「初めてのハワイ。入国審査の前に気をつけること」
海外旅行の本には、入国審査の手順書なるものが必ず掲載されている。
これには書類の書き方から、審査官との簡単な英語やりとりが載っているのだが、
入国の際に注意することが、その他にもある。
ハワイやグアムに着くと、まず入国審査のゲート前に日本人の長い列ができている。
高校卒業以来、久しぶりの英語を使うために、
審査官の前で、緊張した面持ちの日本人たち。
手慣れた審査官になると、長蛇の日本人観光客に対して、
パスポートのスタンプと写真を見ただけで、サッサと済ませたりする。
また、だれとだれが新婚であるかも、ちゃんとお見通しで、
二人まとめて審査し、入国許可のスタンプ押したりもするのだ。
十数年前にボクと妻が初めてハワイに行った時も、
審査官が手馴れていたといえば手馴れていた。
現地ハワイアンの小太りで色黒の審査官。
彼の前にパスポートを差し出すと、彼はサっと写真を見ながら、
マニュアル通り、滞在期間と宿泊場所を聞いてきた。
「サイト・シーング。ハレクラニ。3デイズ」
と彼の質問に答える。
ボクは、仕事柄、外人を相手にしているものだから、
片言ではあるが、英語を話すことができる。
すると審査官のボクを見る目が変わった。
よほどマニュアル通りの会話に退屈だったのだろう、
“ハワイは何回目だ?”ときた。
ボクが「ファーストタイムズ」
と答え、受けながそうとしたが、
入国スタンプを持ったまま、押そうとしない。
“以前に、バハマに行ったことがあるな?”
「ある」
“どうだった?”
「いいところだ」
“ハワイと比べて、どうだ?”
「今のところ、ハワイも悪くない」
そうボクが答えたところで、彼がニヤリと笑った。
“後ろで待っているのは嫁か?”
「そうだ」
“新婚旅行か?”
「違う。結婚は5年前で、その時にバハマへ行った」
彼はふ~んという顔をすると、
“子供はいないのか?”と聞いた。
「いない」
そこで、小太りな審査官は、
パスポートに判を叩き付けるように押すと、
ボクに手渡しながら、
“グットラック”
と言って、ウインクした。
「Thanks A LOT.」
とボクは答え、ゲートを通過した。
そして、小太りな審査官は妻を口笛で呼ぶと、
ちょっと大きめな声で、
“今回の旅行の目的は、何か?”
と、マニュアル通りに質問するのだった。
もし、あなたがハワイに行くのなら、
暇を持てあました入国審査官に注意した方がいい。
そして、入国手続きの際には、
あまり流暢に英語を発音しないことだ。
