久しぶりの更新です。

よければ前回の内容を読み返してもらえると嬉しいです。

 

 

 

 

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夕暮れ時。

高層マンションの僕の部屋の窓はいつもより少し強く風が吹き付つける。

 

その時急かすように煩くインターホンが響いた。

息を潜めてそのときを待っていたような心臓の鼓動が外にまで響いているようで

僕は深呼吸をして画面を覗いた。

なのに、画面に映るユノの顔は少しだけ強張っていて嫌な予感がした。

 

深刻そうな顔つきに、僕は逃げてしまいたいような気持ちになる。

僕に、もう逃げ場なんてないくせに。

 

 

それでも、玄関を開けた瞬間に強く僕を抱きしめたあなたの体は冷たくて温かくて

一瞬で僕をおかしくさせた。

 

「何があったの?」

そう聞きたかった。

あなたにそんな顔をさせている理由は僕なのだろうか、と。

 

でも、僕らは言葉を交わすよりも先に乾いていた身体を満たした。

猜疑心が僕の心と体をかき乱す。

なのに、途方もなく僕の心はあなたへ一直線に向かっていく。

これでいいのかと自問自答しながら、自分の出した答えに理由付けをして

正当化していく僕。

それを知ってから知らずか、いつもより激しく僕を抱くあなた。

 

僕らにとって、セックスって感情の伝達手段みたいだ。

嘘を上手につけないあなたは、僕にこうして感情をぶつける。

そして、ぶつけあった感情はいつのまにか昇華されていく。

汗だくになったシーツに全てが流れ落ちてしまうように。

 

終われば突然襲う気恥ずかしさにはまだ慣れていない僕は

乱れたシーツをはぎとって、洗濯機へ投げ込んだ。

 

早く洗わないと、と僕が言うと

せっかちだな、とユノが笑う。

 

ユノが笑ってくれた。

そんな些細なことで僕の心は簡単に安堵する。

 

僕はユノにコーヒーを渡した。

カップから湯気が立ち上って、いい香りが漂うのがとても心地よかった。

そこには僕らの時間が流れていく。

誰のものでもない、僕らだけの時間。

 

そのとき。

 

「ブラックも飲めるようになったんだよ、俺。」

 

ユノがそんなことを自慢げに話す。

 

そんなことよりも、軍でもっと自慢できるようなすごい賞をとっただろうに、そう思うけど

僕にとってはユノがブラックコーヒーを飲めるようになったことの方が大きな変化で。

 

こういうの、

 

幸せだと思う。

ありきたりだけど、こういうのが一番幸せ。

 

僕の日常にあなたが溶け込んでいくみたいで。

 

あなたはいつだってそうだ。

誰にでも簡単に成し遂げられないような大きなことをしてるくせにそれには気づかず、

小さな幸せにちゃんとと気づける人。

そういう所が僕をたまらなく幸せにしてくれることを、きっと知らないだろう。

 

 

「なぁ、俺のこといつから好きだった?」

 

突然、あなたが僕に尋ねた。

 

あなたを好きになったのはいつからか。

初めて出会った時だっただろうか・・・

自分でも分からない。

 

好きになった瞬間が存在するのなら僕にも教えて欲しい。

それなら嫌いになることも簡単だろう。

 

だけど時間をかけてゆっくりと実っていった気持ちはなかなか萎みそうにないんだ。

それどころか、日に日に膨らんでいく自分の気持ちを時々怖いと思うことだってある。

 

現在進行形の僕の気持ちは、あなたを苦しめているのかもしれない。

想いの深さに平等は存在しないことは分かってる。

だから、迷うし、傷つくし辛くもなる。

 

それでもあなたがブラックコーヒーを飲めるようになったように

いつか僕らにも変化が訪れるだろう。

 

その時、僕らは何に迷い何を選択するのか。

正反対の僕らがたどり着く場所はどこなのか。

 

それはここではない何処かなのだろうか。

 

 

それでも今はここでこうして、あなたと二人生きていく。

ひとまず明日、僕は今日よりもっとあなたを好きになる。

 

僕はもう一度ユノに口付けた。

交わす吐息はブラックコーヒーよりもなぜかずっと甘かった。

 

 

 

 

 

 

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亀更新ですが、ようやく終われました。

着地点が見つからず迷いに迷っていたらいつのまにかこんなに時間が。

 

次回は短編で書きたいものがあるので

また時間が出来次第、あげていければと思います。

ありがとうございました。