違うクラスの友達でピアノを弾く子がいた。
とても上手らしく、
弾く時は体を前後に揺らしながら
表現豊かに笑顔で弾くんだと
友達伝いに聞いていた。
彼女は
愛すべき人柄で
嫌味もなく可愛らしい性格で
人懐こかった。
体型は痩せてて
細くて色も浅黒くて
肌の質感はマット。
でもそれに関わらず
ちょっと人よりも妙にエッチな雰囲気を持っていて
そんな話をしてふざけているのも、それも面白かった。
2つ上の彼がいたけど、実際になかなかお盛んでもあった。
私は彼女が好きだった。
私からみて彼女には
見える劣等感がなかった。
実際には
顔は
左右均等でもなく
口が曲がっている。
目は小さくて離れ気味。
鼻は低く、少し上向き。
顎はあまりない。
つまり、器量はあまりよくないのである。
なのに、雰囲気がかわいかった。
皮膚はマットで浅黒くて、毛穴が目立っていた。
関節のほねも華奢ではなくしっかり目で
節の目立つ細い体型だった。
胸はあまりない。
なのに、それでも
彼女はつきあっている彼の目には
性的に映り魅力的だということは
疑いようもなかった。
見える事象と
相反する感覚を
わたしは
彼女をみて
学んだ。
なんだろな。
「自分が決めるんだな」と。
彼女は
お嬢様育ちで昔から裕福。
お父さんは大学教授で研究家。
日本と海外をあちらこちらと行く方だ。
昔から
君は価値がある子だ、と
素敵だと
両親に褒められて育ったのかもしれないが。
しかし彼女には
妙な慈悲深さみたいな
苦労した上での優しさ、みたいなものを感じてもいて
苦労知らずの天真爛漫、という感じでもなかったのが
愛される理由だったのかな?
とにかく
大人びていた。
彼女の容姿で
魅力的に生きることができるんだと
そのときに
学んだ。
他にも
いまいちな容姿で
雰囲気勝ちでモテてる子とかいて
疑問におもっていた、が。
わたしは批判はしても思考はしなかった。
彼女のような人間的魅力がなかったので
肯定的には見れなかったのだ。
彼女こそ
私に思考させる存在だった。
気づかせるひとはいつも
こんな人になりたいと
思わせる人なのだ。
彼女は
いま
フランス人と結婚して
フランスに住み
プロのピアニストをしている。
ピアノという大切なものを
彼女は若くして持っていた。
自分が自分になれる場所。
フローのきっかけ。
表現方法。
それも大きく違うのかな。
彼女はきっと今も
ニヤリと自信を持った微笑みを浮かべている。
その自信は
人を見下すような自信ではない。
自分が積み重ねてきた自分の中の芯。
自芯。
ただそれを感じる微笑み。