「朝呼びの少女」2012/7/15 | 空色ノートのブログ

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こんにちは、空色ノートと申します。このブログでは日記や詩を中心に、たまに旅行記も書いています。
映画、音楽、写真、旅行、漫画が好きです。美術館、博物館、神社、お寺など、時々出かけています。毎週の楽しみは、私の愛した歴代ゲゲゲ、薬屋のひとりごと。



ある日 朝が来なかった

いつまで待っても 空は明るくならなかった


人びとは、困惑した

どうして朝が来ないのだろう、と

天に向かって願ったが 返事はなかった


人びとは、憤った

どうしてこんな仕打ちを受けるのだろう、と

天に向かって怒鳴ったが 返事はなかった


やがて、少しずつ狂い始める 生き物の時計


人びとは、諦めた

少女が何を考えているのか ちっとも分からない

地に向かってうなだれた時 返事があった


「おまえ達は、自分のため 好きに生きているだろう

それなら私も、自分のため 好きに生きようと思う

しばらくゆっくりしたいから 朝呼びは休む」


人びとは、押し黙った


その時 一人の子どもが言った

「朝が来るのも、夜が来るのも 当たり前じゃなかったんだね

あなたがいたから 僕は生きてこれたんだ

ありがとう 忘れていてごめんなさい」


少女の答えは 東の空

朝を呼ぼう 朝を呼ぼう

思い出したなら おまえのために

おまえの生きる 星のために


こうして再び 朝と夜は動き出す

遠い昔 物語のひとひら