放送大学の「臨床心理学概論」の次は、「心理カウンセリング序説(心理学的支援法)」をみました。

一番興味がある心理カウンセリング。ワクワクしながら視聴しました。

なのに、第6回の録画を間違って消してしまって、一つ飛ばすことに。残念💦

第6回は、治療構造、面接の時間と空間、関係性について。いつか、見よう。

 

気になったことだけメモ。

そのままではないので間違っているとこもあるかもだけど。。

以下、個人的メモ。

 

心理学的支援法

 
・生物-心理-社会モデル エンゲル
 心をのみをみるのではなく、その生物学的基盤を考慮すると共にそれが置かれる社会的コンテクストも考慮する。
 
・心理学的支援
 ・心理の専門家が対象者の心に直接働きかける
 ・心理学的モデルによる理解と関わりに基づく
 ・人が人に対して行う
 
・河合先生の心理療法の定義:
「心理療法とは、悩みや問題の解決のために来談した人に対して、専門的な訓練を受けた者が、主として心理的な接近法によって、可能な限り来談者の全存在に対する配慮を持ちつつ、来談者が人生の過程を発見的に歩むのを援助すること、である。」
(河合隼雄 1992 心理療法序説 岩波書店p.3)
 

表現の位相

・表現の多様な位相
・位相: 変化や発達の段階、移り変わって変遷していくもののあり方(phase)
・表現の位相
  より基底← 身体、行動、感情、イメージ、象徴、言語、ナラティブ →発達的により後に出現
・関係性のひらき
 
・イメージ:
 内界と外界の区別がない
 イメージが付与される対象はイメージそのもの
 比喩は成立しない
 まさにそのことを、その場で体験
 1歳半ごろには成立 延滞模倣が出てくる頃
 
・象徴:
 内界と外界の区別あり
 外界の対象と内海が区別されると同時に結びつけられる。代替表象(represent)
 比喩が成立「まるで〜のよう」
 対象化して眺めることが可能
 3歳の発達通過以降
 
・位相の差異 ←感じ取るには、セラピスト自身が様々な位相にひらかれていることが大事
 
 

共感と理解

 
・共鳴(resonance):
 身体、行動、感情の位相での相互作用。
 身体の姿勢、微細な行動、声のトーンや表情などの波長合わせ、同調、伝播
 共感の前提ではあるが、共感そのものとは異なる。
 
・感じ取るだけだったり、触発されたり、「共に揺れること」も共感とのものとは異なる。
 
・empathy 共感 Einfühlung
 苦しみ(パトス)に入っていく(en)
 感情移入、思い入れる
 相手と自分の個別性が前提
 能動的で想像力が必要
 心という器での作業
 
・sympathy 同情
 共に(sym)苦しむ(パトス)
 感情伝播、想いが入ってくる
 相手と自分が融合
 受動的、触発される
 心が覆い尽くされる
 
・ロジャーズの三原則
 自己一致(congruent)
  心に裏腹なく、「感じている自分」と「それを認識している自分」が一致している状態。また言葉も行動も、それに一致。
 無条件の積極的関心(unconditional positive regard)
  価値づけや条件付けをせず、積極的に関心を向け続ける
 共感的理解(empathic understanding)
  クライアントの内的フレーム(参照枠)を感じ取ること。 一貫して通底している内的フレームを感じ取る
 
・共視 …同じものを共に見る 眼差しを向ける →繋がりの感覚
・記憶なく、欲望なく、理解なく without memory, desire, or understanding (ウィルフレッド・ビオン)
 

インテーク面談

・セラピスト自身の心の動き、セラピストの主観的な内的体験をしっかり意識する。この感触がクライアントを理解する手掛かりの一つとなる。
 
・インテーク面接:
 クライアントがどのような相談内容(主訴)を抱えているかについて、その主訴の背景にある問題やこれまでの経緯などを把握することを目的とした初対面の面接。
 インテーカーはクライアントの話を聞き、信頼関係を作りながら能動的に働きかけていき、クライアントの相談内容に対する以降の方針について検討する。その上で、今後の支援について、クライアントとセラピストは契約する。
 
・クライアントが受容的と感じ、安心しながら語っていくようになると、クライアントは自己探索を始める。
・4つの視座 (永井徹 2013 「心理面接の方法 見立てと心理支援の進め方」新曜社)
 部分(問題や症状)=主訴
 全体(人格や性格)
 時間軸
 家族と社会
 
・見返す→見極め→見分け→見定め→見通す
・インテーク面接における内容
 ①問題とされる事柄・主訴 ②現在の症状とその経過(現病歴) ③来談経路・来談歴 ④生育歴・家族歴 ⑤教育歴・学歴・職歴・社会生活歴等
 

カウンセリング

 
・相互作用 …対話の次元、関係の次元、対話次元と関係の次元の相互作用
 
・介入(intervention)
①問いかけ(question) ②明確化(clarification)
③直面化(confrontation) ④解釈(interpretation)
 
・問いかけ(question)
 長所: 話題を焦点づける、曖昧な部分の明確化、体験の振り返りを促す
 短所: セラピストの関心の所在を暗に示す、クライアントの関心を狭める、クライアントが考えたいことから話題が逸れる
 
・ナラティブ: 語るという行為、または語るという行為によって結果として生まれる物語
 ・自己の二重化 …再体験しつつ、同時に自己を対象化する
 ・時間体験の二重化 …現在の文脈から過去を眺め、その過去からの流れで現在を意味付ける
 →人生の物語の構築
 
・相性などのレベル、身体感覚的、感情的レベル
 
・転移(transference):
 ①過去の重要な人物との間で体験していた感情をセラピストとの間で体験する現象
 ②広義には、クライアントが無意識に抱いている対象との関係が、セラピストとの関係に投影される現象
 
・逆転移(countertransference):
 ①過去の重要な人物との間で体験していた感情をクライアントとの間で体験する現象
 ②講義には、セラピストが無意識に抱いている対象との関係が、クライアントとの関係に投影される現象
 ③クライアントから投影された対象との関係にセラピストが巻き込まれ、その中でクライアントが体験しなかった感情や思考、対象が体験していた感情や思考を体験する現象 (補足型逆転位?)
 
 ・融合型逆転移 …セラピストがクライアントに同一化し、クライアントが十分に感じきれていなかった感情をセラピストが感じている状態?
 ・①②の場合、セラピスト自身が無意識にもっている対象との関係がクライアントに投影されること。
  セラピスト側の対象関係の歪みによって生じる逆転移。クライアントに対し過剰に愛着を示したり、過剰に攻撃したり破壊的な影響が生じる。
 
・解釈:
 クライアントの現在の生活、過去、治療関係の中で動いている
 クライアントの無意識の空想、感情、思考、欲動防衛について
 セラピストが共感を含めた理解をクライアントに伝える
  (松木邦裕 2016 「私説 対象関係論的心理療法入門 金剛出版 p.124-132)
 
 

カウンセリング・プロセス

・カウンセリング・プロセスの二重性
 主訴=具体的なニーズ → 主訴の解決・解消
 深く長い人生の過程において主訴が持つ意味 →人生の意味の発見(人間観の創造)=自己実現
 
【初期】
・契約
 インフォームドコンセント
  ニーズの確認、カウンセリングについての説明、カウンセリングが適切かどうかについての話し合い、
  カウンセリングの契約、あるいはより適切な対処法の提案
 
・ラポールの形成と治療同盟の成立
 治療同盟の成立
  ・患者が治療者に愛着を感じていること
  ・患者が治療者を有用であると感じていること
  ・患者と治療者とが共通の治療目標に向かって相互共同していると感じていること
   (Gabbbard.G.O 著 狩野力八郎監訳 池田暁史訳「精神理機動的精神療法」 岩崎学術出版 2012)
 
・容器の生成
 精神分析 …セラピストがクライアントの排出した不安を抱えるコンテイナー(container)として機能する
 ユング心理学 …守られた関係(関係の容器)を通して、不安を抱える心(心の容器)が形成される
 
【中期】
・関係の容器の形成
・転移・逆転移の展開
・心の容器の萌芽
 
【終結期】
別れ
 愛着、喜びと悲しみ、分離不安
 

・小川・横山「心理臨床の治療関係」 金子書房 1998

 

 

精神分析の始まり

・心因
・ヒステリー(hysteria): 器質的な異常はないが、思考や感覚、運動などの機能に障害が生じる一連の症候群
 ・解離性ヒステリー: 人格の解離や失神を伴う 例)失神、過呼吸、記憶の欠落、健忘など
 ・転換性ヒステリ: 感覚や運動機能の障害に転換される 例)難聴、視野狭窄、疼痛、まひ、運動失行、カタトニーなど
 
・メスメル(Mesmer, F.A.)
 催眠療法、メスメリズム、動物磁気、ラポール
 
・ブロイアー.J
 カタルシス療法、無意識的表象
 
・フロイト
 自由連想、意識推移順を低下させない ←催眠じゃなくてもOK。自分の秘密が現れる現場に立ち会える。
 言い間違い、暴虐などの誤謬をもとに心を解明  思い出せないことが鍵
 心的現実
 
・対象関係論 メラニー・クライン
 フロイトの方法とは扱う心の位相が異なる。二者心理学。
 クライアントとセラピストの関係性。関係、転移の中を生き抜いていく。
 
・「人は一人の時には生じえなかったような心の動きというものを、人との関係の中で展開し開始し、そしてそのことでもう一度自分というものを作りなおしていくことができます。」大山泰宏先生
 
 

ユング派の心理療法

 
・心理療法の4段階 ←分析心理学
1.告白(confession) → カタルシス法
 浄化される効果がある。ただしセラピストへの依存の問題
2.解明(elucidation) →  精神分析
 無意識への接近。依存の理由の解明。自己理解。
 愛憎を示す現象=転移。背後に両親への愛着と満たされないことの傷つき。
3.教育(education) →個人心理学
 社会的人間へ向けて。アドラーの個人心理学。洞察
4.変容(transformation) →コンプレクス心理学
 生きる意味がわからないなど実存的な空虚が問題となる場合、1-3では問題に十分対応できない。
 抑圧の苦しみでも、自己理解の不足でもない。自己実現。
 未知。変化は相互的。
 パーソナリティの非合理的要素。
 
・相互変容
 
・河合隼雄「ユング心理学入門」「ユング心理学と仏教」
 
 
 

ロジャーズ

・人が自らで成長していく力を持っている
 
・ロジャーズの方法
 対象者の主観、主体的努力を重視
 矯正では不十分。共感(empathy)の重要性
 非指示的方法
 クライアントの言葉や感情の反射(refrection)。クライアントの言葉や感情をそのまま照らし返していく
 
・ガイダンス、教育指導、精神分析、精神医学の方法
 対象者が必要なことを客観的に定義
 教え、導いていく、過去の生育史の欠陥を明らかにする
 指示的方法
 勧告や元気付け、励まし、カタルシス、助言、知性化された解釈
 
・セラピストが気持ちや考えを感情を受け止めてくれる器となり、自分を映し返す鏡となる。
 
・セラピーにおけるパーソナリティ変化への必要にして十分な条件(1957)
 1. 二人の人間が心理的に接触していること
 2. うち一方の人、すなわちクライアントと呼ばれる人は、自己不一致の状態にあり、傷つきやすく不安な状態にあること
 3. もう一方の人、すなわちセラピストと呼ばれる人は、関係性において自己一致し統合されていること
 4. セラピストはクライアントに対して無条件の肯定的(積極的)関心を体験していること
 5. セラピストはクライアントの内的参照枠の共感的理解を体験しており、その体験をクライアントに伝えようと努力していること
 6. セラピストの共感的理解と無条件の肯定的関心をクライアントに伝えること
 
・人類の成長と能力の開発
 
 

行動療法・認知療法・認知行動療法

【行動療法】
・行動療法の特徴
 客観性を重視して観察可能な行動や症状そのものを介入対象とする
 行動を刺激-反応で捉えていく
 不適応行動は誤った学習または未学習の結果と考える
 不適応行動の軽減や除去、または新たな行動を獲得していくことを介入の目標とする
 
・レスポンデント(古典的)条件付け
 系統的脱感作法、エクスポージャー法
 
・オペラント(道具的)条件付け
 レスポンデント条件付けに続けて生じる?
 三項随伴性: A弁別刺激→B行動(反応)→C結果 →B
 ABC分析: 先行刺激(Antencedent) 行動(Behavior) 結果(Consequence)
 トークンエコノミー法、タイムアウト法
 
・モデリング(観察学習、社会的学習理論)
 セルフモニタリング法、思考記録表、
 
 
【認知療法】
・ベック
・状況・環境→認知→問題(感情・行動・身体)
・認知
 ・自動思考: 一時的な反応パターンとして瞬間的に生じる考えやイメージ
 ・スキーマ: 幼少期から体系づけられていく中核的な信念で、普段は自分で意識ができない価値基準。自動思考よりも安定的。持続的な反応スタイル。
 自動思考とスキーマには回想性があると言われている。
 
【認知行動療法】
・介入
 ・クライアントへの説明、合意形成
 ・アセスメント …面接、質問し、セルフモニタリング等
 ・介入 …認知的技法、行動的技法
 ・終結
 

【その他】

・マインドフルネス認知療法

 ・J.カバットジン「マインドフルネスストレス低減法」北大路書房、2007

 「瞬間瞬間に立ち現れてくる体験に対して今の瞬間に、判断をしないで、意図的に注意を払うことによって実現される気づき」
 ・認知療法でいう脱中心化
 
・アクセプタンス&コミットメント・セラピー
 

地域支援

 
・コミュニティ… 地理的コミュニティ、関係的コミュニティ
・地域支援における理念
 1.予防的取り組みを重視
 2.人の行動に影響を与える環境要因を重視
 3.社会的文脈の中に人は存在しているという視点を持つ
 4.人が持っている健康さやコンピテンス(有能性)に注目する
 5.当事者や非専門家の視点を持つ
 6.他の専門家と協働(コラボレーション)する
・視点と姿勢、役割、援助構造
 
・山本和郎「コミュニティ心理学-地域臨床の理論と実践」1986 東京大学出版
・生態学的心理学 …ローガー・バーロック・バーガー
・生態学的システム理論 …ユリー・ブロンフェンブレナー
  「生態学的環境は、それぞれが次々に組み込まれていくような、位相的に同じ中心を持つ入れ籠構造のように考えられる。そしてそれぞれの構造は、ミクロ、メゾ、エクソ、マクロシステムと呼ばれる」
  ブロンフェンブレナー「人間発達の生態学-発達心理学への挑戦」 1996 川島書店
・アウトリーチ、コンサルテーション、危機介入、自助グループなど
・アドボカシー
 

危機介入

・危機状態
 発達的危機(成熟危機)
 偶発的危機(状況的危機)
 体の緊張、認知の歪み、情緒的混乱、心身
 病気ではなく、危機状態によって心身が不均衡になっている状態
 通常1〜6週間
 
・危機介入
 ・危機状態にある個人や集団、組織に対して、危機からの回復を目指し、迅速に集中的に働きかけていく。
  ピークにタイミングよく適切に援助を行う
 ・介入の流れ
   1.危機状態へ接触
   2.アセスメント
   3.危機状態を理解する(適正な介入の前提)
    時間構造を捉える、意味づけを知る、対処の仕方を知る、周囲にある社会資源を知る
   4.危機介入の方法を検討
   5.危機介入の実行と評価
   6.介入後のフォロー、終結 ※ひらかれた終結による予防も考慮
 

その他メモ

・秘密保持
 ・公認心理師法第41条
 ・日本臨床心理士会倫理綱領第2条第1項
 
 

雑感

 

第8〜10回がとても印象的でした。言葉にできない。

言葉にできないし、言葉にすると陳腐になっちゃいそう。。


カウンセリングとは奥が深いなぁと、なんだかしみじみと感じました。

説明を聞きながら、なんだか切ない気持ちにもなったり。。。

 

そして、キャリコンの講座でも「転移」はちょっとだけ説明がありましたが、こんなに深いものだとは思いませんでした。

おそらくキャリアカウンセリングでは、あまり転移・逆転移の状態までいかないのかもしれないとも思いました。

同時に、心理臨床のカウンセリングはパーソナリティ変容が主であることが多いがキャリアカウンセリングは問題解決が多い、という國分康孝先生のお話を思い出しました。

 


メモができないとは、メモができないほど理解していないか、簡単に言葉で表現できるほどの内容ではない、ということなのだろうと思います。

そういう意味で、この講義はメモするよりも、聴いて心に染み込ませていくような箇所が多かったと感じました。もちろん、理解が十分においついていなくてメモできないところも多々ありました💦

 

 

ところで、第8回の大山先生の

「人は一人の時には生じえなかったような心の動きというものを、人との関係の中で展開し開始し、そしてそのことでもう一度自分というものを作りなおしていくことができます。」

という言葉は、とても心に残りました。

 

どんな方なのだろうとネットで調べてみたら、大山先生の講演についてのブログを見つけました。

それを拝見し、人としての深みのようなものはこうして作られていったんだなぁと思いました。

 


 

 

この講座、もう一度見たいなぁ。。

もう一度見る時は、印刷教材を購入しておこうと思います。