読者のご質問に答えて7 安心して農作物を出荷する方法
家庭菜園も含めて、放射線の高い場所で農業を営んでいる方でも良心的な人も多くおられます。その人たちは「どうしたら安心できる作物を出荷できるか」に悩んでいます。その方法の1つをお話しします。
(平成23年12月15日)
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ええとあの、農作物をどういうふうに出荷するかっていうんで、良心的な農家の方、とても困っているわけですね。ええと1サンプル測ろうと思ったら、例えば正確に測ろうと思ったら4000円ぐらいかかるんですよ。簡単に測ろうと思ったら1000円、だけど4000円にしてもですね、やっぱりその出荷するほうれん草ならほうれん草、全部測定してたら、売り値が立ちませんからね。
そういう意味ではどういうふうに測定するかっていうのが非常に重要で、ええ、良心的な農家さんがどうやるかっていうことも…まぁ、ほんとうはですね、農協とかそういう所がやらなきゃならないんですが、まあ非常に微妙でやっていないわけですね。
私はですね、実際にやっている農家さんも色々調べたりしまして、一番いいと思う方法はですね、まず自分が作物を得る畑を、まず空間の線量を測るんですね。例えば高さ5センチなら5センチっていうことで、定規できちっと測って、自分の畑にだいたいどのくらいのベクレルっていいますか…シーベルトになるかっていうのをまず測るわけです。ベクレル測るの大変ですから、まずシーベルト測るわけですね。これは線量計があればいいんで、比較的測れるわけです。
その後作物植えますね。で、作物植えて、一番最初の収穫の時に、その時に測った一番汚れている部分の、ほうれん草ならほうれん草、にんじんならにんじんを獲って、それ一個だけを出すわけですね。そうしますと、それが例えば40ベクレルだったらですね…キログラム40ベクレルであれば、その他の畑がもっと高いってことはまず考えられないわけですね。
っていうのは、あの、移行係数っていうのがあってですね、私が実は「新米が危ない」って言ったのはどうしてかっていうと、例えば5000ベクレルの所に植えたらですね、だいたいこのくらい移行するってことは決まってるわけですね。ええとまあ少しはバラつきありますが、まあその人の植え方とか、ええ…その畑の土の状態とか…いうのが決まっていれば、ほとんど決まってしまうわけですね。
そうしますと、ある畑、これはあの、家庭菜園でもそうですが、ええ…家庭菜園でも最初にやっといて、一つ…その収穫があったら、それを測っとくわけです。そうしますとですね、それが汚れてなければ、他のものは汚れていないわけですね。
それから作物を変える時は、本当はですね、測定を省略するには文献を見て、移行係数か少ないものならそれよりか安全、移行係数が多いものを植える時は、もう一回測定せんといかん、とそういうことになりますね。ええ、だけど例えば農家の方で、あまり作物の変化がないという場合はですね、それから収穫量が多いという場合は、一つ収穫したら、そのうちの一番汚れているところを一個出す。一個出してですね、それ以外はそれ以下だ、というふうに言っていいと思うんですね。あの、そこを良心的にやれば絶対に大丈夫だというふうに言えると思うんです。
それから、もし消費者の方に聞かれたら、「こういう方法でやっています」、つまり、畑の中の、一番線量率が高い所を測ります。そして作物ができたら、その線量率の高い所でできたもののベクレルを今度測るわけですね。ちょっとめんどくさいですけど。ええと、最初は線量率ですよ。一時間あたりの線量率を測る。それで地表5センチで線量率を測る。まぁほとんど、そこの土壌の汚れがわかる。それでそこに植えた、その線量率のうち一番高い所、そこでできた作物を検査に出す、まあそれだけで4000円かかっちゃう、と。
だけども、それがもしOKならば、ほか全部OKだ、とこういうふうになりますね。で、まあ普通はですね、あの、土地が汚れてても、全部移行するっていうことはあまりないわけですね。それは実はひまわりみたいに移行係数が高いものがあるので、ひまわりを植えたらきれいになるなんて、最初変な話があったんですけど、まあ、それはどうしてあの時に失敗したかといいますと、ひまわりの場合はだいたい実験データを…昔のアメリカの実験データを見ますと、だいたい地表から10センチぐらいの所になきゃいけないんですよ。
つまり、根の張り方、それからその食物が土のどこらへんから栄養分とか水分を取るかっていうことでいちいち違うので、一つ一つの畑によって全然違うんですよ。例えば耕した畑、あんまり耕してない畑、それから水が浸透した畑、あまり水がなくて乾燥した畑、と。全部別なんですね。ですから一律に、例えば「この畑にこう植えたらこうなる」ということは決まっていないんですけども、ただ、だいたいのおよそのことはわかるんです。
それからもう一つは、一つの畑、一つの家庭菜園で、「同じように耕し、同じように植えた、同じ種類のもの」っていうのはですね、空間の(地表)5センチでの一時間あたりのマイクロシーベルトとですね、そこから収穫された1キログラムあたりのベクレルが比例してますから、だから一番汚れている所(のもの)だけ出せば、後は安全だというふうにしていいと思いますね。
特に家庭菜園なんかでも、そういう点(を)お気にされている人がいるんで、放射線の場合は測定してない状態が一番危険で、これはもう放射線防御の鉄則なんですね。私たち、放射線を扱っている時には、それはもう物凄くうるさく言われたんですよ。
とくかく測定してないやつを大丈夫だと、危険だと、言ってはいけない、と。これはもう徹底的に教わりましたね。ですからその原理原則をやっぱり応用して、そして消費者に安全なものを届ける、と。しかもこの方法ですと費用が安い、と。家庭菜園でも使える、と。まあ、こういうことですね。お願いします。