寝かしつけ
世のお母さんたちは、何歳くらいまで我が子を寝かしつけするのだろう
我が家の娘は小学校中学年だけれど
ベッドに入る時には添い寝して欲しがるので
一緒にベッドに入り、話をしたり手を繋いだりしながら
眠くなるのを待つのだ
すると娘は安心したようにスゥっと眠ってくれる
そんな毎夜の寝かしつけの時には
幼いころの寝室の様子を思い出さずにはいられない
我が家は一軒家だったので
二階にある広い寝室で家族四人で雑魚寝をしていた
母、わたし、兄、父
の順で横並びで眠っていた
寝室にはテレビが一台置いてあり
テレビが大好きな母は、リビングでも常にテレビ
もちろん寝室でも常にテレビを見ていた
普段あまり母を独占して甘える機会がない私にとって
就寝時はこの並び順のお陰で絶好の甘えチャンスタイム
横になってテレビを見ている母の隣に横になり
幼い私はいつも母の胸に顔をうずめ
母のぬくもりや柔らかさを感じていた
普段なら母に抱きついたり甘えたりすると
『もうベタベタせんといて!
うっとおしい子やな。私こども嫌いやから』
と厄介そうにすぐに私の身を剥がそうとする母も
就寝時は横になっているうえにテレビに意識がいっているので
私が母に抱きついたり胸に顔をうずめても
特になにも注意されることがなかった
そのため、これ幸いと
私はいつもこっそり母に甘えていた
温かな布団のなかで感じる母の温もり
とても幸せなひとときだったことを覚えている
自分に意識は向いていなくても
絵本の読み聞かせや楽しいお喋りがなくても
ただただ自分だけが母のぬくもりを独占していられるその時間は
私にとってはこの上なく幸せな時間だった
あるとき、欲張りな私は
母のぬくもりだけではなく、母の関心も欲しいと思い
『凄く頭が痛い!割れるように痛い!』
と仮病で嘘を言ったことがある
隣で横になりテレビを見ていた母は
私があまりにも痛がるものだから
ただ事ではない・・と頭痛薬をもってきてくれた
嘘だと悟られたくなかった私は
頭痛なんて全くないのにその薬を飲み干し
『だいぶマシにはなったけれどまだ痛い・・』
とさらに嘘を継続し、
母の関心を10分ほど独占した記憶がある
いまとなれば不要な薬まで飲んでなんてことをしていたのか・・と思うけれど
当時の私はそれに味をしめて
その後も度々体の節々を痛がるという仮病を使い
母の関心を引くためにあの手この手で嘘をついていた
普段は自分に無関心な母も
私が病気のときはさすがにその目を自分に向けてくれる
それが当時の私には唯一の自己防衛策だった
そんな昔の寝室での思い出を
娘の寝かしつけのときに思い出しては
懐かしくも切ない気持ちになるのだ