「こっちに来いよ」

 

その言葉と同時に強く引っ張られ押し倒される形で僕はベッドへ倒れこんだ。

その時ふわりとシーツから香る匂いは、整髪料とシャンプーの混じったようなあなたの匂いと

一緒で、僕は少し泣きそうになった。

 

「・・・本気?」

「あぁ、本気。」

 

「どうして・・」

「お前がそう望んでるから。」

 

「出来るはずないくせに・・・」

「試せば分かる」

 

なぜあの時僕は「望んでない」と言えなかったんだろう。

今となればよく分からない。

 

 

そして、ユノは何のためらいもなく僕の上唇に強く噛み付いてきた。

まるで獣みたいに痛みを伴う、僕とユノの初めてのキス。

嬉しいのに悲しくて、まるでこの恋の始まりと終わりが一緒に来たような、

そんな気がした。

 

本気なら・・・ちょっとぐらいためらえよ・・・

そう思った。

 

ためらうことさえないキスは、単なる悪ふざけだからと言われてるような気がした。

 

それでも、悪ふざけでも一度その腕に強く抱かれてみたい。

その厚い胸板に思い切り寄りかかってみたい。

隠していた自分の本性がボロボロと剥がれ落ちていく。

 

見た目どおりの柔らかく生暖かいその唇で、僕のあらゆる場所を撫でて欲しい。

その長い指で与えられる刺激に悦び震えてみたい。

耳元で名前を呼ばれて首筋に噛み付くようなキスをして欲しい。

 

こんな変なことを思う自分をひとつもおかしいとは思わない。

これが本当の僕。

これが僕があなたに望んでるコト。

 

 

乱暴に脱がされるシャツ。

何となく、何となくだけど・・・ユノはこういう時は優しくしてくれるんだと思ってた。

僕の知らないユノがここにいる。

僕だけが知るユノがここにいる。

この変な優越感と独占欲だけで僕の下半身が疼きだす。

 

普段は不器用なくせに、こんな時だけ器用にズボンのベルトを片手で外して

何の躊躇いもなく下着の上からもう敏感になってる僕に触れる。

下から上に手を滑らせて品定めするような手つきで時折掴んでみたり、弾いてみたり、

たったそれだけの刺激で僕のものは硬く勢いを増していくのが分かる。

 

瞬間、スルっと下着の中に滑り込んできて僕の先端を強く握られた。

 

「あっ・・!!」

「お前ってそんな可愛い声出すんだね」

 

僕だけが冷静でいられない。

自分の指とは明らかに違う感触。

肌の質感も体温も、関節の太さも、握る力も、全然違う。

 

あなただけが知ってる僕がここにいる。

僕さえも知らなかった、自分という人間。

もっと知って欲しい。

もっと教えて欲しい。

 

僕がどうなるのか、あなたがどうするのか、

そして、あなたがどうなるのか。

 

 

 

始まれば終わる。

始まらなければ終わりなんて来ないのに。

僕らは始めてしまった。

 

 

 

僕は終わることを恐れながら、それでも進まずにはいられなかった。