放送大学の「臨床心理学概論」。

メモのつづき、その2。

 

気になったことだけメモします。

以下、個人的メモ。

 

認知行動療法

・認知行動療法:
 ・行動や情動の問題だけでなく、考え方や価値観、イメージなど、さまざまな認知的問題にも焦点を当てる
 ・行動的技法と認知的技法を効果的に組み合わせて用いる
 ・認知行動療法という個別の治療法方法があるのではなく、総称であり、体系

 

・アルバート・エリス「論理情動行動療法」

  論理療法(RT: Rational Theraly) 

   →理性感情療法(RET: Rational-Emotive Therapy)

     →理性感情行動療法(REBT: Rational Emotive Behaviour Therapy)

・アーロン・ベック「認知療法」

 

・ABC(DE)理論

 A: Activating Event 出来事

 B: Belief (rational / irrational)ビリーフ

 C: Consequence (emotional / behavior) 結果

 D: Dispute 論駁

 E: Effective new philosophy 効果的な新しい人生哲学 →C’へ

 

・理性的に考えているようで、混乱などが日常生活に影響を与えるほどの強さで長く続く

 → つまり、本当は理性的に考えていないかもしれない

 

・認知的再体制化

 ①最近の出来事で不快感が続いているものを書く

 ②この出来事をどのように意味付けているのか、捉えているのかを自分に問うてみる

 ③新しい意味づけ、捉え方を書き、声に出して言い聞かせるように読む

 

・情動的アプローチの基礎理論 …古典的条件付け理論 感情ネットワーク理論

・行動的アプローチの基礎理論 …オペラント条件付け、観察学習の理論

 

・主要技法:

 ・認知的側面

  ①認知的再体制化  共同作業

  ②自己教示法(肯定的・中性的・否定的)

 ・感情的側面

  ①自律訓練法 シュルツが考案し、ルーテが体系化 →日本自律訓練法学会のHP

  ②系統的脱感作法と現実脱感作法 …不適切な不安や恐怖に適用される

 ・行動的側面

  ①正の強化法

  ②シェイピング法

  ③行動論的セルフコントロール (刺激制御法、セルフ・モニタリング、自己強化法)

  ④モデリング

 

・ステージの変化

 行動療法→認知の導人→マインドフルネスの導人

 変えるもの→観察するもの

 

マインドフルネス

・八正道… 正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、正念、正定

 人間の苦悩をなくすための実践法。仏教に由来。

・「正念」を英語にしたのがマインドフルネス。

 

・マインドフルネス: 意図的に、今この瞬間に、評価をせずに、注意を向ける =気づき

・ジョン・カバットジン MITのマインドフルネスセンターの創始者

・臨床現場でのマインドフルネスの練習
 ・フォーマル練習
  集中瞑想 特定の対象に意識を集中させる瞑想
  洞察瞑想 体験をありのままに気づく瞑想
  思いやりの瞑想 自己および他者に対する思いやりを育む瞑想
 ・インフォーマル練習
  日常生活での実践 例)お皿洗いをするときに、お皿や水の感触などを丁寧に感じてみる
 
・マインドフルネスの態度
評価しない(non-judging)
初心(beginners mind)
受容(acceptance)
信頼(trust)
力まない(non-striving)
忍耐(patience)
解き放つ(letting go)
 
・マインドフルネス指向の心理療法(MOP: Mindfulness-Oriented Psychotherapy)の分類
 ①マインドフルネスに基づいた心理療法(MBP: Mindfulness-Based Psychotherapy)
 ②マインドフルネスの治験を教示する心理療法(MIP: Mindfulness-informed Psychotherapy)
 ③治療者のマインドフルネス(TM: Therapist Mindfulness)
 
・マインドフルネス・ストレス低減法(MBSR: Mindfulness-Dased Stress Reduction)
 ・カバットジンにより開発された。対象は慢性疾患など。
 ・短期集中グループセラピー(最大約35名参加) 8セッション(1回/週 各2.5〜3h)+サイレントリトリート(1日)
 ・レーズンエクササイズ、ボディスキャン、静座瞑想、歩行瞑想、マインドフルヨーガ、グループディスカッション
 ・毎回1時間くらいの宿題
 
・マインドフルネス認知療法(MBCT: Mindfulness-Based Cognitive Therapy)
 ・シーグル、ウィリアムズ、ティーズディルによって開発された。対象者は反復性うつ病の再発防止など。
 ・短期集中グループセラピー(最大約15名参加) 8セッション(1回/週 各2h)+サイレントリトリート(1日)
 ・ボディスキャン、静座瞑想、歩行瞑想、マインドフルヨーガ、認知行動的エクササイズ、グループディスカッション
 ・3ステップ呼吸空間法(3-Step Breathing Space):
  ①今この瞬間の思考・感情・身体感覚に気づく ②呼吸に意識を集中する ③意識を全身に広げる
 
・マインドフルネスに基づいた出産と育児(MBCP: Mindfulness-Based Childbirth and Parenting)
 ・バーデキーによって開発された。対象は母親(妊娠及び育児期)とそのパートナー。
 ・全10セッション(各約3h) 出産前9セッション+ (全員が出産後約3ヶ月後に)1セッション
 ・ボディスキャン、マインドフルヨーガ、思いやりの瞑想、アイスキューブ・エクササイズ
 
・弁償的行動療法(DBT: Dialectical Behavior Therapy)
 ・リネハンによって開発された。対象は境界性パーソナリティ障害など。
 ・変容VS受容という相反するものを受け入れるために、弁証法を取り入れている。
 ・個人&グループセッション、24時間電話対応、治療者のためのコンサルテーション
 ・スキルトレーニングの四つのモジュール(苦悩耐性、感情調整、対人関係、マインドフルネス)
 
・アクセプタンス・アンド・コミットメント・セラピー(ACT: Acceptance and Commitment Therapy)
 ・ヘイズらによって開発された。
  帰納的文脈主義を用いて現実をありのままに受容し、自らの価値へ向かってコミットすることをめざす。
 ・不快な体験をありのままに受け入れる(アクセプタンス)、
  思考の内容は必ずしも事実ではないことを認識する(脱フュージョン)、
  文脈としての自己、今この瞬間、勝ちづけされた方向性の定義、コミットされた行為
 →最終的に心理的柔軟性を獲得していくことをめざす。
 
・自動操縦状態に気づく (自動操縦状態の時には反芻が起きやすい)
・立つ中心化と受容 (一歩引いたところから見ることで「思考=事実」から抜け出し、それをそのまま受容)
・反応(reaction)から対応(response)へ (反応…衝動的・自動的・習慣的、 闘争・逃走・フリーズ反応、対応…意識的・意図的、まず受け止めてから判断)
 
・マインドフルネスの知見を教示する方法(MIP)
①「過去・未来」から「今この瞬間」へ
②「抵抗」から「受容」へ
 苦痛(pain) X 抵抗 =苦悩(suffering) 
 苦痛に抵抗することで苦悩が生まれる。抵抗をせずありのままに受け入れることで苦悩をなくす
 
・治療者のマインドフルネス(TM)
 治療者自信がマインドフルネスを練習することで、注意を集中させる力が向上、共感力が向上、治療成績が高まる、バーンアウトの予防
 
・J.カバットジン「マインドフルネスストレス低減法」北大路書房、2007
 
 

家族療法・動作法・統合的アプローチ

【家族療法】

・ミニューチン

・IP: Identified Patient

・ミニューチンのアプローチの変化

 1. hire and now → 過去の体験を重視

 2. 家族の相互作用→個人の認知

 3.明確なプロセス野イメージ→曖昧さの受容

・ミニューチン『家族と家族療法』『家族・夫婦面接のための4ステップ』
 
 
【動作法】

 ・筋緊張と筋弛緩を会得していくと、心理的にも適度な緊張とリラックスができるようになり、自己コントロール感が増して、対人関係も改善されてくる。

 ・今野義孝『障害児の発達を促す動作法』

 

 

【倉光修先生の統合的アプローチ】

1.基本的欲求が満たされない心の傷となる体験のイメージ(回想・予想・空想)を推測し、その苦しみを追体験しようとする。

2.その基本的欲求が、部分的・代理的・代償的・象徴的に満たされるように配慮する。

3.クライエントの公示欲求を満たすような行動(個人的当為)のイメージを共に模索し、その実行を見守る

 

・個人的当為: 個々人が人生の書く瞬間において、またそのときどきの状況に即して、(心の真相ないし構想にある価値観に照らして)なすべき(当為)と感じること

社会的に望ましいとされる一般的当為とは異なる場合もある。

 

コミュニティ・アプローチ

・臨床心理アセスメント、臨床心理面接、臨床心理学的地域援助(コミュニティ・アプローチ)

・コミュニティ・アプローチの方法:

 1.危機介入、2.コンサルテーション、3.ソーシャルサポート・ネットワーキング、4.予防活動

 

・危機介入のプロセス:

 1. 危機アセスメントをする

 2. 信頼関係を作る

 3. 起きている問題を認識させる

 4. その問題と取り組ませる

 5. 決断させ、継続的支援を約束する

 6. 地域全体(コミュニティ)が支援する

 
・コンサルテーション
 ・コンサルタント: 相談を受けて助言をする立場の専門家
 ・コンサルティ: 相談を持ちかけて助言をもらう立場の専門家
 ・異なる領域の専門家同士の間で行われる対等な関係
  始まりと終わりがはっきりしている
  コンサルタントは原則として局外者
  課題中心で成り立つ
 
・ソーシャルサポート
 ・コミュニティを共有する人々との間で生じる人間関係で、肯定的な側面を捉えようとする概念
 ・道具的サポート、情緒的サポート
 ・ソーシャルサポート・ネットワーキング
  既存のネットワークからサポートを引き出す、
  新しいサポート源にクライエントを繋ぐ、
  新しいサポート資源を作る、
  サポートネットワークを調整する
 
 

医療分野での心理臨床

・臨床心理士の職能 … 心理アセスメント、心理療法・カウンセリング、地域援助、研究活動、教育活動

・臨床(clinical) : ギリシア語Kline(寝台) ベッドサイド

・エリクソンの「臨床」の定義

・生老病死に対して

 医療…医療技術によって、治療やサポート

 心理臨床…死苦という人間の根源的な苦悩に向き合うことをサポート

・家族は第二の患者

・生物-心理-社会モデル(Biopsychosocial model)

  生物学的基盤、心理的側面、社会的コンテクスト

・医師との連携

  医療システムの合理性の中 → 医師の指示のもとの活動

  医療システムの合理性に収まらない専門性 → 医師と連携して活動 …高度な専門性と倫理性

・オープンダイアローグ:  対等の立場で開かれた対話

 

 

支援者のメンタルヘルス

・傷つきは伝播する(じわじわと)
・共感疲労
・代理トラウマ
・二次的外傷性ストレス(二次的被災)
・バーンアウト
 
→対策
ソーシャルサポートを得る
自分の仕事を客観的に評価する
自己肯定感、セルフケアを大切にする
無理のないコミュニケーションを維持する
ユーモアの感覚を常に大切にする
 

 

その他メモ

 

・安易に判定・断定しない

・実際の訓練を受けることを大事に

 

・連携・協働を困難にする要因

 ・自分の立場に固執する 例)地位など

 ・自分の価値観に固執する 

 ・自分の(専門的)言葉に固執する

 ・自分の役割に固執する 例)張り合い

 ・自分の葛藤を相手の責任にする

 

・連携・協働を機能させるための要因

 ・目標を共有する

 ・共に困難に挑む時間、感情を共有する

 ・言葉を共有する(その言葉を生み出すプロセスが重要)

 ・責任、守秘義務を共有する

 ・役割をを共有する(お互いに重なる領域を作る)

 ・専門性を尊重し、共有する

 ・ケースカンファレンスが有効(事例化・事例の共有化)

 

・対話・相互理解・相互尊重

 お互いの状況を知悉している、互いに学び合おうとしている、共に行動する姿勢を欠かさない

 

・「臨床」の定義: 

臨床とは、苦しむ主体である「クライエント」あるいは「患者」と、苦しむ人を援助しようとする主体である「援助者=臨床家」と、その両者がそこにおいて存在し交流する、個別の具体的な「場」とから構成される動的な構造である。

 

・中村雄二郎「科学の知」「臨床の知」

 

・臨床心理学に関わる原則 (斎藤清二先生より)

 他者尊重、関係性重視、省察的実践、多元主義

 

 

 

 

雑感

全体的に興味深く拝見しました。

特に、第13回の教育分野の心理臨床は、事例に涙が出ました。

第14回社会的養護については、心理職でなくても何かしらの支援者になれるのだろうと思いました。

できることから、無理をせず、機会があれば、少し勇気を出してみるということが大事なんだろうな。

それが、優しい社会につながるような気もしました。

 

家族療法は、簡単な説明はキャリコンの講座でも出てきたけど、勉強するともっと奥が深そう。

認知行動療法もマインドフルネスも興味津々でした。いつか、もう一度観たいなぁ。

倉光先生の味のある感じが、みていてなんだかほっとさせてくれました^^

ありがとうございました。