放送大学の「錯覚の科学」をみました。

春休みにとり溜めしてた講座たち。

いやはや、むちゃくちゃ楽しかったー✨

こんなに楽しい講義、私も大学時代に受けたかったなぁ。

 

とりあえず気になったことと覚えたいことだけ、

個人的メモします。

 

色々な錯覚

・チェッカーシャドー錯視
・ログヴィネンコ錯視
・ジャストロー錯視
・ダイヤモンド錯視
・エビングハウス錯視
・フィック錯視
・ポンゾ錯視
・ラバー・ペンシル・イリュージョン
・トロクスラー効果
・静脈錯視
・月の錯視
・「マサナオ」文字列による傾き作詞
 
・目の錯覚?脳の錯覚?・・・認知の錯覚
・世界錯視コンテスト 
 
ってか、どんだけ種類があるのー!?笑
 

錯覚とは

・知覚された対象の性質や関係が、刺激の客観的性質や関係と著しく食い違う現象
 
・物理的錯覚  例)水に入れたストローが曲がって見える(光の屈折)、逃げ水
 
・生理的  例) 突然暗いところに行くと真っ暗でなくても真っ暗に見える (視細胞による)
 
・知的錯覚:
 ・知覚現象における広義の錯覚 …恒常性、立体視など。視覚だけでなく聴覚・嗅覚など五感で起こる
   例)トロクスラー効果(運動誘導盲:MIB)
 ・知覚研究における錯覚 古典的作詞図形など
 
・認知的錯覚:
 ・思い違い、見落とし、勘違い →認知バイアス (規範的正解)あり、なし
 
・シェパード・トーン (無限音階)
 

見ることとは考えること

 
・知覚とは無意識の推論と同等である (Helmholts,1866)
 
 既有の知識・経験・期待(スキーマ)  ← 無意識的推論、 トップダウン処理/概念駆動型
 +
 網膜に入力された高額情報(外の世界) ← 特徴抽出・取捨選択、 ボトムアップ処理/データ駆動型
 = パターン認識(見えたものの決定)
 
つまり、頭の中で再構成している。
・解が定まらない不良設定問題 …一つの網膜像から、三次元の対象を一つだけ再現することは不可能
 
・奥行き知覚の手がかり
 ・両眼視情報 …輻輳、両眼視差
 ・単眼視情報 …調節、ボケの検出、運動視差
 ・絵画的手がかり ←学習して身につけたもの、経験によるもの
 
・視覚の恒常性(現象)
 感覚器がとらえる外界の情報(網膜像)が変化しても対象は安定して知覚される
 
・クレーター錯視
 

・杉原暑吉先生(明治大学) 変身立体

 「奥行きの情報がないところで、脳は色々推測しながら、網膜像から奥行きを取り出そうとしている。

 一枚の画像に奥行きの情報がないということは、同じように見える立体が無限にたくさんあるということ。

 そうすると第二の方向からもう一つ望みの形に見える立体というのが無限の可能性の中からが取り出せるかもしれないということ…(略)」

 

・仮現運動、ベータ運動

・サインポール錯視
・カフェウォール錯視
・シミュラクラ現象、パレイドリア現象 顔に見えちゃう
 
・縦断勾配錯視
・勾配の角度だけでなく周りも見て判断している。
・奥行き手がかり(絵画的手がかり pictorial cues)  (経験学習要因)
  …①網膜像の相対的大きさ ②線遠近法 ③対象の重なり ④きめの勾配 ⑤大気遠近法 ⑥陰影
 
 
・回廊錯視
・シェパード錯視、テーブルトップ錯視、エイムズの部屋、ホロウマスク錯視   ・・・えー!!!
 
・北岡明佳先生(立命館大学) https://www.ritsumei.ac.jp/~akitaoka/

  ホームページ拝見したら、もうむっちゃ楽しんでいらっしゃるのが伝わってきて、先生可愛い!!と思ってしまいました笑^^

 

・目の錯覚 ではなく、頭の中の錯覚

 
・知覚とは …対象を再現する主体的な試み
 予期、手がかり、知識・スキーマ  ↔︎  網膜像(から得た材料)
  → ヘルムホルツ式推論 (対象そのものを再現する)
 
・大きさの恒常性 …同じものは同じ大きさで認識しようとする。遠くにあるものは小さく見えてもできるだけ大きく補正して同じように認識しようとする(網膜像が捉えた時に大きさが違っていたとしても)。距離が変わっても大きさは一定。
 →現実の対象・ものに忠実
 
・恒常度ゼロ(先遠近法に忠実)  ↔︎  完全恒常(世界の知識に忠実)
  網膜に映っている像         知覚的推論で再構成された世界
 
 
・知的写実主義 5〜7歳までに特徴的 体験と自分のイメージに忠実
 
ピカソの絵って、そういうふうに見ればいいんだー と目から鱗!
 
 
・トロンプ・ルイユ    へぇー!絵ってこんなふうにも見るんだー!!!
・ソット・イン・ス
 

記憶の錯覚

・記憶に関する最も厄介な問題 = 記憶違い、記憶の歪み

 

・記憶インプランテーション

 ・ないはずの記憶を植え付けること。偽りの記憶(フォールスメモリー)

 ・イメージする能力とも関わっており、イメージ能力の高い人は植え付けられやすい

 ・リアリティモニタリング: 現実の記憶と想像した出来事の記憶を区別する過程

   →現実の出来事=鮮明、想像した出来事=不鮮明

   →繰り返しイメージすることで鮮明さが作られる(視覚イメージの影響)

   つまり、鮮明なイメージが伴う記憶は、現実のものとして受け入れられる

・DRMパラダイム

 

・記憶 …符号化→貯蔵→検索

・記憶の錯覚 …DRMパラダイム →目撃証言の誤情報効果 →記憶インプランテーション

 検索で見つからないと、別の記憶の断片を組み合わせて、経験していないことを「思い出す」

 

 

思い込み・認知バイアス

・原因と結果をめぐる関連性の推論
・体験から関連を学習する
・起きた時の結果と、起きなかった時の結果 の両方の体験、随伴性の判断
    あり  なし
 あり  A   B
 なし  C   D
  ΔP= A/(A+B) - C/(C+D)
  ABCDの全ての情報が必要。でも、Aばかり見てしまう。強烈な印象に残る。
  →本来関係がないものを関係があると錯覚してしまう。錯誤相関(幻相関, illusory correlation)
 
・確証、反証
・確証バイアス …信念、理論、仮説を支持し、確証する情報を求める。反証となる証拠の収集を避ける。反証や否定的情報の利用を考えられない、失敗する。
・否定は考えにくい。肯定性バイアス  肯定的な考え方の方が認識しやすい
・予測から、確認の確証バイアスへ。
 
・シャルパンティエ効果 見た目によって大きく影響する
・人は素朴な科学者 →観察に基づいて論理的に考える。ただし、予期した、目立つ、都合の良いところのみ注意がいく
 →メタ認知(自分の認知を知る)、四分割表で考える習慣を。
 
 

直感

・ヒューリスティック(heuristic)
 日常的な簡略化された思考。簡便法、思考の近道、経験則。
 論理的に厳密な手続きに頼らない思考。
 確実ではないが、効率よく迅速に問題を解決 
 ヒューリスティック↔︎アルゴリズム(algorism)
 メリット: 完全ではないが素早く楽におおよそ的確な判断
 デメリット: バイアスのかかった判断により不適切な意思決定
 
・人の認知(思考)の二重過程モデル
 システム1: 直感性 ヒューリスティック 感情、直感、自動的 = 素早く判断、完全ではないが即応
 システム2: 合理性 論理・意識・分析 =時間がかかる、モニター 修正
 
・代表性ヒューリスティック
 ・対象が集団をどれくらいよく代表しているか
 ・集団の最も典型的事例との類似度
 
・ギャンブラーズ錯誤
・連言錯誤
・利用可能性ヒューリスティック: 入手やアクセス、想起がしやすい情報を手掛かりとした直感的判断
・アンカリング(投錨)と調整 anchoring and adjustment …基準点をもとに微調整して考える
 
・色残光
 
・プロスペクト理論 Prospect theory
・損失回避性
・リスク態度の非対称性
 

自己一貫性と正当化と錯覚

・認知的不協和理論

 不協和を避け、認知的一貫性を求める

   → 戦略例) 認知要素の変更、要素の重要性を減少、協和な要素の付加

 →マインドコントロールへ 

 ・行動と態度が一貫するように考える

 

 認知要素1 知識・信念・態度・行動

   ↔︎ 不協和

 認知要素2 知識・信念・態度・行動

 
・強制応諾と不十分な正当化実験
 
・入会儀礼・通過儀礼の実験
・禁止のパラドックス
 
 「予言がはずれるとき」
・ベンジャミンフランクリン効果
 自分を嫌っている人(Aさん)がいるとき、好意を持ってもらうために効果的な戦略とは?
 Aさんにいろいろお願いして何かをしてもらう。Aさんは嫌いな人に対して便宜を図るという状況になり、認知的不協和を和らげるために、相手の嫌い度が少し下がる・・・?  えー!? 
 
・フット・イン・ザ・ドア・テクニック
 小さな要求を承諾してもらうと、大きな要求を受け入れてもらえやすくなる (フリードマン)
 ※罠にハマらないようにするには、決める前に、全く無関係な人だったらどうするか、行動無関係の人に意見を聞く
 
酷い目にあえばあうほど・・・笑 まじですかー
 

賞と罰、褒めるべきか叱るべきか

 

・条件によっても、細かい違いもあるが、全体的には賞と罰では賞の方が有効
・罰→こうしたらダメだはわかるがどうしたらいいかはわからない。
   短時間で消えて長時間続かない。
   自分の意見を通そうとするときに人に罰を与えるやり方を学習する可能性がある。
   馴化しやすい
 
・褒めるより、叱る方が簡単
・平均への回帰の錯誤
・平均への回帰(regresssion): 二変量が相関関係にあり、その相関が完全でないとき、片方が極端な値をとった場合、対応するもう片方は平均値に近くなる(回帰する)
 測定値=真の値+偶然誤差
 例) テストの高い点、低い点
 
・前後論法(before-and-after- arguments):
 事前の状況 → 事後の状況
       ↑変化の原因と推定される処置の導入
  でも、隠された原因があるかも!?
  同時発生の原因 …同時に変化を生じさせる原因がないか
  自然の原因 …何もしなくても自然に変化したのでは?
  平均への回帰 …極端な値が平均方向へ戻ったのでは?
  欠落したケース …事前誤字後で対象が変わっていないか?
 
 
バイカラー錯視
デルブーフ錯視
 

注意

・注意 …認知の働きを特定の場面・場所に関して強くしっかり処理し、他の部分を抑制する
・カクテルパーティー効果 …周囲が騒がしくても特定の人の声がちゃんと聞き分ける
・ポズナー課題
・復帰抑制 …一度注意を向けたところには、次にはなかなか注意を向けなくなる
 
・目立つものに自動的に素早くそちらにいく注意
・矢印の先へというように、自発的にコントロールする注意
・共同注意 …視線による注意の自動的な捕捉
 ・注視画面
 ・手がかり画面
 ・標的画面
 
・誤誘導(ミスディレクション)
 
・アモーダル補完: 見えていない部分を頭の中で作り上げる錯覚
・チェンンジ・ブラインドネス
・チェンンジ・ブラインドネス・ブラインドネス
 
 

結果と原因

・原因帰属の推論
・原因
 ・必要原因: Xが存在しないとY は起こらない
 ・十分原因: XさえあればYは起こる
 
・「表面的に一番目につくものが原因」(J.S.ミル)
・ケリーの立体モデル(原因分析モデル)
 時・様態(一貫性)  X  実態(弁別性)  X 人(合意性)
  状況1、2、3 … X  対象1、2、3…   X  Aさん、Bさん…
 
・原因帰属(Attribution)
 ・内的帰属: 性格や能力、気分なのどの内的属性に原因
 ・外的帰属: 状況など、本人以外の外部環境に原因
・原因帰属の錯覚
 ・基本的帰属錯誤、自己奉仕バイアス、行為者観察者効果
・ASQ帰属スタイル質問(Attributional Style Questionnaire)
 
・セリグマンの学習性無力感 …自分でコントロールできないことで無力感を学んでしまう。無力感予期抑うつ。
・原因の説明スタイルの違い → 悲観的帰属、楽観的帰属
 内的 ↔︎ 外的
 安定的 ↔︎ 一時的
 全体的 ↔︎ 特殊的
 
・ものごとが失敗したときの説明スタイル
 悲観的→ 自分のせい、これからも続いて、何をやってもダメ 
 楽観的→ 他人の事情による、今だけ、この件に限って
 
・ものごとがうまくいったときの説明スタイル
  悲観的→ 自分の力ではない、今だけ、この件に限って
  楽観的→ 自分のおかげ、これからも続いて、どんな場面でもうまくいく
 
・情動 ↔︎ 身体的整理変化・興奮
 情動の抹消起源説(ジェームズ・ランゲ)
 
・顔面フィードバック
・情動二要因理論(Two-Factor Theory Emotion)
 整理的喚起(覚醒の認知) + 情動ラベリング(なぜ喚起が起きているか手がかりからの原因推論)
  →情動が認識される
 

科学的?

・バーナム効果
 
・反証可能性の基準
 反証が不可能な仮説や原名はは科学ではない。 (ポパー) ←これが全てではない
 
・疑似科学の兆候
 ・反証不能な理論や態度
 ・無知へのアピール
 ・立証への消極性や立証責任の転嫁
 ・最善の方法論の不採用
 ・体験談の重視と、科学的ルールの軽視
 ・統計と心理的要素の軽視
 ・発見の文脈と正当化の文脈の混同
 
 

自己認知の錯覚

・自己認知

・抑うつの現実主義 (Aloy & Abramson ,1979)

  ちょっとした抑うつ傾向がある人の方が、非抑うつ傾向の人より現実を正しく捉えている・・・

・歪んで自分のことを見ているから健康でいられるのかも!

 

・平均以上効果 (above average effect)

 自分は平均的な人より、よい特性を備えた人間だと思っている

 

 社会心理学者トーマス・ギロビッチの研究結果

 

・欧米では結果として見られたが、日本ではあまり見られず、平均以下効果も見られたり・・・。

 能力については見られない。でも他のところで見られる

  ポジティブ …調和性、誠実性

  ネガティブ …社交性、経験への解放性、身体的特徴

   (外山・桜井(2001) 大学生・専門学生415人)

 

・他人の悪いことはよく記憶しているけれど、自分の都合の悪いことは忘れる

  (原因帰属の錯覚)

 

・ポジティブ・イリュージョン

 ・平均以上効果 above average effect

 ・コントロール幻想 ilusion of control

 ・非現実的な楽観主義 unrealistic optimist

 

 ・計画錯誤

  ポジティブイリュージョンの非現実的な楽観主義の一つ。

  計画を立てる際に現実的ではない楽観的な予測をする。

  過去に何度失敗していても直らない。  まじですかー・・・😅

 

・防衛的悲観主義

・方略的楽観主義

 

・ナイーブ・リアリズム(素朴な現実主義) …自分をとりまく世界を客観的に”ありのまま”に知覚していると信じる傾向

 

・ブラインド・スポット

 

ムンカー錯視  なんじゃこりゃー💦

 

 

メタ認知

・錯覚のおかげで自己のアイデンティティが安定する!?

 自伝的記憶

 ポジティブな感情半分以上 ネガティブな感情2〜3割、ニュートラル残り2割くらい

 ものごとにはポジティブな側面とネガティブな側面 出来事のどの側面に注目するによって、記憶に伴う感情は変化する

 すると、半分以上がポジティブな感情というのは錯覚かも。だからこそ、安定した生活を送っていけるのでは。

 

・錯覚の背景 ・・・自己高揚、生存方略、認知的経済性(節約)

 
・自覚できない認知の児童生徒、自分の情報処理を知る
 ←クリティカルシンキング
  論理的・合理的で規準に従う思考
  自分の推論プロセスを意識的に吟味する内省的思考
  目標は文脈に応じた目標志向的思考
 
ピーク・エンド効果
 
 

雑感

 

むっちゃ面白かったです。

毎回、えー!なんでー!!と思いながら、たまに思わず声を上げてしまう錯覚の数々。

本当に楽しく視聴しました。

メモしながら、心の声が…。。。笑

 

疑似科学については、なるほどなぁと思いつつ、反証の話などは

昔、社会統計学の講義で先生がおっしゃっていたことを思い出しました。

それは、「完全な客観なんてない」という言葉。

バイアスについての話をしていたときにおっしゃっていました。客観的であろうとしても、人間である以上、主観やバイアスは必ず入るものなので、バイアスを完全に無くすことはできないと、笑っていらっしゃいました。

 

 

科学で証明できるもの、科学的と言われるものは、今現在の人間が持つ能力(あるいは人間が開発した機器等によって持つ能力)で把握できたものによって測れたもの、というだけなんですよね。100年後、1000年後から振り返ると、「全く科学的でない」となるかもしれないし。それこそ、錯覚だったりして。笑

 

そんなこんなで、いろんなことに想いを馳せながら楽しく学べました。

でもこの講義、レポート書いてって言われたら、難しそう笑


目から鱗の楽しい講義でした。もうこれは映像で見てこその講義だとも思いました^^

奥が深かったぁ。