JR山陽本(JR神戸)線「舞子(まいこ)」駅。

初めてこの駅で降りたのは、確か2005(平成17)年の春頃だったと記憶している。
前日に「明日のCM撮影用に毛筆の練習を」と電話で呼び出され、当時所属していた事務所へ急遽出向いて稽古したものの、あまりにも付け焼刃で、ほとんど意味のない練習となった。
撮影当日は早朝から家を出て、この駅に到着したのは、午前8時半頃であった。
事務所からの話では、9時に駅の改札に集合と聞いていたので、先にトイレを済ませ、世界最長とされる明石海峡大橋を眺めながら、のんびりと時間待ちをしていた。しかし9時近くになっても誰も改札口には現れず、慌ててマネージャー氏と連絡をとってみたところ、結局事務所側で連絡の行き違いがあったらしく「撮影は駅周辺だそうだから、探してみてくれ」と言われ、駅南西側の2階部分にある通路から目を凝らして辺りを見回してみた。すると駅から100メートルほど離れた所にある、マンションとマンションに挟まれた古民家の前で、何やら機材らしきものを運び込んでいる数人の撮影クルーと思しき姿が見えたので、あれだと思いそこまで走っていった。
やはりそこが、その日最初の撮影現場であった。約束の時間を10分ほど過ぎていたが、遅刻のお詫びをする暇もなく、「おはようございます」の挨拶ひと言だけで、私もようやく現場に滑り込んだ。
撮影場所となったのは、かつて伊藤博文や勝海舟、坂本龍馬も利用したとされる旅館、萬亀楼の、残された建物の一部とか。私も和服の衣装に着替えて、古き良き時代の風情漂う絵面での撮影となった。
そして午後には車で、同じ神戸の東灘区へと移動。旧財閥の邸宅でCM後半部分の撮影をして、その日1日の仕事を終えた。
CM全体としては、丁度谷崎潤一郎の「細雪」の世界をイメージして制作されているようで、他の出演者は皆女性。私も出演者と言えども、写っているのは筆を持つ手元と、右肩から右袖の辺りのみである。
最近、このCMを見なくなった。以前は時々テレビで流れていたし、テレビモニターが設置された店頭でも見ることが出来たのであるが……。

初めてこの駅で降りたのは、確か2005(平成17)年の春頃だったと記憶している。
前日に「明日のCM撮影用に毛筆の練習を」と電話で呼び出され、当時所属していた事務所へ急遽出向いて稽古したものの、あまりにも付け焼刃で、ほとんど意味のない練習となった。
撮影当日は早朝から家を出て、この駅に到着したのは、午前8時半頃であった。
事務所からの話では、9時に駅の改札に集合と聞いていたので、先にトイレを済ませ、世界最長とされる明石海峡大橋を眺めながら、のんびりと時間待ちをしていた。しかし9時近くになっても誰も改札口には現れず、慌ててマネージャー氏と連絡をとってみたところ、結局事務所側で連絡の行き違いがあったらしく「撮影は駅周辺だそうだから、探してみてくれ」と言われ、駅南西側の2階部分にある通路から目を凝らして辺りを見回してみた。すると駅から100メートルほど離れた所にある、マンションとマンションに挟まれた古民家の前で、何やら機材らしきものを運び込んでいる数人の撮影クルーと思しき姿が見えたので、あれだと思いそこまで走っていった。
やはりそこが、その日最初の撮影現場であった。約束の時間を10分ほど過ぎていたが、遅刻のお詫びをする暇もなく、「おはようございます」の挨拶ひと言だけで、私もようやく現場に滑り込んだ。
撮影場所となったのは、かつて伊藤博文や勝海舟、坂本龍馬も利用したとされる旅館、萬亀楼の、残された建物の一部とか。私も和服の衣装に着替えて、古き良き時代の風情漂う絵面での撮影となった。
そして午後には車で、同じ神戸の東灘区へと移動。旧財閥の邸宅でCM後半部分の撮影をして、その日1日の仕事を終えた。
CM全体としては、丁度谷崎潤一郎の「細雪」の世界をイメージして制作されているようで、他の出演者は皆女性。私も出演者と言えども、写っているのは筆を持つ手元と、右肩から右袖の辺りのみである。
最近、このCMを見なくなった。以前は時々テレビで流れていたし、テレビモニターが設置された店頭でも見ることが出来たのであるが……。