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問1-1 

パリ協定(Paris Agreement)は、2015 年11 月にフランスのパリで開催されたCOP21 において採択された。パリ協定に関して、誤っているのはどれか。

1 2020 年以降の温室効果ガス排出削減のための新たな国際的な枠組みである。

2 「世界共通の長期目標として2℃目標の設定。1.5℃に抑える努力を追求すること」などが盛り込まれている。

3 「主要排出国を含む全ての国が削減目標を5年ごとに提出・更新すること」などが盛り込まれている。

4 1997年12 月に京都で開催されたCOP3で採択された京都議定書と比べ、削減義務の対象国に違いはない。

解説

誤りは4番。パリ協定は先進国と途上国を含めた国々を対象としています。それに対して京都議定書は、「付属書Ⅰ国」という先進国+市場経済移行国に対して2008年~ 2012年期間における法的拘束力のある数値目標に沿った削減が定められましたが、非付属書Ⅰ国(途上国)に対しては、削減義務は課されませんでした。

 

問1-2 ESG 投資に関して、誤っているものはどれか。

1 ESG投資とは、財務情報だけでなく、環境(Environment)・安全性(Security)・企業統治(Governance)の頭

文字をとって、それらの要素を考慮に入れた投資のことを指す。

2 国連が2006年に提唱したPRI(責任投資原則)では、投資決定への組み込みに関する6つの投資原則を定めている。

3 ESG投資の投資判断の1つであるネガティブスクリーニングは、ESGの評価観点からふさわしくないとされる事業、銘柄を投資先から排除する手法である。

4 ESGウォッシュとは、企業が実態以上にESG に取り組んでいるように見せかけることを指す言葉である。

解説誤りは1番。ESG投資とは、財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の要素も考慮に入れた投資のことです。

 

 

問1-3 

2015年12月にパリで開かれた第21回目の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で採択されたパリ協定に関連する記述として、誤っているのはどれか。

1 合意内容の1つは、世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をすること。

2 合意内容の1つは、世界の温室効果ガス(GHG)排出量をできるかぎり早くピークアウトし、21世紀後半には、人為的なGHG排出量と吸収量のバランスを取ること。

3 パリ協定の科学的根拠となった第5次統合報告書(AR5)では、「温暖化には疑う余地がない」という判断が記載されている。

4 パリ協定の参加国は、「自国が決定する貢献(Nationally Determined Contribution、NDC)」を決定し、一度策定した計画は更新する必要はない。

解説誤りは4番。策定した計画の更新は5年ごとに求められています。

 

 

問1-4 

IPCC 1.5℃特別報告書(SR1.5)に関して、誤っているのはどれか。

1 「産業革命前の水準より1.5℃上昇した地球温暖化の影響と関連する世界のGHG排出経路に関する特別報告書を2018年に提出してほしい」というCOP21 からの要請を受けて、IPCCが作成した。

2 「人為的活動は、工業化以前の水準より、すでに約1℃温暖化されたと推定される。このままの割合が続けば、2030年から2052年のあいだに1.5℃に達する可能性が高い」と説明されている。

3 「1.5℃の地球温暖化において、一部の地域の適応能力は限界に達するが、人間の適応には問題がない」としている。

4

21世紀末までに世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5℃以下に抑えるためには、世界の人為的なGHG排出量を、2030年までに2010 年比で約45%減少させ、2050年までには実質ゼロにする必要があることが示された。

解説誤りは3番。「一部の人間と自然システムの適応能力は限界に達し、損失を伴う」と警告しています。

 

問1-5 

カーボンニュートラル(炭素中立)に関して、誤っているのはどれか。

1 カーボンニュートラルとは「人為的な温室効果ガスの排出量と吸収量が均衡していない状態」を指す。

2 日本も、国として2050 年までのカーボンニュートラルを目指すことを宣言している。

3 カーボンニュートラルへの取り組みは、サプライチェーンのトップ企業からサプライヤーへと波及していっている。

4 SBTイニシアティブは、パリ協定の目標に整合する「科学的根拠に基づく削減目標(SBT:Science BasedTargets)」を企業に求めている。

解説

誤りは1番。カーボンニュートラルとは「人為的な温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させること」を指します。吸収量とされるものは、適切な森林管理や植林など、あくまでも人為的な排出量と吸収量の均衡である点に注意が必要です。

 

 

問1-6 

「We Mean Business」の説明として、誤っているのはどれか。

1 We Mean Business(WMB)は企業や投資家の温暖化対策を推進している国際機関やシンクタンク、NGOなどが構成機関となって運営している。

2 「We Mean Business」内のイニシアティブの例としては、SBT イニシアティブ(SBTi)やRE100などがある。

3 We Mean Businessのイニシアティブには、企業や投資家が自らの意思で自主的に参加している。

4 企業や投資家は、WMBを構成している多数のイニシアティブ(SBTiやRE100など)全てに誓約しなければ加盟することはできない。

解説誤りは4番。企業や投資家は、WMBを構成している多数のイニシアティブ(例えばSBTiやRE100など)に、1つ以上誓約(コミットメント)する形で加盟することができます。

 

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問2-1 

炭素会計アドバイザー協会ではカーボンアカウンティングのサイクルを重視している。カーボンアカウンティングのサイクルに関して、誤っているのはどれか。

1 ①現状把握、②目標設定、③削減の取り組み―という3つを繰り返しながらGHG排出量の削減に取り組む。

2 現状を把握する際に、活動量は、できる限り財務諸表に計上されている内容と整合させることが望ましい。

3 対外的な評価や透明性を考えると、SBT に基づく削減目標を設定することが望ましい。

4 カーボンアカウンティングサイクルを回して削減に徹底的に取り組むことが重要であり、その取り組みを開示することはそれほど重要ではない。

解説誤りは4 番。Scope1、2、3の測定値、削減目標、達成進捗に加え、ガバナンス・リスク管理体制を公開し、投資家、取引先、社会に向けて情報発信することで、対外的な評価を受けることは非常に重要です。

 

 

問2-2 

カーボンアカウンティングのサイクルのうち、最初に実施するのが「現状把握」である。この現状把握において、誤っているのはどれか。

1 GHG プロトコルは、2015年のパリ協定以前からNGOを中心に策定されていたものである。

2 GHG プロトコルは、企業のGHG排出量を計測する炭素会計の基準として重視されている。

3 GHG プロトコルの詳細は、炭素排出量削減に意欲的であると国際的に認められた企業にのみ公開されている。

4 GHG プロトコルの Scope3 基準の特徴は、1 つの企業から排出された GHG排出量(直接排出)だけではなく、サプライチェーン全体における排出量(間接排出)も重視している点である。

解説

誤りは3番。GHG プロトコルの詳細はサイト(https://ghgprotocol.org/で公開されており誰でも閲覧することができます。算定に関する原則を示したスタンダードが公開されています。例えば、Corporate Standard では、組織境界の変化や経年データの管理などについての基準が示されています。

 

 

問2-3 

SBT(Science Based Targets) の説明で、誤っているのはどれか。

1 SBT イニシアティブはCDP・UNGC・WRI・WWFの4つの機関が共同で運営している。

2 SBTイニシアティブにコミットメントレターを提出しても、その後SBT認定取得を行うかは企業の判断に任されている。

3 SBT はパリ協定が求める⽔準と整合した、組織が設定する温室効果ガス排出削減⽬標のことである。

4 Near-term SBT は提出年より5年~ 10年先の範囲で目標年を設定することを求めている。

解説誤りは2番。SBTiにコミットメントレターを提出してから、2年以内のSBT認定取得を目指すことを宣言する必要があります。なお、コミットレターの提出自体は任意となっています。

 

 

問2-4 

SBT 目標達成に向けた削減の取り組みに関して、誤っているのはどれか。

1 自社からの排出量を削減する方法としては、省エネ設備の導入や再エネ電源の導入などが考えられる。

2 再エネ電力の調達には自家発電・自家消費やコーポレートPPA(電力購入契約)、再エネ由来電力メニューへの切り替え、再エネ電力証書の購入など様々な手段が考えられる。

3 NETs(Negative Emission Technologies)は炭素の回収、貯留の技術を指し、例えば森林や藻場の再生、DACやCCSなどが一例に挙げられる。

4 SBT イニシアティブはScope1、2、3 の排出量を、クレジット(排出権)を使ってオフセット(相殺)することを認めている。

解説

誤りは4 番。SBT イニシアティブはScope1、2、3 の排出量を、クレジット(排出権)を使ってオフセット(相殺)することを認めていません。クレジット(排出権)取引は、ある企業が削減した量を販売先の企業に移転するものですが、削減量を移転するという行為だけでは地球全体の排出量は減っていません。よって、総量削減を求めるSBT の排出削減目標には不適合であり、削減目標達成のための手段には使えないとされています。

 

 

問2-5 

企業のカーボンアカウンティングにおける社外向けの情報開示に関して、誤っているものはどれか。

1 カーボンアカウンティングの取り組みを情報開示することで、投資家、取引先、社会から評価を受けることができる。

2 情報開示の方法として、CDP質問書に回答する方法がある。

3 日本では、TCFD のフレームワークか同等のフレームワークに則って気候変動に係る情報開示を行うことは、一切義務付けられていない。

4 CDP は、世界中の機関投資家などの要請を受けて、彼らに代わって気候変動への取り組みに関する質問書を企業へ送付している。

解説

誤りは3番。2021 年6 月のコーポレートガバナンス・コードの改訂によって、東証プライム市場の上場企業に対して、気候変動を含むESG 情報を開示する方法としてTCFD のフレームワークか同等のフレームワークに則ることが義務付けられました。

 

 

問2-6 

TCFD、SBT、RE100などの国際的なイニシアティブに参加し、脱炭素経営に取り組む企業が増えている。国際イニシアティブに関して、誤っているのはどれか。

1 TCFD への賛同を表明している日本の機関(金融機関、企業、政府など)はほとんどいない。

2 RE100は、企業が事業活動に必要な電力の全てを再生エネルギーで賄うことを目標に掲げている。

3 EP100は、事業のエネルギー効率を倍増させること(省エネ効率を50%改善など)を目標に掲げている。

4 EV100は、事業活動で使うモビリティーを100%ゼロエミッションにする目標を掲げている。

解説誤りは1番。TCFDへの賛同を表明している機関(金融機関、企業、政府など)の数は、2022年3月31時点で日本は世界で最も多く、世界で3150機関のうち、日本は757機関になります。

 

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問3-1 

炭素会計(カーボンアカウンティング)にとって最も重要なCO2排出量算定の公開情報に関して、誤っているのはどれか。

1 環境省と経済産業省は、国内事業者がCO2排出量を算定する際のガイドラインとして、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」を公開している。

2 「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」は、GHGプロトコルの内容を踏まえ策定されている。

3 環境省と経済産業省が管理する「グリーン・バリューチェーンプラットフォーム」というサイトでは、GHGのサプライチェーン排出量算定に用いるデータベース、SBT 認定、RE100認定に関する情報を確認できる。

4 グリーン・バリューチェーンプラットフォームは、「脱炭素経営」そのものとは無関係な情報プラットフォームである。

解説誤りは4番。グリーン・バリューチェーンプラットフォームは、「脱炭素経営」に関する情報プラットフォームです。

 

 

問3-2 

GHG排出量の算定・報告の国際的な基準であるGHGプロトコルでは、GHGの排出をScope1、Scope2、Scope3 の3 つに区分している。Scope に関して、誤っているのはどれか。

1 Scope1は、燃料の使用や工業プロセスにおいて事業者自らが排出する直接排出である。

2 Scope2は、他社から供給された電気の使用に伴う間接排出であり、他社供給の熱と蒸気についてはScope1に含まれる。

3 Scope3は、原料調達・製造・物流・販売・廃棄などのサプライチェーンの上下流における間接排出であり、15のカテゴリに分類している。

4 サプライチェーン全体の排出量を考える際は、Scope1、2だけではなくScope3を含めて考慮する方がより良い。解説誤りは2番。他社から供給された熱・蒸気の生成に伴う間接排出も、Scope2として算定します。

 

 

問3-3 

Scope3 に関して、誤っているのはどれか。

1 Scope3は、サプライチェーンの上流(カテゴリ1 ~ 8)と下流(カテゴリ9 ~ 15)に分かれている。

2 下流の算定は、販売した製品がどのように使用され、廃棄されたか実データ取りが難しいため、上流の算定に比べて精度が落ち、削減へのアプローチも難しい傾向にある。

3 排出量は、活動量に排出原単位(排出係数)をかけ合わせて算定するが、仕入先サプライヤーから1次データの提供を受け、差し替える企業も増えてきている。

4 Scope3において、排出量の大きくなるカテゴリは業態にかかわらず同じである。

解説

誤りは4番。Scope3は、排出量が大きいカテゴリは、企業の業態によって異なります。例えば、自動車や機械メーカーなどの製造業の場合、カテゴリ1(購入した製品・サービス)とカテゴリ11(販売した製品の使用)が大きくなる傾向があります。電気小売事業者では、カテゴリ3(Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動)が大きくなります。輸送業者ではカテゴリ4(輸送・配送上流)、旅行業者ではカテゴリ6(従業員の出張)、投融資をはじめ金融事業を行っている業者はカテゴリ15(投資)の排出が大きくなります。

 

 

問3-4 

事業者連結の範囲を決める組織境界の設定方法の説明について、誤っているのはどれか。

1 GHG プロトコルが示す組織範囲設定の考え方は、出資比率基準と支配力基準の2通りがある。

2 組織境界とは組織が所有または支配する事業活動の範囲を定める境界である。

3 支配力基準は、原則として、支配下の事業からの排出量を100%算定する方法である。

4 出資比率基準とは、原則として、出資先の組織の排出量を100%算定する方法である。

解説誤りは4番。出資比率基準とは、出資先の排出量を出資比率に応じて算定に含める方法です。

 

問3-5 

CO2排出量算定を効率的かつ継続的に行うためのコツに関して、誤っているのはどれか。

1 関係者を集めて情報を共有するのは面倒であるため、初年度は本社の担当者だけに限定して進めるのがよい。

2 活動量とは事業者の活動の規模に関する量のことで、電気の使用料、貨物の輸送量、廃棄物の処理量などである。

3 Scope3のデータ収集にあたり、販売管理台帳や容器包装リサイクル法の届け出に使用するデータを流用できるなど、既存データを活用できる可能性がある。

4 継続して算定を進めるために、算定ロジック、エビデンスはできる限り保存することが好ましい。

解説誤りは1番。初年度は関係者を集めて情報を共有し、データの収集元を明確にして引き継いでいく必要があります。

 

 

問3-6 

Scope1 に関する説明で、誤っているのはどれか。

1 算定対象の排出活動については、算定・報告・公表制度の算定対象範囲以外のものは存在しない。

2 算定対象は自社のみではなく連結対象事業者や建設現場など自社が所有または支配する全ての事業活動を含める必要がある。

3 自社所有の自家用車によるガソリン使用に伴う排出はScope1で算定する。

4 地球温暖化係数とは、CO2以外の温室効果ガスをCO2に換算する際に使用する数値であり、CO2を1とした場合の温室効果の強さを表す。

解説誤りは1番。算定対象の排出活動については、算定・報告・公表制度の算定対象範囲以外のものは存在します。

 

 

問3-7 

Scope2 に関する説明で、誤っているのはどれか。

1 GHGプロトコルでは、Scope2の電力利用に伴う排出量を中心に「ロケーション基準手法」と「マーケット基準手法」のどちらかの手法で報告をすることを求めている。

2 「ロケーション基準手法」は調達している電気の種類にかかわらず特定のロケーションに対する系統網の平均排出係数を用いる。

3 「マーケット基準手法」は調達している電気の契約に基づく排出係数を用いる。

4 Scope2は、他社から供給された国内外の電気、熱、蒸気の使用に伴う間接排出である。

解説誤りは1番。GHGプロトコルでは、Scope2の電力利用に伴う排出量を中心に「ロケーション基準手法」と「マーケット基準手法」の2通りの手法で報告をすることを求めています。

 

 

問3-8 

LCA(ライフサイクルアセスメント)の説明で、誤っているのはどれか。

1 LCAは、特定の製品・サービスのライフサイクルの環境負荷を定量的に評価する手法である。

2

カーボンフットプリントとは、商品やサービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでのライフサイクル全体もしくは一部で排出される温室効果ガスの排出量をCO2に換算して、商品やサービスに分かりやすく表示する仕組みを指す。

3 Cradle to Gateは、「原材料が製品となり、工場から出荷されるまでの一連の段階」を意味する。

4 LCAでは、異なる機能をもつ製品間を比較することも積極的に認められている

解説誤りは4 番。LCAでは、異なる機能をもつ製品間を比較することは難しいとされている点に注意が必要です。

 

問3-9 

「カーボンプライシング」について、誤っているのはどれか。

1 カーボンプライシングの1つである炭素税は温暖化防止のための環境税である。

2 カーボンプライシングの1つであるJ-クレジットは、途上国と協力して温室効果ガスの削減に取り組み、削減の成果を両国で分け合う制度である。

3 カーボンプライシングとは、炭素に価格を付け、排出者の行動を変容させる経済的手法である。

4 カーボンプライシングの例としては、炭素税、国内排出量取引、クレジット取引などが挙げられる。

解説誤りは2番。J-クレジットは温室効果ガスの排出量削減や吸収量を、国が「クレジット」として認証する制度です。記載の説明はJCMについての説明です。

 

 

問3-10 

Scope3カテゴリ1に関して、誤っているのはどれか。

1 自社で購入した製品・サービスの排出に関するカテゴリである。

2 原材料や最終製品などの直接調達(事業者の製品の製造に直接関係する物品など)のみを算定対象とする。

3 金額ベースの算定では、産業連関表の排出原単位を使用できる。

4 算定対象範囲は、自社で算定年度内に購入・取得した、全ての製品とサービスの資源採取段階から製造段階までの排出である。

解説誤りは2番。カテゴリ1は直接調達(事業者の製品の製造に直接関係する物品など)だけではなく、間接調達(事業者の製品の製造に直接関係しない物品・サービス)も含みます。

 

 

問3-11 

Scope3カテゴリ2に関して、誤っているのはどれか。

1 算定対象範囲は算定対象期間に購入または取得した資本財の、建設・製造・輸送・廃棄物などから発生するCO2排出量である。

2 無形固定資産はCO2を排出しないものとして原則算定対象外だが、例外として「ソフトウエア」は含まれる。

3 通常資本財を使用時に発生する排出量はScope1または2で算定し、資本財以外の製品・サービスの調達はカテゴリ1で算定する。

4 複数年にわたり建設・製造されている資本財の場合は、最終的に算定対象に含める必要はない。

解説誤りは4番。複数年にわたり建設・製造されている場合には建設・製造が終了した最終年に計上することが一般的です。

 

 

問3-12 

Scope3カテゴリ3の算定対象の説明として、誤っているのはどれか。

1 カテゴリ3 は、Scope1、2に含まれない燃料およびエネルギー関連活動による排出を算定の対象とする。

2 通常カテゴリ3の算定においてはScope1、2の算定で使用した活動量を使用する。

3 カテゴリ3 の排出量は、活動量に対し、Scope1、2とは異なる排出原単位を乗ずる。

4 自社が販売した燃料の使用に伴う排出も、カテゴリ3で算定する。

解説誤りは4番。販売した製品の使用に伴う排出はカテゴリ11で算定します。

 

問3-13 

Scope3カテゴリ4は、輸送・配送に関する排出である。カテゴリ4に関して、誤っているのはどれか。

1 貨物の所有権がなくとも、算定に含める場合がある。

2 調達輸送に関しては、荷主でなくともカテゴリ4に整理される。

3 廃棄物の輸送についても、通常、カテゴリ4の算定に含める。

4 カテゴリ4の算定においてトンキロ法よりも燃料法、燃費法による算定の方が精度が高い。

解説誤りは3番。廃棄物の輸送はカテゴリ5(廃棄)にて任意で算定します。

 

 

問3-14 

Scope3カテゴリ5は、自社の事業活動から出る廃棄物が他社で「廃棄」「処理」される際に発生する排出である。カテゴリ5に関して、誤っているのはどれか。

1 カテゴリ5は、主に委託処理を行う産業廃棄物と、市町村によって処理される一般廃棄物が算定対象となる。

2 自社内で焼却などにより廃棄物を処理する場合も、カテゴリ5として算定する。

3 有価物(有価で買い取られたり、無償で引き取られたりする廃棄物)は通常算定対象外となる。

4 廃棄物輸送は任意算定とされている。

解説誤りは2番。自社内で焼却などにより廃棄物を処理する場合は、自社の敷地内でGHGが発生する直接排出であるためScope1 に含まれます。

 

 

問3-15 

Scope3カテゴリ6の算定対象の説明として、誤っているのはどれか。

1 算定対象範囲は、自社が常時使用する従業員の出張など、業務における従業員の移動の際に使用する交通機関などにおける燃料・電力消費から排出される排出量である。

2 算定対象範囲は、従業員の通勤に伴う排出である。

3 算定対象範囲に、従業員自身が保有する自家用車で営業活動などの業務に関わる移動を行っている場合も含まれる。

4 算定対象範囲に出張者の宿泊に伴う宿泊施設での排出を含めることは任意とされている。

解説誤りは2番。従業員の通勤に伴う排出はカテゴリ7で算定します。

 

 

問3-16 

Scope3カテゴリ7の算定対象の説明として、誤っているのはどれか。

1 常時使用する従業員が、工場・事業所へ通勤する際に使用する交通機関等の排出を算定対象とする

2 自社保有の車両などによる通勤は、Scope1またはScope2のどちらかで算定する必要がある

3 自家用車を通勤に使う場合、ガソリン代を支給していてもカテゴリ7として算定する必要はない

4 テレワークによる排出、例えばPC使用、空調・照明使用に伴う排出量などは、カテゴリ7で算定する場合がある。

解説

誤りは3番。ガソリン代を支給していればカテゴリ7で通常算定を行います。補助金額に対応する排出原単位は、「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出等の算定のための排出原単位データベース」にないため、自社で作成することが求められます。

 

問3-17 

Scope3のカテゴリ8とカテゴリ13 に関して、誤っているのはどれか。

1 カテゴリ8および13 はいずれも、リース資産の操業に関する排出である。

2 温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度では、自社が利用するリース資産の操業に伴う排出も対象としている場合がある。

3 カテゴリ8は自社が他社に賃貸しているリース資産の操業、カテゴリ13は自社が賃借しているリース資産の操業を対象とする。

4 カテゴリ8および13は、リース資産ごとの実際のエネルギー消費量が分からない場合も、排出量の計算が可能である。

解説誤りは3番。カテゴリ8は自社が賃借しているリース資産の操業、カテゴリ13は自社が他社に賃貸しているリース資産の操業を対象とします。

 

 

問3-18 

Scope3カテゴリ10 に関して、誤っているのはどれか。

1 中間製品とは最終消費者が使用する前に更なる加工、組み立てなどが必要となる製品のことを指す。

2 標準的な算定方法として、販売先(加工事業者)における加工方法が分かれば、販売量(出荷量)を活動量として計算できる。

3 販売した中間製品がどの最終製品に加⼯されているかを把握するには、上流側のサプライチェーンへの働きかけが重要である。

4 カテゴリ10は自社で製造した中間製品が自社の下流側の事業者において加工される際に発生する排出が対象となる。

解説誤りは3番。販売した中間製品がどの最終製品に加⼯されているかを把握するには、下流側のサプライチェーンへの働きかけも重要です。

 

 

問3-19 

Scopoe3カテゴリ11の算定対象の説明として、誤っているのはどれか。

1 代表値を用いて推計する場合は、恣意的に排出量を過小評価していないことを示すため、代表製品選定の根拠を明確にすることが望ましい。

2 算定する対象期間は、販売製品の算定対象年度1年間における排出量である。

3 使用シナリオの設定方法によって、排出量は大きく変わる可能性がある。

4 販売した衣類の洗濯時の水や電力使用といった間接使用段階排出は、任意算定である。

解説誤りは2番。算定対象とする期間については、「製品が販売された年に、その製品の生涯において排出すると想定される排出量をまとめて算定する」こととしています。

 

 

問3-20 

Scope3カテゴリ12 に関して、誤っているのはどれか。

1 算定対象は自社が製造・販売している製品本体、および製品に付す容器包装を「廃棄」「リサイクル処理」する際の排出である。

2 カテゴリ5が自社の事業活動の中で発生した廃棄物を対象としているのに対し、カテゴリ12は販売した製品の廃棄を対象としている。

3 リサイクル処理の範囲をどこまでとするかについては厳密に規定されており、その規定に則らなければならない。

4 算定方法はカテゴリ5(事業から出る廃棄物)と同様である。なお、活動量はその年に販売した製品全てが対象となり、製品寿命を終えて最終的に廃棄される際の廃棄物量が算定対象である。

解説

誤りは3番。リサイクル処理の範囲をどこまでとするかは、様々な考え方があります。例えばプラスチックのリサイクルの場合、回収したプラスチックを輸送、破砕、選別するまでの、「リサイクル準備段階」までを対象とする考え方や、さらにそれをペレット化するまでの「リサイクル段階」までを対象とする考え方などがあります。なお、リサイクル処理プロセス全てを算定対象とすることなども考えられており、検討課題となっています。

問3-21

Scope3カテゴリ14は、自社がフランチャイズ主宰者である場合のフランチャイズ加盟者(フランチャイズ契約を締結している事業者)における排出である。カテゴリ14に関して、誤っているのはどれか。

1 カテゴリ14 は、自社がフランチャイズ主宰者である場合にのみ算定する。

2 算定対象範囲は、フランチャイズ加盟者のScope3の排出である。

3 フランチャイズ加盟者の排出のうち、主宰者のScope1とScope2に含まれる範囲は除く。

4 カテゴリ14は、算定・報告・公表制度で算定対象としている特定連鎖化事業者の範囲のうち、Scope1とScope2として報告する範囲(自社事業所など)を除いた範囲を原則とする。

解説誤りは2番。カテゴリ14の算定対象範囲は、フランチャイズ加盟者のScope1とScope2の排出とされています。

 

 

問3-22 

Scope3カテゴリ15 に関して、誤っているのはどれか。

1 自社の投資先の活動に関連する排出量が対象となる。

2 通常、カテゴリ15 では、投資先のScope3の排出量の把握が必要である。

3 ウェブサイトなどの公開情報から、投資先のScope1、2を確認することができる場合がある。

4 GHG プロトコルでの算定対象としては、株式投資、債券投資、プロジェクトファイナンスなどがある。

解説誤りは2番。通常、カテゴリ15では、投資先のScope1、2の排出量把握が必要となり、被投資者から得た投資別のScope1、2の排出量を投資持分比率に応じて積み上げて算定する算定方法があります。