定期的に何故か無性に聴きたくなる鈴木亜美の「あみ」時代のベスト盤「FUN for FAN」。最近また気まぐれでリピート聴きしています。
ということで。このシングルレビューも気まぐれ。

アミーゴという愛称で親しまれた彼女ももう33才。時の流れは速い・・・が、たまにバラエティで見かけてもやっぱ可愛い、そして美しい。
90年代後半にオーディション番組「ASAYAN」で選出され、小室哲哉氏プロデュースでデビュー。瞬く間にヒットを連発し、一躍トップアイドルとなったアミーゴ。本人が一切関係ない(ホント周りの大人の事情・・・)ゴタゴタによりブランクもあったが、2005年に復活し歌手業、女優として再び活躍。現在は料理教室開いたり、DJもやったりとかなり活動が多岐に広がっているとバラエティで拝見したが、活躍は嬉しい限り。
そんな彼女がバリバリ「アイドル」だった(といってもアーティスト然とはしてたけどね)3年間のヒット集です。


1st「love the island」 98/7/1


本当に「瑞々しい」「フレッシュ!!」そんな言葉がぴったりなデビュー曲。CMでよくかかってましたね。当時俺は小2だったがよく覚えてます。印象的でした。
青い空が広がるような爽快感のある音色とメロディーに反して、歌詞は切ない。夏に失恋した女の子が、南の島に傷心で旅立ってあれこれ回顧するという内容。小室さんは歌詞が意味不明と言われる事も多いのだが、時折すっごく印象的で刺さるフレーズをずばっと忍ばせる独特のセンスがある人で(個人的には坂井泉水もそんな感じ)、この曲も結構そういうフレーズが多い。「愛は結局出逢っても 不安で何も楽になれない」そうなんだよね・・・ええ。
あと構成なのだけれど、最後に転調したサビメロの後、Aメロで終わるんですね。
「ゆっくりと 静かに 気づかれず 忘れたい」
このフレーズで終わらせる余韻とストーリーの未完な感じがすっごく良い!曲のクオリティに繋がっております。
アミーゴの屈託ない歌声も見事なハマり具合で。ちょっとリゾート感もあり、最高のサマーソングです。


2nd 「alone in my room」 98/9/17


前作から2ヶ月で2枚目。「love the island」が夏、そしてこの曲は秋。「lobve the island」の、南の島で失恋を回顧してたあの主人公のその後って感じもする。秋になっても人恋しさを感じながら、窓の外の季節の移ろいを確かめてる、そんな女の子。海を眺めながら、「誰かそばに寄り添って!」と心の中で叫ぶ。アミーゴの当時16才という年齢からしても、等身大なセンチメンタルだと思う。
軽快なリズムで爽やかに進む曲調も素敵です。

ちなみにこの曲でオリコン3位を記録した訳ですが、前の週には同じASAYAN出身のモーニング娘。の「抱いて!HOLD ON ME」が1位になっていて、この週にも4位に入っていた。当時まだSPEEDやMAX等沖縄アクターズ系アイドルが全盛の中、このアミーゴとモー娘。がその流れを確実に変えていく事になるのです・・・。


3rd「all night long」 98/11/5


またまた2ヶ月で3作目。凛としたジャケットの表情が良いですね。
ストレートなポップナンバーが続いていたが、ここで何故かカコイイデジタルサウンドに。トランス?でもドラムンも感じなくもない。みたいなダークな曲調で、起伏がないA-Bから「あいにーじょあらーあいにーじょあらー」という(表記が雑w)キャッチーなサビに流れ込む。この独特の快感は小室さんならでは。アミーゴの声が曲調に似合わなさそうでなんか上手く馴染んでるんですよねえ。歌詞がところどころ謎ではあるけど、結構好きな曲。
PVがまた独特で、薄暗いボーリング場で黒いタイトなスーツを着たアミーゴが歌うというもの。エキゾチックな外人もさることながら、シリアスな雰囲気なのにアミーゴが屈託なく歌ってる違和感がすごく癖になります・・・。
また、アミーゴのPV→外人のエキストラというのも後々増えます・・・。


4th 「white key」 98/12/16


速いスパンで4作目。夏にデビューして年内4枚って中々のハイペース・・・。
前作から変わってかなり明快なポップなウィンターソング。初期の代表曲というか、かなり知名度の高い曲ではなかろうか。
ちょっとR&Bっぽいというか、もっと黒くしたら安室ちゃんが歌ってもおかしくない雰囲気。キーボードテイストを強めるとアミーゴの曲になるのですね。

この曲の面白いところは、ランキング番組とかで紹介されそうなサビにあたるメロディーが2つあるんですよね。1つ目のサビはかなりキーが高くて、遠くにポーンと声を投げるようなメロ。高音で「あ、け、てえーここかーらああーーー」と歌うアミーゴのギリギリ感が意外と好きだったりする。
そしてその後に1オクターブくらい一気にキーが下がって、「ふたーりーでーすごーしーたもうかこのうたー」と急に落ち着く2つ目のサビ。サウンドはシャカシャカなってるんだけど、女性歌手でここまで低い音が続くサビの歌って珍しい気がする。それも1つ目のサビがあるからこそですがね。

ここまで順調にセールスも上がっており、最高2位、50万枚に到達。人気は上がる一方という感じか。


5th「Nothing without you」 99/2/17



99年に入ってからは、タッチの軽いキーボードサウンドと、ブラックなノリが印象的なポップナンバー。ジャケットのアミーゴ超可愛い。

曲の方は意外と難しくて、2コーラス目も平メロは複雑だし、音楽番組とかで紹介される一番盛り上がるサビは2コーラス目だけ。最後サビから「そうしてー」と転調し、変則なメロディーを屈託なく歌い切るというかなり地味ーに壮絶なポップスなのです。アミーゴは決して歌が上手という訳ではないと思うんだけど、こういう複雑なメロディーをポップに聴かせちゃう不思議な特徴があるんですよね。それはこの先のシングルでより顕著になってくる

ちなみに同日にはSPEED「Precious Time」も発売だったのだけど、SPEEDが2位(約35万枚程)にアミーゴが3位(22万枚)と迫っており、モー娘。の台頭もそうだがアイドル界の様相が変わってく1999年をこの時に暗示しております。


6th「Don't leave me behind」 99/3/17


デビューからヒットを連発し、遂に1stアルバムがでる!という直前に出た先行シングル。それにも関わらず初動だけで20万枚を売り上げちゃう辺り、当時のアミーゴの高い人気が伺える。

前作同様、キーボードテイストでブラックなノリの1曲。メロもかなり複雑だし変則的。ポップスのはずなんだけど複雑、でもアミーゴは屈託なく一生懸命歌っていて、やっぱ結果としてポップ。歌詞も1st,2ndみたいな切ない回顧系。
これまでの曲に比べると知名度は低いかもしれないし、やや地味かなという気もするけど、じわじわと良さが分かるそんな1曲。昔は特別好きな曲ではなかったけど、今になってなんか好きになった。

この直後にリリースされた1stアルバムは、なんと約187万枚という大ヒットを記録。これはまだまだ最強だった同時期のglobeやミスチル等をも超えるもので、女性ソロアイドルとしては他に例がないヒットだった。同じASAYANのモーニング娘。が元々シングル優位の売れ方のために1stが40万枚程だった事を考えると、これは驚異的だったと思う。
更に同時期に初めて発売した写真集も異例の大ヒットだったと聞く。アミーゴという愛称で親しまれ、すっかりトップアイドルとなった鈴木あみはこの後更に時代を突っ走ることとなる。


7th「BE TOGETHER」 99/7/14



アルバム明け最初のシングル。誰もが注目する新曲は、なんとTM NETWORKのカバー曲。
丁度この当時TM NETWORKは再始動していて、tohkoにもカバーさせたり過去のヒットナンバーをリアレンジで発表していた時期。めっちゃ悪く言うと「利用した」とも表現出来るのだけど、そうも言えない位曲とアミーゴの相性が凄まじく良かった。というか自分はこの曲がアミーゴのオリジナルとしか思えなかった(当時小学生だからTM知らないというのもあるけど)。

とってもノリノリで明るいメロディーとタイトなビート、これぞt.komuroなデジタルサウンドという組み合わせはアミーゴでは意外と初で(「all night long」はシリアスだったし)、「Be together~Be together~」「こーんーやーはあー」という掛け合いもよく考えるとアイドル的、そこがアミーゴとの相性の良さの理由かも。

PVもすっごく良くって、黒いカッコいい衣装がアミーゴの凛とした可愛さと合ってた。セットも近未来的で、結構リアルタイムで覚えてるPV。

そして当時話題になってたのが、同時期に鈴木あみとアイドル的人気を分け合ってた浜崎あゆみの「Boys&Girls」との同日発売。あゆもこの年1stアルバム「A Song for××」がミリオンを記録し、直近の「Love~Destiny」「TO BE」が好セールスを記録していた時期だけに、注目度は高かった。更に同じくASAYAN出身のモーニング娘。「ふるさと」とも同日発売でメディアも盛り上げていた。

当時のヒットチャートの結果。

1:BE TOGETHER/鈴木あみ(約31万枚)
2:Boys&Girls/浜崎あゆみ(約26万枚)
-
5:ふるさと/モーニング娘。(約10万枚)

という事で見事アミーゴが対決を制し、シングルでは自身初の1位となった。モー娘。は実は当時人気がややピークを過ぎ始めた事に加え、実質なっちソロな体制や曲が派手じゃなかった事、そしてアルバム先行シングルだった事もあり苦戦。あゆとは結構良い勝負で「あみ派かあゆ派か」という時代を象徴する結果となった。
(ちなみに翌週にはあゆが繰り上げで1位になっている。)
売れに売れ、アミーゴ史上最大となる87万枚の大ヒットを記録。今でもやっぱり「鈴木あみといえばBE TOGETHER」というイメージなのではないかと思うし、やはり代表曲は「BE TOGETHER」となるのかも。


8th「OUR DAYS」 99/9/29


「BE TOGETHER」のヒットも記憶に新しい中ドロップされたのは、アミーゴ初の本格バラード。発売された秋にぴったりな哀愁漂うストリングス系で、小室さんお得意の涙腺を刺激するようなメロディーラインとめくるめく展開が素晴らしい。

面白いのが、テレビで紹介されるような「Just the way you are~just the way you are~」というサビメロは最後まで出てこない!!A-B-A-B-Cみたいな平メロを繰り返し焦らしに焦らし、寄せ手は返す波のように聴き手の心を刺激。後半転調してここぞ!!というタイミングで例のサビが飛び出し、最後は静かに幕を下ろす。 
この曲調の波が、大切な人との別れを惜しんだり、アイツ今どうしてるのかな?と気にかけるピュアな歌詞とマッチして、そしてアミーゴのちょっと不安な(?)声ともマッチしてる。アミーゴって歌唱の評価は高くないみたいだけど、この曲は安室ちゃんでも朋ちゃんでも声やキャラのイメージが合わない、ある意味当時17才の女子高生だったアミーゴだから等身大に表現出来た曲だと思う。

「あなたはそのままでいてね、私たちの日々は続いてくよ」という健気なメッセージが心に焼き付きますねえ。
今ではあまり取り上げられない,いわゆる隠れ名曲化してきたのが惜しいです・・・。


9th「HAPPY NEW MILLENNIUM」 99/12/22


全速力で駆け抜けた1999年を締めくくるのがこの「HAPPY NEW MILLENNIUM」。この曲が中々の曲者。
イントロはキラキラしたサウンドで、甲高いピアノがジングルベルをさりげなく挿入してたり、ハッピーなウィンターソングなのかな?と期待を煽るものになってる。しかしタイトルに反して、曲も歌詞も進むにつれて混沌としてくる。Aメロでは恋人への愛情を表現する歌詞でメロも明るいけど、Bメロからは何か情緒不安定。サビメロは重いギターが「ジャッ」と入ったり、キリキリとしたストリングスが踊ってシリアスだし、2番では「めちゃくちゃになりそうな世紀末」とかフレーズも出てくるしちょっと恐い。他愛ない恋人達というシチュエーションから世紀末がどうとかまで話しが飛躍するのが何かシュール。

主人公がアミーゴの年齢の若者だと思うと何かちぐはぐしてる気がするが、同時にどんどん不安が広がっていた90年代後半のメンタリティなのかな?と勘ぐってみるとこれでリアルな気もする。

うーん聴けば聴く程謎が深まる不思議な曲だ。まあ1つ言うなら、せっかく1000年に1度のミレニアムソングなんだから、「BE TOGETHER」の線でハッピーな曲でいけばよかったのにって思わなくもない。もう1つ言うなら、全然「HAPPY NEW MILLENNIUM」じゃない笑


10th「Don't need to say good bye」00/1/26



2ndアルバム「infinity eighteen vol.1」先行となる10枚目。
当時高校卒業を控えていたアミーゴにぴったりな、卒業系ミディアムバラード。ピアノのイントロが卒業式に友達と歩く帰り道みたいな穏やかさ(超個人的&具体的イメージ)。歌詞の情景描写は結構都会的だけども。
穏やかな平メロとキャッチーなサビメロを繰り返して、盛り上がってく構成。途中短調気味のブリッジがあるんだけどそこがポイント!!「どうして突然呼び出したの」「どうして突然黙り込むの」というフレーズが、切ないメロディーと相まってギリギリの切ない距離感を醸し出してる。「寂しくするなら最初から/優しいままなら最後まで」ってあのメロで歌われたらもうね。「OUR DAYS」もこの曲も歌詞が良いなあと思ったら、小室みつ子という同じ人が書いてるんですね。(TKと親戚ではないそうですw)


しかしこの曲にはやや不運なエピソードも或る。それまですっかり1位か2位の常連だったアミーゴ、この曲はなんと5位だった。しかも初動で27万枚も売ってるのに(アルバム先行でこれは結構驚異的)。同じ週に、あのサザンの「TSUNAMI」がぶっちぎりトップを飾っていた。そして、前年に同日発売で見事に対決を制したモー娘。の「恋のダンスサイト」が当時の女性アイドルで歴代最高初動となる60万枚を叩き出し2位。3,4位には「本能」のヒットでカリスマ的人気を獲得していた椎名林檎の「ギブス」「罪と罰」がそれぞれ35万枚を超えており、この曲は名曲具合の割に完全に埋もれてしまった。トップアイドルのアミーゴをしても。

時代の移り変わりは速いものです...。


11th「THANK YOU 4 EVERY DAY EVERY BODY」 00/4/12


2nd「infinity eighteen vol.1」もミリオンを記録し、更に2ヶ月で「vol.2」発売予定、夏には横アリでライヴ決定とトップアイドル驀進のアミーゴだが、この辺りでアイドル界は一変。前年夏に同日発売で負かしたモー娘。は「LOVEマシーン」で大フィーバー、前作で同日発売だった「恋のダンスサイト」もミリオンヒットと勢いづいてきた。そしてデビューからトップアイドルとして走り続けたSPEEDは電撃解散。一方で2000年に入ってからはR&Bシンガーブームが拍車をかけていて、この当時だと倉木麻衣や小柳ゆきがブレイクを果たしていた。世の中がすっかり本格派、アーティスト志向に向き始めていた中、キャッチーなキャラクターやビジュアルが武器であるアミーゴ的には正念場となっていたように思う。

そんな中発表されたこの曲は、久しぶりに明るく、アミーゴのキャラにもピッタリなアップナンバー。の割に重めなヒップホップっぽいリズムとエレキギターがガンガン鳴ってるのがちょっと面白い。この作風は直後の「infinity eighteen vol.2」の雰囲気を正確に表していて、そういう意味で正しい先行シングルという感じだった。

メロディーもかなりキャッチーだし、跳ね跳ねなポップ感が癖になる。ポジティブなワードの中にDNAが崩れて減る的なミステリアスなワードが転がり込むのも癖になる笑
ここら辺が原因でネットでは迷曲呼ばわりされる事も少なくないようだが・・・頭で考えないで聴くとめっちゃ良い曲だと思うのです。

しかし、この屈託ないアイドル・アミーゴらしいポップナンバーがこれで最後になるという事を、この時点では日本中誰1人知らない。というか誰も予想出来なかっただろうなあ。


12th「Reality」 00/9/27


横アリライヴも大成功に納め、秋にはドラマ主演も決まりまだまだ絶好調。外仕事の活発化に合わせてかシングルリリースは5ヶ月空いた。
曲はR&B/ヒップホップ的なサウンドで、派手ではなくかなり落ち着いた感じ。サビはキャッチーだけど、売れ線とは違うかな。当時のアミーゴ的にはかなり大人っぽい方に振った曲。当時そういう売れ線とは違う、クールなR&B系楽曲もよくヒットしていたので(宇多田ヒカルの「For You」とか、倉木麻衣の「NEVER GONNA GIVE YOU UP」とか)、その向きに合わせたのか。アミーゴにそういうものを求めるかは人それぞれだと思うけども。
あまり世間的な評判はよくないようだけど、この曲も歌詞が良い。と思ったらやっぱり小室みつ子氏。ティーンの気持ちを的確に描いた切ない世界観でまとまってます。「Don't need to say good bye」の2人のその後と思って聴くと結構良いです。何かこう、この間まで屈託ない子どもだった相手が、表情や話し方がどんどん大人っぽくなってって、それで当たり前なんだけどふとした時にそれがちょっと切なくなるみたいな。そういう時期ってあるじゃないですか(俺だけか)。


しかしこの後、事務所とアミーゴの親によるトラブル等で芸能活動は停止。実質引退状態に追い込まれてしまい、この曲が「鈴木あみ」としてラストシングルとなってしまう。
翌年もCM出演や冠番組、ドラマ主演等が決まっていて、新曲もまた出ただろうし、更なる飛躍が期待される中、19才という旬な時期に表舞台からいなくなってしまうのはとても残念だった。
小学生の自分もニュースで引退やら裁判やら報道してるの見て、悲しくなった覚えがあるしね。


不遇の時期を迎えてしまったものの、20世紀最後のソロアイドルとして築き上げた功績はやっぱり凄い。唯一無事の存在でしたね。