場合放射性物質になるのが1kg 10000ベクレルですから、通常日本の原子力でやってたように、その1/10から注意をするってことで、1000ベクレルから10000ベクレルの間は国が集中管理しなければなりません。
これは、どうして1/10かというとですね、1/10かっつぅのはたびたび議論はありましたが、常に1/10でやってます。っていうのは、例えば8000ベクレルでやった場合ですね、ちょっと測定を間違ったら10000ベクレルを超えます。そういうようなこともあってですね、えー、やっぱり1/10で管理をするということでやってきました。そうすると、えーと、焼却灰で1000ベクレル以上は国に渡せばいいですから、それはいいわけですね。国はそれ引き取るって言わなければいけません。そうするとクリアランスレベルはだいたい100ベクレルですから、1000ベクレルから100ベクレルの間はどうするかっていうことも決めとかなきゃいけません。これはですね、原子力発電所やる時に廃棄物をどこに入れるか決めてなかったってのが日本だけですからね、先進国で。そういうことやってはいけないわけで、ちゃんときちっと説明しなければ不安は除けません。
えー、それからどっかの県のようにですね、えー、かなり高い放射線のものをですね、あのー出すというようなことをするとですね、これはまた不信感を招きますので、そこもしっかりしなきゃいけません。じゃあ1000ベクレルから100ベクレルの間のものをですね、自治体で管理するってことになると、それの住民の了解がいります。これを最初に取っておくって必要がありますね。毎回言ってますけど、東京都のように「黙れ」なんて言っちゃいけないんですよ。やり方決めてなくて「黙れ」と。「俺たち殿様だ」なんて、そんなこと言ったってですね、今はダメなんです。
もう一つは誠意を感じさせるようにしなきゃいけないってことですね。えー、もちろん国はダメです。「ただちに健康に影響ありません」と言ったりSPEEDIを隠蔽する、原子力委員長の報告を隠蔽する、議事録を隠蔽する…なんてことをやってるわけですから、ま、これはダメなんですが、自治体は絶対に法律違反しない、と、誠意を持って放射線量を測り、心配する人を罵倒しないでじっくりやる、と…まぁいうことをですね、やっぱりこの際やるってことが大切ですよ。日本中がですね、行政に対して信頼性を失うってことは問題ですからね。
えー、それからですね、汚染された瓦礫っていうのが…汚染されていない瓦礫がほとんどっていうのはよく知ってるんですよ、皆さん。しかしですね、昔「東北の野菜を食べろ」ってのがあったんですよ。これはですね、東北全部を一緒にしちゃったら、福島県と秋田県の野菜は一緒になっちゃうんですよ。で「東北の野菜って呼ぶな」って私言われましたけど、東北の野菜と呼んでるのは政府だったんですよ。あン時農水省がですね、「野菜の産地を細かく特定すると風評被害が出るから、おおざっぱに言え」ってことで、東北の野菜ってなったわけですね。
えー、これ瓦礫もですね、えー、汚染されてない瓦礫は瓦礫だけ出す、というふうにやれば終わりなんですよ。「1kg 100ベクレル以下しか出さない」と宣言すれば終わりなんですが、実はそれをやるとですね、汚染された瓦礫を持ち出せなくなるので「絆」とか「思い」つったですね…そういったものを出してくるので混乱するわけですね。えーやっぱりそこの混乱を…混乱をですね正すと、その人を非難するってことはやめた方がいいですね。ま、これは自治体のことです。自治体はこうやれば大丈夫であります。
それから国の責務ですね。えー、国はですね、80京ベクレルという今度の大量の放射性物質ですね、これは広島原爆の186倍にあたるわけですが、これをどのように閉じ込めるかという基本政策を出すのがまず国の役割です。それから瓦礫の汚染度をどうやって測定するのか、もしくは瓦礫を焼却した時に出るセシウム、ストロンチウム、プルトニウムはどうなるのか。セシウムはガスになるのか。これをですね「わかりきってるじゃないか」ったって、データがなければ科学はわかってないわけですからね。データ、ちゃんと出してもらう。
とにかく私はね、政府も自治体もですね、都知事もなにもですね、国民の投票で選ばれてるんですよ。国民の投票で選ばれている人が、「国民はバカだから黙れ」とかそんなの言ってたら全然ダメですね。えー、まぁ、健全で善良な日本国民はですね、えー、「安全な瓦礫の搬出」を心配してんじゃないっていうことをはっきりわかんなきゃいけませんですね。えー、「危険な瓦礫の搬出」を心配してるんです。「危険な」っつぅのは1kgあたり100ベクレル以下のものはなんにも文句を言ってないってことですね。
ま、このことをよく、行政の方も理解してあげてですね、やはり民主主義という立脚点に立って、きちっとした説明をすることが大切だと思います。心配する人はもう全然相手にならないから説明しない、ということをやめないとですね、日本の原子力っていうのは、今後もですね、同じように罵倒しながらやっていく、と…まぁこういうことになると思います。