ようくん(兄)は可哀想な子やから一番かわいい

あんたは普通の子やから二番目

 

 

当時、母方の祖母は健在で、やさしい人だった

繊細で厳しくて、でも思いやり深く孫思いのひと

 

 

そんな祖母が私は大好きだったが

祖母は何かにつけて目に涙を溜めながら

このセリフを口にするのだ

 

 

私が一年生になって入学式の装いそのままに

祖父母宅へ見せに行った日も

私の可愛いランドセル姿を見て

祖母の口から出てくるのはお決まりのこのセリフ

 

 

わーー、かわいいなー。

・・・ようくんも普通の子やったらなぁ。

ようくんは可哀想な子やから

ようくんがかわいい。涙

 

 

塾で上のクラス入れたよ!と話したときも

このセリフ

 

 

すごい!

・・・ああ、ようくんも普通の子やったらなぁ。

ようくんはきっとあんたよりも賢くて何でもできたやろな。

可哀想な子、ようくんがかわいい。涙

 

 

祖母に負けず劣らず、

母も頻繁に泣きながらこのセリフを様々なシーンでつぶやくのだ

 

 

私が健康に成長しても

私が何かを頑張っても

私に何かうれしいことがあっても

 

 

祖母と母は、

自閉症でなかったら兄の方が賢く

顔もハンサムだったのに‥

可哀想な子だから兄が一番かわいい

兄が普通の子だったら・・

 

と何かにつけて兄の不運話に転換し涙するのだ

 

 

そのうち私は自分が普通であることが悪なのではないか

兄と代わっていたらよかったのか

自分は永遠に誰かの一番にはなれないのか

 

そんなことを思うようになっていた

 

 

自分が親になり

当時の母たちの言動を振り返ると

同じ親としては到底共感でるものではない

 

 

いくら兄が自閉症とはいえ

私は私

兄と比較したりすり替えたりせず

私を一人の人格として純粋に見てほしかった

 

 

いま子育てをするなかで

気を付けてはいるものの

私もついつい他のお子さんと娘を比較したり

能力を羨んだりすることがある

 

 

そんなときは

当時の自分の辛く苦々しい気持ちを振り返り

その思いを教訓にして、我が子だけを見つめるようにしている