昨日書いた夏休みに使っていた別荘。

毎年そこに行って(父は仕事で来なかった)、
母と兄のと3人で夏休みを過ごしていた。


毎朝、朝食の後は勉強をして、
(兄にも母は右脳カードや公文式などをさせていた)
お昼を食べたら近くの海へ行き、
夕方まで私は一人、海に浮き輪で浮かんでいた。


母は、もちろん海に入ることは一度もなく、
パラソルを立てていつも寝そべっていた。


兄は海が好き、と母が言う割に、
いつも波打ち際に座り、ただ石や砂をいじっていた。


そんな楽しい楽しい海辺の別荘。
そこでは何度か不思議なことが起こった。


ある夜、リビングで川の字になり眠っていると、
風もないのに一番重い大きな玄関扉がガタガタと物凄い音を立てて揺れたのだ。

母も私も驚いて目を覚まし、母は誰かきたのかと見に行ったが誰もいない。
薄い窓ガラスは揺れていないのに、重い扉だけがガタガタ揺れたのだ。


またある時は、時計の針が逆に回っていた。
これは私しか見なかったけれど、
明らかに逆に猛スピードで回っていて、恐ろしくなって母を呼んだら、それは何事も無かったかのように元に戻っていた。


廊下の突き当たりにはトイレがあって、
トイレに行くまでの廊下には、
もう一つ客間があった。

何故かそこは他の部屋よりも薄暗くて、
空気も冷たく感じ、昼間でもなんとなく怖かった。
何も見えなかったけれど、
子どもながらになんだか他に女性が居るような気がしていた。


だから、その客間には私は決して入らなかったし、
大人になったあとに、母もあの家には何かが居た、
とボソッと話していたことがあった。


母が荒地を買い、簡単な小屋を建てただけのものだったけれど、昔どんな土地だったのか。


何年か別荘として使ったあとは、
近くに外国人経営のリゾートホテルが出来てしまい、騒がしくなったので母が手放してしまったので、今となってはもう住所も分からない。


そんな家だったので、
トイレに起きたあとは、何だか怖くていつも眠れずにいた。
隣で眠る母の体に顔をうずめて、
母の温もりを感じる時間が、私にとっては怖い時間でもあり、嬉しい時間でもあった。


こっそり母を独り占めして甘えられる時間。
そんな時間を持てたのだから、
私にとっては女神だったのかもしれない。