永遠に終わらなければいいのに
プロのギタリストの超絶演奏を
間近で聴きながら
わたしは
自分の役割が
終わりを迎えたことを
悟りました。
〝元気を取り戻す為のギター〟
初めから決まっていた
ことでした。
ところがわたしは
この半年間
かつて
ピアノで味わうことが
叶わなかった
〝演奏の楽しみ〟や
〝弾けるようになった喜び〟を
感じていました。
それと同時に
異なる時代に
異なる環境で培われた
異なる価値観が
わたしのものの見方を
静かに
揺り動かしていました。
そして何より
〝創作意欲を取り戻し
再び表舞台へ〟
という
口には出さない
共通の目標が
二人の結び付きを
一層強いものにしていました。
A氏と同世代の同僚や上司は
職場にもいましたが
これほど
心を通い合わせることは
できません。
父親とでさえ
これほど長く深く
語り合った記憶はありません。
この貴重な時間を手放すのが
本当に惜しくて
あろうことか
大切な一曲を
恨めしいとさえ
思ってしまったことも
事実です。
楽曲は5分ほどでした。
もっと長く、長く、長く
永遠に終わらなければいいのに
という不埒な思いを
容赦なく断ち切るように
演奏は終わりました。
自分の中に生まれた
ネガティブな感情を
奥へ奥へと押し込めて
わたしは
記念すべき新曲の完成を
盛大に讃えました。
泪がぽろぽろ
こぼれました。
その泪の真の意味は
わたしだけが
知っていました。