ある時 人の手によって
宝物が 掘り起こされた
眠っていたかったのに、と
小さく彼女は つぶやいた
人から人へ 渡るうちに
使い方は 歪められた
こんなことは望んでいないのに、と
小さく彼女は つぶやいた
誰もその力を 制することはできない
偽りの幸せ 世界の病
彼女は泣いた 帰りたいと泣いた
人びとはようやく 過ちに気がついた
その時 人の手によって
宝物は 故郷(ふるさと)へ帰された
世界の病は 快方に向かい
人びとの心に 星がともった
宝物の眠る大地 たくさんの子ども達
いつも笑い声に あふれていたという
遠い昔 物語のひとひら