靴ずれした足も
忘れるくらい
綺麗なものを見た
小さく
揺れる
ホタルの光
川の近くを
ふわりふわり
頼りなく浮いていた
たまたま歩いた
川の脇道
いつもは
閉鎖されている場所に
蛍光のベストを着た
おじさんが立っていた
そのおじさんを
警戒しながら歩いていた私たちは
蛍見ていかないかい
そう声をかけられ
一瞬
状況が飲み込めなかった
ホタル
おじさんの言葉の意味を
やっと理解した時
気持ちは
一気に高ぶった
今日
初めて履いた靴のせいで
足を痛めたことなんか
どこか遠くへ
飛んでいってしまった
おじさんは私たちに
光を一筋
懐中電灯で作ってくれ
それを頼りに
階段を
下りていくと
光は次第に
届かなくなった
そこは
真っ暗闇で
あまり人はいない
二人が歩けるくらいの道を
少しずつ
少しずつ
進んでいく
竹林に挟まれた
小さな川が
ぽとぽとぽとぽと
音を立てていて
それがとても
心地よかった
いつしか
目は慣れ
闇は墨色になり
ぽつり
ぽつり
明かりが灯った
小さい
小さい
儚い明かり
奥に進んで下さい
そう言われて
みとれながら
前に進む
ぽつり
ぽつり
次第に数が増えていく
川の近く
竹の側
水の音の中を
頼りなく
光っていた
ゆっくり
ゆっくり
少しずつ
なんだか
夢みたいに
消えいりそうで
儚い
綺麗な
綺麗な光だった
自分が住んでいる
こんな近くに
ホタルがいるとは
思わなかったから
その光の綺麗さと
小さなホタルの存在に
感動した
行き止まりに着くと
まばらに飛んでる
ホタルにみとれ
数分ぼけっとした後
私たちは
その場所を
後にした
帰り道
川の音を聞きながら
二人は顔を見合わせ
興奮した
なんか
良いもの見ちゃったね
そう
笑顔で話をした
チラシには
大阪府レッドデーターブック準絶滅危惧種
そう書いてあった
ホタルは
月末になると
もっと増えるらしい
もう一度
あそこに見に行こうね
足の傷を思い出し
少しさすりながら
まだ
ボウッとした頭で
二人
約束をした
