昔、うちの親が
祖父と祖母のために家を買った。
片田舎の不便な場所だ。
老後、あの場所に移りたくない、と母は言っていた。
しかし、あれから20年、30年の月日が経ち、
祖父母は亡くなり、
昨年春に父とともに引っ越した母が
この間言っていた。
「この場所は過ごしやすい」と
歩いて800メートルに図書館や公園がある、と。
昔は嫌だったがこの歳になるといい場所だ、と。
父親が30歳頃に、勘の如くパッとみて指差して決めた適当な家に、不満がたくさんたくさんあった母は
今となっては満足ということだ。
仕事してない生活にも慣れ、民生委員まで任されてしまったが、今は生活を楽しんでいるそうだ。
何よりである。
過去においては、呪縛のように
「老後にあの家に行くと思うと…」と何度も嫌そうに呟いてた母を心配していた私はホッとした。
不思議なものである。
つまり、そういうことなんだな、と
人生とは、そんなもんかな、と。