日本一周の夢
millionが解散してから
しばらくの間
A氏と連絡を取ることは
ありませんでした。
特に意識していたわけでは
ないけれど
連絡する理由が
何もなかったからです。
わたしは
これまで通り仕事を続けていました。
2人のこども達は独立して
家を出て行きました。
夫婦二人暮らしになってからは
春夏秋冬、旅行三昧でした。
夫は50の手習いと称して
大型バイクの免許を取得。
定年後は
バイクで日本を一周をするんだ、と
意気込んでいました。
しかしながら
神はそんなささやかな夢を
叶えてはくれませんでした。
夫は病に倒れ
定年を待たずして
逝ってしまいました。
病気が発覚してから
たった3ヶ月後のことでした。
緩和病棟での3週間
わたしは病室に寝泊まりして
文字通り
夫婦二人の
濃密な時間を過ごしました。
夫とは高校の同級生で
15歳の時からの付き合いです。
少しずつ薄れていく意識の中で
高校時代の懐かしい想い出話は
尽きることはありませんでした。
夫はわたしの
一番の理解者であり
信頼できる親友であり
愛する恋人であり
一緒に戦う戦友であり
人生の伴侶でありました。
Rolexを持て余した時も
A氏が心のバランスを崩した時も
ギターの練習の時も
いつもいつも
わたしの味方でした。
わたしは
何ものにも代え難い
かけがえの無い
唯一無二の存在を失いました。
知り合って
41年目の秋でした。