「認知行動療法」につづいて、「臨床心理学概論」を見ました。

今度は1回目から見るぞーと気合を入れてスタート!

 

気になったことだけメモします。

以下、個人的メモ。長いので2回に分けます。

 

概論

 
・心的問題 …心の傷、心の病
・心の傷:
 人生の苦悩、ストレス、欲求不満、劣等感、孤独感、無力感、など
 人間関係、能力や適正、感情や意欲、他
 脅威を与える環境と神経系の脆弱さの双方によって影響される。
・心の病:
 精神障害の症状、社会的問題行動など
   
 
・心理アセスメントで使われる心理テスト
①知能検査・発達検査 …田中ビネー式、鈴木ビネー式、WISC、WAIS、K式など
 ※検査によって結果(数値)が少しずつ異なる
②正確検査・人格検査 …質問紙法:MMPI、エゴグラムなど 投影法:SCT、バウムテスト、ロールシャッハ法、TATなど
③神経心理学的検査 …ベンダーゲシュタルト、長谷川式など
 
・心理療法・カウンセリングアプローチ
フロイトの精神分析 → 精神分析的なグループセラピー、プレイセラピー?など
ユングの分析心理学 → アクティビィイマジネーション?、箱庭療法など
ロジャーズのクライエント中心療法 →フォーカッシング、エンカウンターグループなど
ウォルピらの行動療法、
エリスやベックの認知療法、認知行動療法 →マインドフルネス、
系統的脱感作法(Sytematic Desensitization)
暴露法(Exporsure Therapy)
家族療法  →オープンダイアローグ
森田療法、内観療法、臨床動作法
統合的アプローチ
 
・環境内の刺激SーオーガニズムOー人間の反応R
 

心理アセスメント

・面接法 …構造化面接、半構造化面接、非構造化面接、受理面接(インテーク面接)
・行動観察 …構造的観察法、自然観察法、参与観察法
・心理検査
・生理学的検査 例)脳は、心電図、筋電図、皮膚電気活動など、ポリグラフ、コルチゾールとストレス など
 
・生物ー心理ー社会モデル (by エンゲル)
 三つの領域が相互に影響を与え合っているという理解
・生態学的モデル(byプロンフェンブレナー)
 四つの同心円上の領域。マイクロシステム、メゾシステム、エクソシステム、マクロシステム、クロノシステム
 
・信頼性: 尺度によって測定されたデータの精度や再現性に関する概念。誤差の少なさ。
 ・信頼性を検討する方法
  ・再検査法: 同一の対象に同一の検査を複数回実施し、得点の一致度を信頼性の指標とする。
  ・並行検査法: ある検査と測定内容の等しい別の検査を同一の対象に実施し、得点の一致度を信頼性の指標とする。
  ・折半法: 検査項目を二つに分け、両者の尺度得点の相関をもとに信頼性を検討する。
        Spearman-Brown の公式 …ρ=2r/(1-r) ※rは相関係数
        Cronbachのα係数 … 折半法における全ての組み合わせからρを算出した場合のρの平均値。
                  内的整合性の指標として参照され、一般的にα>.8以上あれば高い内的整合性があると言われる。ただし、α係数は検査を構成する項目数が多いほど高くなるなどの特徴があ離注意も必要。
 
・妥当性: 検査が測定したいものを適切に測定しているか。
 ・内容的妥当性: 検査の内容と測定する概念との内容上の適合度による妥当性
 ・基準関連妥当性:
   併存的妥当性: 既存尺度を外的基準とした妥当性
   予測的妥当性: 未来の情報を外的基準とした妥当性
 ・構成概念妥当性: 測定概念を構成する理論的要素とデータの適合度による妥当性
 
・検査の標準化
・テストバッテリー(組み合わせ)  例) 発達の側面と、パーソナリティの側面 をそれぞれ把握できるテストの組み合わせなど
・種類 …個別式-集団式、対象が本人-周囲の関係者等、動作的パフォーマンス-言語的パフォーマンス、正答を求める-普段の態度や考えを求める など
 
 
 

知能検査

・ビネー式知能検査

 アルフレッド・ビネ フランスの心理学者 1905年に発表 改訂1908、1911年に改訂

 

 

・スタンフォード・ビネー

 ターマンがアメリカ人を対象に標準化、知能指数IQ(Intelligent Quotient)の導入

 IQ = (MA/CA) *100  MAとCAの比

 ※MA(Mental Age):検査から得られる精神年齢、CA(Chronological Age):実年齢としての生活年齢

 

・田中ビネー知能検査

 田中寛一が発表 2003年に田中ビネー知能検査V(2歳〜成人まで)

・鈴木ビネー知能検査

 1930年 鈴木治太郎が実際的個別的知能検査法を発表

 2007年改訂版

 

・ウェクスラー式知能検査

 デイヴィット・ウェクスラー

 知能は複数の因子から構成されるものと考える。

 1931年に成人を対象としたウェクスラー・ベルビュー知能検査(WBIS)を発表

 WPPSI:幼児用、WISC:児童用、WAIS:成人用、

 WISC-IV 

  年齢集団ごとに検査得点の標準化が行われている。

  IQ85〜115 = 68.2% 

  言語理解指標(VCI)、知覚推理指標(PRI)、作動記憶指標(WMI)、処理速度指標(PSI)

 

・グッドイナフ人物画知能検査

・コース立方体組み合わせテスト、大脇式盲人用知能検査

 

発達検査

・知能だけでなく、身体的発達、社会適応力などの発達を調べるものがある。

 

・新版K式発達検査
 姿勢・運動、認知・適応、言語・社会
 
・乳幼児精神発達検査診断法
 津守真を中心に開発(津守式)
 運動、探索、社会、生活習慣、言語
 
・Vineland-II適応行動尺度 (日本版は2014年)
 対象者をよく知る人を回答者とし、反抗増加面接による実施
 コミュニケーション、日常生活スキル、社会性、運動スキル (オプションで不適応行動)
 
 

パーソナリティ検査

・パーソナリティの特性5因子モデル(Big5)

 ・神経症的傾向、外向性、開放性、調和性、誠実性
 
・NEO-PI-R人格検査
 240項目から構成。コスタとマックレーによる開発
 
・NEO-FFI人格検査
 NEO-PI-Rの簡易版。60項目
 
・改訂FFPQ
 海外尺度の翻訳版でない検査 150項目
 
・MMPI(ミネソタ多面的人格目録:Minnesota Multiphasic Personality Inventory)
 1943年にミネソタ大学のはさえりとマッキンリーが発表 550項目
 基礎尺度は四つの妥当性尺度と10個の臨床尺度。追加尺度はMAS(顕在的不安尺度)やEs(自我強度尺度)など。
 基礎尺度の四つ…疑問尺度、虚偽尺度、頻度尺度、修正尺度
 
・エゴグラム
 バーンの交流分析理論をもとにデュ性が考案した自我状態の主観的な表現法。のちに標準化された。
 五つの自我状態…批判的な親(CP)、養育的な親(NP)、成人(A)、自由な子供(FC)、順応した子供(AC)
 
 
・投影法(投映法)、performance-based test
・課題の持つ規定枠からの理解
 回答が限定される=課題の規定枠が絶対化。しかし、投影法は、課題の規定枠が相対化しており、規定枠が相対化した課題に対してどう回答するかに、その人らしさが反映されると考える。
 
・文章完成法(SCT: Sentence Completion Test): 書きかけの文章を刺激とし、続きを考えてもらう課題。
 ・精研式SCT …60項目
 ・20答法
 ・SCT-B
 
・樹木画(バウム)テスト(The Tree Test)
 コッホが体系化。果物の木を一本できるだけ上手に描いてください。
 ・変法として、2枚法、3枚法がある
 空間象徴図式
 
・主題統覚検査(TAT: The Thematic Apperception Test)
 マレーとモーガンにより1935年発表
 31枚の図版から20枚を選択
 解釈について
  マレー 物語に現れた欲求と圧力の関係から分析
  山本和郎 現象学的アプローチを取り入れた「かかわり分析」
  鈴木睦夫 現れやすい物語のモチーフや登場人物の関係性などから分析の枠組みを整理
 
・ロールシャッハ法(RIM: The Rorschach Inkblot Method)
 スイスのロールシャッハにより1921年発表
 左右対称のインクのしみ(ブロット)でできた図版10枚を使用。何に見えるか。
 包括システム (アメリカのジョン・エクスナー)
 R-PAS (グレゴリー・マイヤー)
 
 

神経心理学的検査

 

・大脳などの中枢神経系と心の働きを関連づけた検査。

 

・高齢者の認知機能の検査ツール

 ・長谷川式(改訂版長谷川式簡易知能評価スケール、HDSR?)

 ・精神状態短時間検査(MMSE)  ※日本版MMSE-J

 

・失語症の検査ツール

 ・標準失語症検査(SLTA)

 ・WAB失語症検査

 

・ベンダーゲシュタルト検査

 アメリカの児童精神科医ベンダーが1938年に発表

 9校の幾何学図形を順に提示し、模写するよう求める

 結果の整理… パスカ・サッテル法、コピッツ法、XYZ法

 
 
 

フロイト派のアプローチ

第5回の松木先生のお話は高度で、メモできるほど理解に至らず残念。でもとても良かった。

 

・フロイト派の心理療法

 1. 精神分析、2. 精神分析的心理療法、3. プレイ・アナリシス、
 4. 精神分析的プレイセラピー、5. 精神分析的集団療法、6. 精神分析的家族療法・カップルセラピー、他
 

・現実を見つめ、苦痛に持ち堪える力を高めること

・松木邦裕「こころに出会う:精神分析 その学びと学び方」

 
 

ユング派のアプローチ

第6回も難しかった。。。でも、なんだかよくわからないけど、すごく良かった。

 

・夢分析、箱庭療法、アクティブ・イマジネーションなど

・ユング …普遍的無意識・集合的無意識が存在すると主張。このような深い無意識の層から浮かんでくるイメージなどは、個人の心理的課題と関連して捉えることができるといえる。

 

・アクティブ・イマジネーション

※面接中に行わず、自宅で一人で実施してもらう。

①誰にも邪魔されない時間と空間を確保する

②イマジネーションの舞台(スタート地点)を設定する 例)好きな絵葉書を見つめる

③何かが動き出すまで、見つめて待つ

④その動きの意味(メッセージ)を何通りか推測し、一つを選ぶ

⑤こちらの応答を何通りか考え、一つを選んで実行する

⑥彼方の反応を待つ

⑦あとは④⑤⑥を繰り返す

⑧記録する

⑨報告する

⑩儀式化を行う

・意識と無意識の間で、イメージのキャッチボールを繰り返し、両者の和解と妥協ができる一線ーー落とし所を見出していく。

 

・集合的無意識、原型

・超越的な力さえ発揮する無意識と向き合う意識のあり方も重視。 老松克博先生

 

ロジャーズ派のアプローチ

キャリアカウンセリングでもよく出てくるロジャーズ。飯長喜一郎先生が登場されました。

この第7回もむちゃくちゃ良かった。良すぎてメモできない。。

 

・非指示的療法(non directive therapy)

・クライエント中心療法(client-centered therapy)

・パーソンセンタード・アプローチ(PCA: Person-Centered Approach)

  エンカウンターグループ、フォーカシング

 

・セラピストに求められる3条件(中核条件)

 ・セラピスト自身の「自己一致(congruence)」(あるいは「純粋さ(genuineness)」「真実性(realness)」)

 ・クライアントに対する「無条件の肯定的関心(unconditional positive regard)」(あるいは「受容(acceptance)」)

 ・クライエントに対する「共感的理解(empathic understanding)」

・as if あたかも 共に存在している
 
 
・ロジャーズの人間性に関する考え方
 ・人間は誰でもより良く生きようとする成長欲求を持っている
 ・良い環境が与えられれば、人間は成長できる
 ・良い環境とは、周囲の人々から尊重され、独立の存在として認められる環境
 
・クライエントの体験過程の自ゾン的レベルでともに作業するに十分な深さでクライエントに出会うこと
 relational depthである。
 Mearns,1997
 
・相手とともに存在しているという実感、同じ軌跡上を二人で歩んでいく感じを抱きながら会っている
・相手とともに今ここで生きていながら死すべき運命(mortality)致死性(lethality)とでもいえるようなものを味わっているともいえるかもしれません 飯長先生
 
・ロジャーズのカウンセリングの実際 http://www.kosmos-lby.com/books/shosai083.html

・佐治守夫先生 「治療的面接の実際 : ゆう子のケース」

 

「自殺企図」という言葉を初めて聞きました。

 

その他メモ

・心理支援の目標… 自助と自立

・心理アセスメントは、クライエントの自助と自立を促進するための見立ての作業。見立ては常にアップデート。

・インフォームドコンセントが大事。

・心理検査の持つ権力性への配慮

 


 

雑感

印刷教材があれば、もっとちゃんと理解できたのかも。

それは仕方がない。でも、見てるだけでも、とても勉強になりました。

そして、その分野の有識者から語られる言葉の深さってすごいなぁと思いました。

 

ゆうこさんのケースは全文聞いてみたい。

佐治守夫先生の著作物は絶版になっているものも多いみたいだし、難しいかな。


 

第8回以降も楽しみ。