少女のドレスは いばらのドレス
ドレスは 少女のお気に入り
みんなが少女を 誉めそやす
少女はいつも 上機嫌
いばらのドレスは 棘だらけ
着るたび 少女を傷つける
見る者すべてを 傷つける
ついには誰も 近寄らない
少女は 塔のてっぺんの
小部屋に たった一人きり
鏡を見ては 泣きぬれる
ドレスを着たまま 一人きり
ある日 少女は気がついた
誰も言わずに いたけれど
いばらのドレスは 傷つける
帰りたいから 傷つける
ドレスを脱いだら 傷だらけ
風のマントが 服になる
ドレスは土に 根を下ろし
柔らかな花 野に満ちる
少女もドレスも 帰ります
あるべき場所へと 帰ります