こんなにあっさりとチャンミンが頷くなんて思ってもなかった。
俺は、本当は何度も頭の中でお前を抱いていた。
お前は泣き顔を見せヤメロと言うけど、俺は止められなかった。
それぐらいお前に触れたかった。
だけど、現実のお前には触れることさえ出来なかった。
肩に手を置くのが精一杯。
情けない俺。
相手がお前だからか、
それともお前が男だからか、
女ならもっと気楽に誘えたのか、
よく分からない。
ただお前には簡単に触れてはいけない気がしていた。
炎の中に手を突っ込むような、そんな感じ。
赤と青が入り混じったなんともいえない炎の美しさに触れてみたいと思う欲求によく似ている。
触れると火傷すると分かっていながら、手を触れたい衝動に駆られるそれと。
そして俺は、触れる機会を得てしまった。
今しかない、そう思った。
だから俺は言った。
「抱いてやろうか」って。
本当は「抱かせてくれ」って言うべきだったのかな、何であの時あの言葉を選んでしまったのかは分からない。
ただお前の前では男らしい俺でありたかった精一杯の格好つけた言葉だったんだと思う。
スマートに男らしく、迷いなんて微塵もないと言わんばかりにベッドへ押し倒したお前
は、俺の想像の中のお前より何倍も艶やかで筋肉質で、なのに華奢で俺の腕の中に
すっぽりと収まって、そして少し震えていた。
やめよう、今なら悪ふざけで引き返せる。
何度もそう思った。
開けっ放しだった窓に揺れるカーテンがひらりと動くたびに街の明かりが見え隠れする。
遠くに光るネオンがチカチカと光っては消える。
電球切れなのか、不規則についたり消えたりする灯りが今か今かと俺を急き立ててるような気がした。
今だ・・・。
電球が消えた瞬間、俺は少し開いたままのチャンミンの唇に噛み付いた。
思っていた通りのやわらかく分厚い唇。
少しだけ上唇を噛んでみる、チャンミンが小さく唾を飲み込む音が聞こえた。
スッと喉仏を撫でてやる。
顔を赤らめ横を向いた、そんな仕草が愛おしくて堪らなかった。
苦しいぐらい愛おしい。
明日になれば、きっともっと苦しくなる。
それでも愛したい。
そう思った。