「心理臨床と身体の病」につづいて、「認知行動療法」を見ました。
日曜日からスタートしてたみたいで、1〜3回を見逃してしまい、とても残念。
最初を見てないので、全体的に一本筋を通す感じができなくて・・・やっぱり最初は大事だと思いました。。。
以下、個人的メモ。
アセスメント・CF
・アセスメント:
心理的支援を必要とする事例(個人または事態)について、その人格、状況、規定員に関する情報を系統的に収集し、分析し、その結果を統合して事例への介入方針を決定するための作業仮説を生成する過程。
・認知行動療法を開始するプロセス:
①主訴… クライエントが問題と思っている事柄
②情報収集… 様々な観点から問題に関する情報を収集
③仮説…事実を確認しながら、問題の成り立ちについての仮説(ケースフォーミュレーション)を生成
④検討…仮設をクライエントに提示し、相互に検討
⑤合意…両者が合意できる問題理解の仮説の形成
・ケースフォーミュレーション(CF):
・介入の対象となる問題の成り立ちを説明する仮説。
・アセスメント情報を整理・再構成することで、問題が発展し、具体的な問題行動として発現し、維持されているプロセスに関する仮説として形成されたもの。
・手順↓
①ターゲットとする問題を特定する
②問題を維持している悪循環を明らかにする
③フォーミュレーションの妥当性を検討する
④⑤フォーミュレーションに基づいて介入効果を評価する
・ターゲット決定のポイント
・具体的な行動をターゲットとする
・本人が変えたいと望むものを優先する
・変化を客観的に観察しやすい行動を優先する
・変化が起きやすい行動を優先する
・刺激・反応・結果
・機能分析
①問題を引き起こす刺激
②刺激に対する反応(刺激によって引き起こされる不適切な行動)
③反応から引き起こされる結果
・不適切な行動(反応):
引き起こす刺激とその後の結果から切り離せないもの。
刺激-反応-結果の中で問題行動が形成され維持されるもの。
・アセスメントは個別問題(ミクロ)から問題の全体(マクロ)へ向かって行う。
・ミクロ…個々の問題行動: 刺激要因→維持要因
まず、何が現在の問題を維持させているか?
問題の発現の直前に何が起きるかを確認していく。
どのような状況で、
認知(どのようなことが頭に浮かぶのか)、
感情(どういう気分の時に)、
対人関係(誰が何をする時に)、
身体(どのような身体感覚が生じるのか)
結果どうなるか
刺激要因:刺激状況
維持要因:強化因子(悪循環の回路)
・マクロ…問題の全体: 素因→発生要因→発展要因
・要因…遺伝、体質、親子関係、世代間伝達、家族状況
・発生要因…人間関係のトラブル、勉強の躓き、いじめ・・・
・発展要因…周囲の無理解、不適切な介入
心理教育・セルフモニタリング・行動活性化法
・心理教育…認知行動療法を始めるにあたり実施
①問題となる病気・疾患についての知識を確認する
②認知行動療法について説明する
③ケースフォーミュレーションや今後の方針について話し合う
・セルフモニタリング
・自分自身の気分や行動、思考などを記録する
・自分の状態について、客観的で具体的な気づきを得る
例)気分に問題がある→気分について観察 行動に問題がある→行動についてを観察
・行動活性化法
・単純な行動活性化法
・正の強化子に安定して接触できるように非うつ行動に取り組むこと
・活動モニタリングを振り返り、活性化の目標を決めて、その目標に沿った活動リストを作成する
・活動を予め計画する。いつ、どのように取り組むのか、活動スケジュールに書き込む
・計画した活動の実施状況を記録する
・回避行動パターンの分析を含んだ行動活性化法
・中等度以上のうつ病患者に用いる ※単純な活性化法で効果がなかったら
・うつ行動と回避パターンについて分析(TRAP)
・回避パターンに代わる行動とその難易度について検討(TRAC)
・代わりの行動を計画
・代わりの行動を実行し、結果を記録
・TRAP: きっかけ(Trigger)→反応(Response)⇆回避行動(Avoidance Pattern)
・TRAC: きっかけ(Trigger)→反応(Response)⇆代わりとなる行動(Alternate Coping)
・ご本人の「価値」に沿った行動を実行する
・行動モデルによるうつ病
・抑うつ症状により正の強化子が得られる行動が減る
→正の強化子への接触が減る
・嫌悪的な状況を回避したり、悪気分にならないようにする
→随伴正を正しく見通せなくなり、正の強化子に結びつく行動が取りにくくなる
ABCモデルに基づいた行動変容
・ABCモデル: A先行事象(きっかけ) → B行動 → C結果事象
・刺激性制御
・全ての行動には意味がある
・行動変容技法
・随伴正マネジメント 日常場面での介入
・スキル形成マネジメント 面接・訓練場面での介入。望ましい結果が出るAとCを設定してBを訓練。
・支援者は本人ではないため、AとCしか支援できない。
・クライアントの問題・課題だけでに目を向けるのではなく、望ましい行動(を増やしていくこと)にも着目する。
機能に応じた関わりをする
例)ポジティブな行動に関わりをもち、ポジティブな行動を増やしていく
・機能分析…行動の機能を分析。要求、注目獲得、逃避・回避、感覚獲得など
・望ましくない機能を変える。もう少しマシな望ましくない機能に置き換えていく。
一方の行動には強化をし、一方の行動は消去をする …強化を随伴させる。分化強化
事前に機能分析をしておくことが大事。
アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
・関係フレーム理論
人間の言語と認知に関する行動分析学の知見が体系化された理論
恣意的に適用可能な関係反応: 刺激や出来事を関係付けること
相互的内包
複合的相互的内包
刺激機能の変換
・アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
・認知行動療法、行動変容技法の一つ。第三世代の系譜。
・行動分析学や関係フレーム理論をベースにした心理的支援の方法
・言葉との新しい付き合い方のコツを身につける
マインドフルネス・アクセプタンスのプロセス
コミットメントと行動活性化のプロセス
→対象者の心理的柔軟性を高める
・以下のような6つのプロセスが強まった状態を心理的非柔軟性という。
非柔軟な注意
価値の混乱、プライアンス、フュージョン、回避に基づく価値が優勢
行為の欠如、衝動性、回避の持続
概念としての自己に対する執着
認知的フュージョン
体験の回復
・心理的柔軟性モデル
「今この瞬間」への柔軟な注意
価値
コミットされた行為
文脈としての自己
脱フュージョン
アクセプタンス
エクスポージャー(exposure)
・馴化(じゅんか): 同じ(似た)刺激に対する反応が徐々に小さくなること
・レスポンデント消去: 繰り返し条件刺激のみにさらされ条件反応が出現しなくなること
・回避せずそのまま放置。
・回避行動
・受動的回避: 引きこもり型の回避 例) 嫌な気持ちになりたくないので、言わない・しない、でかけない
・能動的回避: 儀式実行型の回避 例)嫌な気持ちになったので何かする(手を洗う、ルーティンワークなど)
・エクスポージャーのバリエーション
・基本パラダイム… 短時間・段階的(数十秒〜1、2分) / 持続的・集中的(10分〜30分)
・提示モード… 現実場面(in vivo) ー バーチャル・ロールプレイ ー 回想&後述 ー イメージ想起
・付加手続き… 拮抗・中和反応/儀式妨害/情動価強調の有無
・実施の主体… セラピスト主導、クライエント本人、その折衷
※持続的の場合、中断は症状悪化の危険あり。
・PTSD(外相語ストレス障害)の症状
①フラッシュバック、②回避、③過覚醒
・PTSDのきっかけに多いトラウマ体験
・自然災害、事件事故への遭遇
・犯罪被害、虐待・いじめ・暴力の被害
・戦争での戦闘体験
・被害にあった方の救出活動への従事
・SUDs(サッズ)
・持続エクスポージャー療法(PE:prolonged exposure therapy)
特定の記憶を回避しているが、回避が完璧にいかず忘れられないものもあり色々な症状が起こっているという仮説に基づき、
それを辛かったけど過去の記憶としてしっかり頭の中で処理して問題が起こらない記憶としていくこと。
平均12〜15回、1回90分/週、治療にはマニュアルがあり、MAX15回で実施。10回くらいで終わる方もいる。
・衝動制御の困難に関する習癖…チック症、抜毛症、自傷など
出来事に対しその認知が気分・行動・身体に影響しさらに認知に、相互に影響していく。
出来事 → 考え(自動思考) → 感情・感情的行為
・うつ病の認知の特徴
以下のような考え方が症状として出てきており、これらがさらに抑うつ気分や意欲の低下を招くと言われている
・自分自身 …自分を不完全で、不適切、人から拒絶されている
・自分を取り巻く世界(自分の経験)…自分の経験を否定的に解釈。取り巻く世界が、途方も無い要求を突きつけている。人生目標に向かい、克服できない障がいがある。
・自分の将来 …こんなんや苦悩はずっと続く。自分は失敗するであろう
・うつ病の認知の特徴 認知の階層
・日常の出来事 →自動思考 → 抑うつ症状
・自動思考←スキーマ 推論の誤り
・抑うつスキーマ: 幼少期から形成される事故・詳細・周囲への否定的な信念、構え
・領域一致の仮説: スキーマの内容と合致するような出来事を経験すると抑うつスキーマが活性され、抑うつ症状が強まる
例) みんなから好かれなければいけない →対人場面で活性
自分は出来が悪い→ 達成場面で活性
・抑うつ症状による推論の誤り
・破局視: 未来を否定的に予想する。運命の差許み。
・全か無か思考: 二分割思考。二つの極端なカテゴリーで捉えること 例)成功か失敗か、白か黒か
・過度の一般化: 現状を遥かに超えた大雑把で否定的な結論を出す
・自動思考を把握する方法
・面接で、問題と関連した出来事や、落ち込みや不安が大きかったエピソードを取り上げる。
・セルフモニタリングを通して、自動思考を観察・記録させる
・ソクラテス式質問法→気づきを促す、協働実証主義
・認知再構成法
・自動思考の有用性や妥当性について、クライエントと一緒に検討
①自動思考が正しいという根拠や理由
②自動思考がもしかしたら間違っているかもしれない根拠や見逃しているかもしれない事実
③①と②から妥当で役に立つ思考を検討
・認知再構成方のコツと留意点
・セラピストとクライエントの信頼関係が大事
→自分の体験を素直に語ることができるような雰囲気作り
・なじみのある「考え方」に気づくこと、見直すことは容易ではないことを知っておく
→指摘や植え付けではなく、さまざまな質問を投げかけながら協働的に進める
・ポジティブシンキングが目的ではない
→認知に対する客観性を高め、否定的認知と不快な気分、非生産的な行動との関係を明らかにする
考え方の幅やレパートリーを広げる、認知やその影響から上手に距離をとることを強調する
・恥かき訓練(shame attack) :公共の場において、明らかに他人から奇異な目で見られるような行為を取り続け、意図的に恥ずかしさを経験する訓練
・認知技法で偏った認知に気づく手段
セラピストとの対話、思考記録表への記入、実験や調査の結果(現実から)
行動実験
・実験型 …人為的なデータ収集
例)同僚を誘ってみる。返事や様子を事前の予測と比較
・調査型 …観察してデータを収集
例)厳しい上司からのダメ出しの回数を自分と同僚の間で比較
・うつ病に多い認知バイアス(決めつけ)
注意バイアス …マイナスのことばかりに目がいく
解釈バイアス …マイナスのこととして理解しがち
記憶バイアス …マイナスのことばかりよく記憶する
・考え込みや回避を少なめにする。
たまにいつもと違うことを試す。
その結果、目の前で起きたことと自分の中で起きたことを観察し、仮説(思い込み)を疑ってみる。
・マインドフルネス:
自分の体験・環境・反応についてリアルタイムに気づきを向けて、今こんな気持ちになっているとか今こんな感覚が生じているなど気づいて、それを良い悪いの判断せずただ受け止め、味わう。そのうち、どんな感情や感覚が出ているかただ感じる。
感情を遮断している人などに効果的。
・自動思考 … より浅いレベル・より瞬間的な認知
・スキーマ …より深いレベル・より継続的な認知
・早期不適応的スキーマ
・スキーマ療法の手順
Step1: 自らの早期不適応的スキーマをスキーマ療法のモデルを使って観察し理解する。
Step2: 自らを苦しめるスキーマを手放し新たなスキーマを手にいれる。
・中核的感情欲求
①愛してもらいたい 守ってもらいたい 理解してもらいたい
②有能な人間になりたい、いろんなことがうまくできるようになりたい
③自分の感情や想いを自由に表現したい、、自分の意思を大切にしたい
④自由にのびのびと動きたい、楽しく遊びたい、生き生きと楽しみたい
⑤自立性のある人間になりたい、ある程度自分をコントロールできるしっかりとした人間になりたい
その他メモ
・岡嶋美代先生
雑感
この講座は、実際にその心理療法を行っている映像が講義の中で流れるので、
こんなふうなんだ、と様子がわかって大変興味深かったです。
そして、心理士さんってすごいなーと思いました。
また、こうした心理療法は、素人が適当にわかったつもりでやってはいけないんだろうなぁとも思いました。
なんとなくだけど。。
いろんな先生方が講義を担当されているのもよかったなぁ。。
同じ先生がずっと話すと単調になりがちだけど、各回で違ってて面白かったし。
さすが放送大学と思いました。ありがとう!! ←だったら「授業料払って受けて」って言われそう笑